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第7話 山田太郎はノーマン・へリィボーン。(ノーマン視点)
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山田太郎。それが彼の名前だった。なんて事のない、平凡すぎる名前。容姿も能力も平凡。中流家庭で学力も普通。
変わりたかった。漫画やアニメの主人公のように、冒険がしたい。息がつけぬほどの戦いの連続。迷宮に張り巡らされた罠、そして財宝。
そんな世界に憧れる日々。それは突然現実のものとなった。彼の飼い犬、ジョンが話しかけて来たのだ。
(君の本当の名前は、ノーマン・へリィボーン。異世界の冒険者だ)
十五歳の夏だった。あれから十年。太郎は寝食を忘れる程に冒険に明け暮れ、数え切れないほどのクエストをこなした。
邪悪なアークデーモン。世界が滅ぶほどの災厄が起こった時も、太郎は立ち向かった。なみいる悪魔の群勢を打ち倒し、アークデーモンとも互角に渡りあった。
だが、トドメを刺したのは、自分と同じSS級冒険者だったホムラ。彼女はその功績でSSS級へとランクアップし、それをきっかけに、多数のメディアが彼女を追い求めた。
ほんの一撃。あと少し、ホムラよりも自分の攻撃が早かったなら。SSS級になり、有名人になっていたのは、太郎だったに違いない。変身した姿、ノーマンは金髪の美青年。きっと映画やドラマにも出演する事になっただろう。
(俺はたった十年で、今のキャリアを築いた。ホムラは二十年かかった。俺の方がホムラより才能があるんだ。その才能の証を、あんなG級の雑魚にくれてやる訳にはいかない!)
決闘場は、冒険者ギルドの地下にあった。これから冒険に出かける予定だった者たちも、面白い見世物だと大勢詰め掛けている。
もしも負けたら。太郎は相手の階級まで落ちる。つまりG級だ。絶対に負けられない。
高校の体育館くらいの広さの地下闘技場で、太郎は正面に立つミーナを睨んだ。ミーナは余裕の表情で、笑みまで浮かべている。
(からかっただけなのに。なんであいつは挑発に乗って来たんだ? バカなのか? まぁ、きっとそうなんだろう。SS級冒険者に、G級冒険者が勝てる訳ない。冒険者なら誰だってわかる事だ。それに俺が勝ったら、あいつは俺の奴隷だ。もしかしたら、奴隷願望のあるドM女なのかも知れない)
太郎はミーナを自分のモノに出来ると考え、邪な笑みを浮かべた。だが太郎の襟首を掴んだ、ミーナの凄みのある笑顔。あれは生半可な自信ではない。
(いくら前世の能力が引き継がれているといっても、限界がある。レベルは1に戻ってるし、全てのスキルを使いこなすには、経験を積んでレベルアップしなきゃならない。ああ、そうか。あいつはそんな事も知らないんだ)
あの自信は、無知が招いたもの。太郎はそう判断した。
変わりたかった。漫画やアニメの主人公のように、冒険がしたい。息がつけぬほどの戦いの連続。迷宮に張り巡らされた罠、そして財宝。
そんな世界に憧れる日々。それは突然現実のものとなった。彼の飼い犬、ジョンが話しかけて来たのだ。
(君の本当の名前は、ノーマン・へリィボーン。異世界の冒険者だ)
十五歳の夏だった。あれから十年。太郎は寝食を忘れる程に冒険に明け暮れ、数え切れないほどのクエストをこなした。
邪悪なアークデーモン。世界が滅ぶほどの災厄が起こった時も、太郎は立ち向かった。なみいる悪魔の群勢を打ち倒し、アークデーモンとも互角に渡りあった。
だが、トドメを刺したのは、自分と同じSS級冒険者だったホムラ。彼女はその功績でSSS級へとランクアップし、それをきっかけに、多数のメディアが彼女を追い求めた。
ほんの一撃。あと少し、ホムラよりも自分の攻撃が早かったなら。SSS級になり、有名人になっていたのは、太郎だったに違いない。変身した姿、ノーマンは金髪の美青年。きっと映画やドラマにも出演する事になっただろう。
(俺はたった十年で、今のキャリアを築いた。ホムラは二十年かかった。俺の方がホムラより才能があるんだ。その才能の証を、あんなG級の雑魚にくれてやる訳にはいかない!)
決闘場は、冒険者ギルドの地下にあった。これから冒険に出かける予定だった者たちも、面白い見世物だと大勢詰め掛けている。
もしも負けたら。太郎は相手の階級まで落ちる。つまりG級だ。絶対に負けられない。
高校の体育館くらいの広さの地下闘技場で、太郎は正面に立つミーナを睨んだ。ミーナは余裕の表情で、笑みまで浮かべている。
(からかっただけなのに。なんであいつは挑発に乗って来たんだ? バカなのか? まぁ、きっとそうなんだろう。SS級冒険者に、G級冒険者が勝てる訳ない。冒険者なら誰だってわかる事だ。それに俺が勝ったら、あいつは俺の奴隷だ。もしかしたら、奴隷願望のあるドM女なのかも知れない)
太郎はミーナを自分のモノに出来ると考え、邪な笑みを浮かべた。だが太郎の襟首を掴んだ、ミーナの凄みのある笑顔。あれは生半可な自信ではない。
(いくら前世の能力が引き継がれているといっても、限界がある。レベルは1に戻ってるし、全てのスキルを使いこなすには、経験を積んでレベルアップしなきゃならない。ああ、そうか。あいつはそんな事も知らないんだ)
あの自信は、無知が招いたもの。太郎はそう判断した。
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