【完結】婚約破棄された猫耳令嬢、転生してOLになる。〜特技は暗殺です〜

アキ・スマイリー

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第18話 婚約破棄の真相。

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「ねぇホムラ。ユークリウッドの事なんだけどさ」

「......ああ」

 前世での私の元婚約者。スカイフォール王家の第三王子にして、勇者。

 婚約を破棄して私を追放した、憎い人。

「私をパーティから追放した後、何か言ってた?」

 私の質問に、ホムラは少しの間沈黙した。数分して、ようやく重い口を開く。

「後悔はしていない。そう言っていた」

「......そう」

 会話が途切れ、私は外の景色を眺めた。

「ミーナの名声は、魔界にも届いていたよ。魔王の城に近づくにつれ、敵はどんどん強くなっていってな。そんな時、ユー君は冗談めかして言ってたもんだ。『ああ、ミーナがいればなぁ』ってな。私も冗談で『コラ!』って怒ると、『ごめんごめん』って謝ってたっけ。後悔してないって言いながら、調子のいい奴さ」

「そうだったんだ」

 少しは悔しがってくれたのかな。だとしたら、あの時冒険者になって名声をあげた意味はあるかな。

「でもさ。今だから言うけど......ユー君はミーナに生きて欲しかったんだ。愛してたんだよ。死ぬかも知れない戦いに、お前を巻き込みたくなかったんだ。恋愛には疎い私でも、それくらいはわかったよ。ミーナをパーティから追放した後も、ユー君はいつもミーナの写真を眺めていた。お前から貰ったいくつもの手紙を、毎晩読んでいたよ」

「え......!?」

 それは衝撃的な告白だった。そんな......。

「どうして? 愛してたなら、どうして一緒にいてくれなかったの? 私を選ばなきゃ良かったって言ったの? そんなのおかしいよ。私は......! 死ぬ時も一緒にいたかった。ユークリウッドと、最後まで一緒にいたかったのに! あああーっ!」

 泣きじゃくる私をホムラが抱きしめる。

「ごめんなミーナ。だけど私もユー君と同じ気持ちだった。例え嫌われても、おまえには生きて欲しかったんだ。ユー君は旅に出てしばらくした後、預言者に、魔王との相打ちを予言されたらしい。お前に別れを告げる少し前さ。ミーナは強い。だけど一緒に生き残れる可能性は薄かった」

 予言!? そんな事があったんだ......。

「予言を覆せるかどうかは賭けだった。ユー君はその事を私に相談した。彼にとって私は恋愛対象ではなく、戦友だったんだ。『ミーナを助けたい』彼はそう言った。私もそれに賛同したよ。いつも笑顔を振りまいて、自分の事よりも他人の幸せを優先して行動する、おまえが大好きだったから」

「そんな、そんな......! 私、ユークリウッドはホムラが好きなのかと思ってた! 大好きなはずの二人を、あの日からずっと憎んでたの! ごめんなさい! ごめんなさい!」

「こっちこそ、ごめんな。ミーナ......」

 私はホムラの胸で泣き続けた。ユークリウッドは、私を想っていてくれたんだ。私を想ったまま、死んでいったんだ。

 会いたいよ。ユーク。ねぇ、会いたい。あなたに会いたいよ。

「ホムラ。ユークは転生してないのかな。私、もう一度彼に会いたいよ」

「そうだな。もしかしたら、もう会っているかも知れないぞ」

「え!? それってどういう意味?」

「これは私の勘だが......おそらく天空勇気は、ユー君の生まれ変わりだ」


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