18 / 35
第18話 婚約破棄の真相。
しおりを挟む
「ねぇホムラ。ユークリウッドの事なんだけどさ」
「......ああ」
前世での私の元婚約者。スカイフォール王家の第三王子にして、勇者。
婚約を破棄して私を追放した、憎い人。
「私をパーティから追放した後、何か言ってた?」
私の質問に、ホムラは少しの間沈黙した。数分して、ようやく重い口を開く。
「後悔はしていない。そう言っていた」
「......そう」
会話が途切れ、私は外の景色を眺めた。
「ミーナの名声は、魔界にも届いていたよ。魔王の城に近づくにつれ、敵はどんどん強くなっていってな。そんな時、ユー君は冗談めかして言ってたもんだ。『ああ、ミーナがいればなぁ』ってな。私も冗談で『コラ!』って怒ると、『ごめんごめん』って謝ってたっけ。後悔してないって言いながら、調子のいい奴さ」
「そうだったんだ」
少しは悔しがってくれたのかな。だとしたら、あの時冒険者になって名声をあげた意味はあるかな。
「でもさ。今だから言うけど......ユー君はミーナに生きて欲しかったんだ。愛してたんだよ。死ぬかも知れない戦いに、お前を巻き込みたくなかったんだ。恋愛には疎い私でも、それくらいはわかったよ。ミーナをパーティから追放した後も、ユー君はいつもミーナの写真を眺めていた。お前から貰ったいくつもの手紙を、毎晩読んでいたよ」
「え......!?」
それは衝撃的な告白だった。そんな......。
「どうして? 愛してたなら、どうして一緒にいてくれなかったの? 私を選ばなきゃ良かったって言ったの? そんなのおかしいよ。私は......! 死ぬ時も一緒にいたかった。ユークリウッドと、最後まで一緒にいたかったのに! あああーっ!」
泣きじゃくる私をホムラが抱きしめる。
「ごめんなミーナ。だけど私もユー君と同じ気持ちだった。例え嫌われても、おまえには生きて欲しかったんだ。ユー君は旅に出てしばらくした後、預言者に、魔王との相打ちを予言されたらしい。お前に別れを告げる少し前さ。ミーナは強い。だけど一緒に生き残れる可能性は薄かった」
予言!? そんな事があったんだ......。
「予言を覆せるかどうかは賭けだった。ユー君はその事を私に相談した。彼にとって私は恋愛対象ではなく、戦友だったんだ。『ミーナを助けたい』彼はそう言った。私もそれに賛同したよ。いつも笑顔を振りまいて、自分の事よりも他人の幸せを優先して行動する、おまえが大好きだったから」
「そんな、そんな......! 私、ユークリウッドはホムラが好きなのかと思ってた! 大好きなはずの二人を、あの日からずっと憎んでたの! ごめんなさい! ごめんなさい!」
「こっちこそ、ごめんな。ミーナ......」
私はホムラの胸で泣き続けた。ユークリウッドは、私を想っていてくれたんだ。私を想ったまま、死んでいったんだ。
会いたいよ。ユーク。ねぇ、会いたい。あなたに会いたいよ。
「ホムラ。ユークは転生してないのかな。私、もう一度彼に会いたいよ」
「そうだな。もしかしたら、もう会っているかも知れないぞ」
「え!? それってどういう意味?」
「これは私の勘だが......おそらく天空勇気は、ユー君の生まれ変わりだ」
「......ああ」
前世での私の元婚約者。スカイフォール王家の第三王子にして、勇者。
婚約を破棄して私を追放した、憎い人。
「私をパーティから追放した後、何か言ってた?」
私の質問に、ホムラは少しの間沈黙した。数分して、ようやく重い口を開く。
「後悔はしていない。そう言っていた」
「......そう」
会話が途切れ、私は外の景色を眺めた。
「ミーナの名声は、魔界にも届いていたよ。魔王の城に近づくにつれ、敵はどんどん強くなっていってな。そんな時、ユー君は冗談めかして言ってたもんだ。『ああ、ミーナがいればなぁ』ってな。私も冗談で『コラ!』って怒ると、『ごめんごめん』って謝ってたっけ。後悔してないって言いながら、調子のいい奴さ」
「そうだったんだ」
少しは悔しがってくれたのかな。だとしたら、あの時冒険者になって名声をあげた意味はあるかな。
「でもさ。今だから言うけど......ユー君はミーナに生きて欲しかったんだ。愛してたんだよ。死ぬかも知れない戦いに、お前を巻き込みたくなかったんだ。恋愛には疎い私でも、それくらいはわかったよ。ミーナをパーティから追放した後も、ユー君はいつもミーナの写真を眺めていた。お前から貰ったいくつもの手紙を、毎晩読んでいたよ」
「え......!?」
それは衝撃的な告白だった。そんな......。
「どうして? 愛してたなら、どうして一緒にいてくれなかったの? 私を選ばなきゃ良かったって言ったの? そんなのおかしいよ。私は......! 死ぬ時も一緒にいたかった。ユークリウッドと、最後まで一緒にいたかったのに! あああーっ!」
泣きじゃくる私をホムラが抱きしめる。
「ごめんなミーナ。だけど私もユー君と同じ気持ちだった。例え嫌われても、おまえには生きて欲しかったんだ。ユー君は旅に出てしばらくした後、預言者に、魔王との相打ちを予言されたらしい。お前に別れを告げる少し前さ。ミーナは強い。だけど一緒に生き残れる可能性は薄かった」
予言!? そんな事があったんだ......。
「予言を覆せるかどうかは賭けだった。ユー君はその事を私に相談した。彼にとって私は恋愛対象ではなく、戦友だったんだ。『ミーナを助けたい』彼はそう言った。私もそれに賛同したよ。いつも笑顔を振りまいて、自分の事よりも他人の幸せを優先して行動する、おまえが大好きだったから」
「そんな、そんな......! 私、ユークリウッドはホムラが好きなのかと思ってた! 大好きなはずの二人を、あの日からずっと憎んでたの! ごめんなさい! ごめんなさい!」
「こっちこそ、ごめんな。ミーナ......」
私はホムラの胸で泣き続けた。ユークリウッドは、私を想っていてくれたんだ。私を想ったまま、死んでいったんだ。
会いたいよ。ユーク。ねぇ、会いたい。あなたに会いたいよ。
「ホムラ。ユークは転生してないのかな。私、もう一度彼に会いたいよ」
「そうだな。もしかしたら、もう会っているかも知れないぞ」
「え!? それってどういう意味?」
「これは私の勘だが......おそらく天空勇気は、ユー君の生まれ変わりだ」
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる