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第30話 ホムラの想い。(ホムラ視点)
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ホムラは練馬の「としまえん」にイグニスを駆りながら、前世の事を思い返していた。
ミーナをパーティから追放した日。ホムラはとても寂しく、悲しい気持ちで一杯だった。ミーナとはしょっちゅう喧嘩していたが、ホムラは彼女が大好きだった。
ユークリウッドへの恋心がなかった、と言えば嘘になる。確かに想ってはいた。だが、ミーナを苦しめてまで、自分の恋を成就しようなどとは、微塵も思っていなかったのだ。
魔王マオとの最後の決戦の時。マオの放った強力な魔術が、彼女を中心に全てを破壊していった。
ユークリウッドが破壊の渦に飲み込まれていく。それを悲しむ間もなく、あっという間にホムラの体もバラバラに四散し、一瞬で塵となった。
次に目覚めた時、ホムラは赤ん坊になっていた。前世の記憶を残したまま転生したのだ。
戸惑いながらも新たな人生を受け入れ、相棒のイグニスにも家族として再会出来たホムラは、八歳の幼さで冒険者となる。そして日本最強となった彼女は、しかし心にポッカリと穴が空いたような気持ちだった。
大切な仲間。ユークリウッドとミーナに、もう一度会いたい。叶わぬ願いと思っていた。だが、その願いは、奇跡的に叶う事となる。
勇気はユークリウッドに。ミーナは美奈子に、それぞれ転生していたのだ。
もう二度と、彼らを失いたくはない。その為なら、なんだってする。ホムラは誓いを新たに、闘志を燃え上がらせた。
「としまえん」に到着したホムラ。テーマパークは逃げ惑う人々で騒然としていた。どうやら怪我人も出てしまっているらしい。
「モンスターだ! ダンジョンに本物のモンスターがいるんだよ! 」
何人かの人々が駆けつけた警官隊や冒険者に、そう叫んでいる。おそらくマオは、誰もダンジョンに近づけたくないのだ。かなり荒っぽい行動に出ている。
「ホムラさん!」
人々の避難を手助けしていた冒険者達が、ホムラの元へ集まってきた。七人いる。全員ミーナの仲間達だ。
「状況はどうだ?」
ホムラは単刀直入に聞いた。
「一般人の避難は、あらかた終わってます。あとは警察に任せても大丈夫です。ダンジョンに潜りましょう!」
ノーマンがそう言って、二本の剣を腰から抜き放つ。ミーナの話では重傷との事だったが、どうやら神術で完治したようだ。
「お姉ちゃん......ミーナ様は、一緒では無いのですか?」
ノーマンの側に寄り添うように、サキュバスのリカーナが立っている。
「ミーナは、別行動中だ。魔王の裏をかかなければ奴は倒せないからな。ミーナから聞いていると思うが、私達は囮だ。一体でも多く、モンスターの目を引きつける。そしてミーナが魔王の元へ無事に辿り着けるように道を切り開くんだ」
ホムラが手の甲を突き出すと、七人はその上に手を重ねた。
「俺たちも役に立つって所、見せてやろうぜ!」
マッチョな冒険者パーティ「ワイルド・アベンジャーズ」のリーダー、剣術士カイエンが笑顔を見せる。
「おうよ! 魔王討伐に繰り出せるなんざ、冒険者冥利に尽きるってもんよ!」
武術士キースも、そう言って歯を見せる。
「絶対生きて帰ろうぜ。俺は来週、結婚するんだ。まだ死ぬわけには行かない」
長髪の弓術士、クレイドルが神妙な顔になる。
「それ、死亡フラグだから言わない方が良かったですよ」
眼鏡の神術士、ケイトが哀れむように呟く。
「みんなの背中は僕が守る。死なせはしない!」
童顔の魔術士、コーネリアが力強く宣言した。
「よし、みんな覚悟はいいな! ではいくぞ! エイエイオー!」
体育会系な気合を入れ、全員が走り出す。
ダンジョンのアトラクションは「としまえん」の外れにある。辿りついたその建物には既に人影は無い。
無人になった受付を通り、アーチを抜ける。建物内にはいくつかのオブジェが設置され、冒険気分を盛り上げる「語り」が、スピーカーから虚しく流れている。
ホムラは注意深く周囲を見回した。薄暗い室内には複数の入り口があり、それぞれの入り口の奥には地下への階段が続いている。
入り口は八つ。対してこちらの人数も、ホムラ、イグニスを入れて八人と一匹。一人ずつ手分けしてダンジョン探索を進める事が出来そうだ。
「私は真ん中の入り口を爆進する! みんなも手分けして進んでくれ! モンスターも大勢いるはずだ! 充分注意するんだぞ!」
「はい!」
全員が一斉に、それぞれの入り口へと飛び込んで行く。ホムラもイグニスを駆って真ん中の入り口に突入した。
階段を一段降りる度に、空気の温度が下がっていくような。そんな感覚に襲われる。
(恐れるなホムラ! ミーナを無事に魔王の元へ、送り込むんだ! それが私の使命なんだ! 命の炎を燃やせ! 燃焼させろ!」
ホムラとイグニスの体が、赤く輝く。それはあたかも、燃え盛る炎に包まれているかのようだった。
ミーナをパーティから追放した日。ホムラはとても寂しく、悲しい気持ちで一杯だった。ミーナとはしょっちゅう喧嘩していたが、ホムラは彼女が大好きだった。
ユークリウッドへの恋心がなかった、と言えば嘘になる。確かに想ってはいた。だが、ミーナを苦しめてまで、自分の恋を成就しようなどとは、微塵も思っていなかったのだ。
魔王マオとの最後の決戦の時。マオの放った強力な魔術が、彼女を中心に全てを破壊していった。
ユークリウッドが破壊の渦に飲み込まれていく。それを悲しむ間もなく、あっという間にホムラの体もバラバラに四散し、一瞬で塵となった。
次に目覚めた時、ホムラは赤ん坊になっていた。前世の記憶を残したまま転生したのだ。
戸惑いながらも新たな人生を受け入れ、相棒のイグニスにも家族として再会出来たホムラは、八歳の幼さで冒険者となる。そして日本最強となった彼女は、しかし心にポッカリと穴が空いたような気持ちだった。
大切な仲間。ユークリウッドとミーナに、もう一度会いたい。叶わぬ願いと思っていた。だが、その願いは、奇跡的に叶う事となる。
勇気はユークリウッドに。ミーナは美奈子に、それぞれ転生していたのだ。
もう二度と、彼らを失いたくはない。その為なら、なんだってする。ホムラは誓いを新たに、闘志を燃え上がらせた。
「としまえん」に到着したホムラ。テーマパークは逃げ惑う人々で騒然としていた。どうやら怪我人も出てしまっているらしい。
「モンスターだ! ダンジョンに本物のモンスターがいるんだよ! 」
何人かの人々が駆けつけた警官隊や冒険者に、そう叫んでいる。おそらくマオは、誰もダンジョンに近づけたくないのだ。かなり荒っぽい行動に出ている。
「ホムラさん!」
人々の避難を手助けしていた冒険者達が、ホムラの元へ集まってきた。七人いる。全員ミーナの仲間達だ。
「状況はどうだ?」
ホムラは単刀直入に聞いた。
「一般人の避難は、あらかた終わってます。あとは警察に任せても大丈夫です。ダンジョンに潜りましょう!」
ノーマンがそう言って、二本の剣を腰から抜き放つ。ミーナの話では重傷との事だったが、どうやら神術で完治したようだ。
「お姉ちゃん......ミーナ様は、一緒では無いのですか?」
ノーマンの側に寄り添うように、サキュバスのリカーナが立っている。
「ミーナは、別行動中だ。魔王の裏をかかなければ奴は倒せないからな。ミーナから聞いていると思うが、私達は囮だ。一体でも多く、モンスターの目を引きつける。そしてミーナが魔王の元へ無事に辿り着けるように道を切り開くんだ」
ホムラが手の甲を突き出すと、七人はその上に手を重ねた。
「俺たちも役に立つって所、見せてやろうぜ!」
マッチョな冒険者パーティ「ワイルド・アベンジャーズ」のリーダー、剣術士カイエンが笑顔を見せる。
「おうよ! 魔王討伐に繰り出せるなんざ、冒険者冥利に尽きるってもんよ!」
武術士キースも、そう言って歯を見せる。
「絶対生きて帰ろうぜ。俺は来週、結婚するんだ。まだ死ぬわけには行かない」
長髪の弓術士、クレイドルが神妙な顔になる。
「それ、死亡フラグだから言わない方が良かったですよ」
眼鏡の神術士、ケイトが哀れむように呟く。
「みんなの背中は僕が守る。死なせはしない!」
童顔の魔術士、コーネリアが力強く宣言した。
「よし、みんな覚悟はいいな! ではいくぞ! エイエイオー!」
体育会系な気合を入れ、全員が走り出す。
ダンジョンのアトラクションは「としまえん」の外れにある。辿りついたその建物には既に人影は無い。
無人になった受付を通り、アーチを抜ける。建物内にはいくつかのオブジェが設置され、冒険気分を盛り上げる「語り」が、スピーカーから虚しく流れている。
ホムラは注意深く周囲を見回した。薄暗い室内には複数の入り口があり、それぞれの入り口の奥には地下への階段が続いている。
入り口は八つ。対してこちらの人数も、ホムラ、イグニスを入れて八人と一匹。一人ずつ手分けしてダンジョン探索を進める事が出来そうだ。
「私は真ん中の入り口を爆進する! みんなも手分けして進んでくれ! モンスターも大勢いるはずだ! 充分注意するんだぞ!」
「はい!」
全員が一斉に、それぞれの入り口へと飛び込んで行く。ホムラもイグニスを駆って真ん中の入り口に突入した。
階段を一段降りる度に、空気の温度が下がっていくような。そんな感覚に襲われる。
(恐れるなホムラ! ミーナを無事に魔王の元へ、送り込むんだ! それが私の使命なんだ! 命の炎を燃やせ! 燃焼させろ!」
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