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第1部 勇者令嬢アキラ
第17話 石人形の城。
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ジャクソンを蹴った回数は、当に百を超えていた。
鉄の扉は中心部から網状に大きくヒビが入り、歪みが広がっている。
「ジャクソン! 次で決めるよ!」
「はい!」
ジャクソンの衣服と、私のメンタルはボロボロだった。だが、ここで折れる訳には行かない。
念動力によって私に向かってくるジャクソン。全身全霊を込めて、彼に蹴りを放つ。
「はぁっ!」
ドグンッと鈍く重い音を響かせ、ジャクソンは吹き飛ぶ。
ドグォーン! ジャクソンが扉にぶつかると同時に、鉄の扉は崩壊した。中心部がガラガラと崩れ、ジャクソンを押し潰していく。
「ジャクソン!」
私は念動力で鉄クズたちを取り除いた。うつ伏せに倒れるジャクソンを発見し、彼を抱きしめる。
「やったよジャクソン! 扉を破った! これで中に進めるよ!」
私は泣いた。わんわん泣いた。そんな場合ではないのはわかっている。だけど、次から次へと涙が溢れた。
「心配してくださって、ありがとうございます。だけど、僕は平気です、アキラ様。泣かないで下さい。涙が勿体ないですよ。その涙は、ディアナ様とリーファ様を取り戻した時に、流してあげて下さい」
そう言って私の髪を撫でるジャクソン。こいつ、生意気だぞ。でも、うう......キュンとしちゃう。
「勿体ない事はないよ。ごめんねジャクソン。痛い思いをさせて。さぁ行こう。あなたのお陰で道は開けた。城の中に、私たちの敵がいる」
「はい!」
私はジャクソンの手を引き、立ち上がらせた。そして手を繋いだまま、城壁を越えて中庭を走る。
美しく切り揃えられた木々、咲き誇る花畑。噴水や石像が、景観を彩る。
しかし、何かがおかしい。そうか、石像が多すぎるんだ。
天使や神々をかたどった石像に混じって、城で働くメイドや召使い、兵士の姿が見える。
その表情は、恐怖に満ちていた。
「えっ!? 隊長!? アキラ様、この石像たちは......!」
ジャクソンは一体の石像の前に立ち、観察を始めた。そして推察する。
「もしかして、魔術で石に変えられてしまったのですか?」
そんな恐ろしい魔術を使う者は、この城にはいない。いや、いなかった。これまでは。
「あいつの仕業だわ......。なんて酷い事を」
声が震える。彼女の......オリビアの目的はなんなのだろうか。私への復讐か? ならば私だけを狙えば良いものを......!
私がユミルの予知夢で見たのは、リーファがオリビアの姿に変わり、魔物と勇者ヨシオを操って街を破壊する様子だった。だが実際にはヨシオは自ら街を壊す事はなかった。
破壊される街の中で人々を見捨てて逃げ惑い、私を洗脳しようとしたのだ。
私の行動で細部が変化しているのかも知れない。それ以上以上の事は分からなかった。
「アキラ様、そろそろ僕にも教えてもらえませんか? この城にいるのは、一体何者なんです? 魔王の手下が潜んでいるのですか?」
親しい者達の変わり果てた姿を目にして、ジャクソンの表情は曇っていた。
「そうね。ここなら聞き耳を立てる者もいないでしょうし」
深呼吸し、ジャクソンを見つめる。
「今回の一連の事件は、魔王の仕業などではないわ。私の娘、リーファの仕業よ」
私は静かに、そう告げた。
鉄の扉は中心部から網状に大きくヒビが入り、歪みが広がっている。
「ジャクソン! 次で決めるよ!」
「はい!」
ジャクソンの衣服と、私のメンタルはボロボロだった。だが、ここで折れる訳には行かない。
念動力によって私に向かってくるジャクソン。全身全霊を込めて、彼に蹴りを放つ。
「はぁっ!」
ドグンッと鈍く重い音を響かせ、ジャクソンは吹き飛ぶ。
ドグォーン! ジャクソンが扉にぶつかると同時に、鉄の扉は崩壊した。中心部がガラガラと崩れ、ジャクソンを押し潰していく。
「ジャクソン!」
私は念動力で鉄クズたちを取り除いた。うつ伏せに倒れるジャクソンを発見し、彼を抱きしめる。
「やったよジャクソン! 扉を破った! これで中に進めるよ!」
私は泣いた。わんわん泣いた。そんな場合ではないのはわかっている。だけど、次から次へと涙が溢れた。
「心配してくださって、ありがとうございます。だけど、僕は平気です、アキラ様。泣かないで下さい。涙が勿体ないですよ。その涙は、ディアナ様とリーファ様を取り戻した時に、流してあげて下さい」
そう言って私の髪を撫でるジャクソン。こいつ、生意気だぞ。でも、うう......キュンとしちゃう。
「勿体ない事はないよ。ごめんねジャクソン。痛い思いをさせて。さぁ行こう。あなたのお陰で道は開けた。城の中に、私たちの敵がいる」
「はい!」
私はジャクソンの手を引き、立ち上がらせた。そして手を繋いだまま、城壁を越えて中庭を走る。
美しく切り揃えられた木々、咲き誇る花畑。噴水や石像が、景観を彩る。
しかし、何かがおかしい。そうか、石像が多すぎるんだ。
天使や神々をかたどった石像に混じって、城で働くメイドや召使い、兵士の姿が見える。
その表情は、恐怖に満ちていた。
「えっ!? 隊長!? アキラ様、この石像たちは......!」
ジャクソンは一体の石像の前に立ち、観察を始めた。そして推察する。
「もしかして、魔術で石に変えられてしまったのですか?」
そんな恐ろしい魔術を使う者は、この城にはいない。いや、いなかった。これまでは。
「あいつの仕業だわ......。なんて酷い事を」
声が震える。彼女の......オリビアの目的はなんなのだろうか。私への復讐か? ならば私だけを狙えば良いものを......!
私がユミルの予知夢で見たのは、リーファがオリビアの姿に変わり、魔物と勇者ヨシオを操って街を破壊する様子だった。だが実際にはヨシオは自ら街を壊す事はなかった。
破壊される街の中で人々を見捨てて逃げ惑い、私を洗脳しようとしたのだ。
私の行動で細部が変化しているのかも知れない。それ以上以上の事は分からなかった。
「アキラ様、そろそろ僕にも教えてもらえませんか? この城にいるのは、一体何者なんです? 魔王の手下が潜んでいるのですか?」
親しい者達の変わり果てた姿を目にして、ジャクソンの表情は曇っていた。
「そうね。ここなら聞き耳を立てる者もいないでしょうし」
深呼吸し、ジャクソンを見つめる。
「今回の一連の事件は、魔王の仕業などではないわ。私の娘、リーファの仕業よ」
私は静かに、そう告げた。
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