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第6話 入隊試験。
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「試す? 一体何をだい?」
ジョアンさんは半笑いでそう言った。冗談か何かだと思っているのだろう。
「もちろん、ボクの実力をです」
僕は笑顔でそう返す。すると四人は顔を見合わせ、何か身振りや手振りをした。
「仕方ない。そこまで言うのなら、君を試してあげよう。俺と一騎打ちだ。君の武器は何だい?」
ジョアンさんはそう言ったが、武器? 武器なんて持ってないぞ。
「武器は持ってないです。まぁ強いて言えば、この拳が武器ですかね」
そう答える。
「素手か。うーん......俺は武術の経験がないから剣を持つよ。もちろん、鞘からは抜かない。試しで命を落としたら、元も子もないからね。それでいいかな?」
「はい、それで大丈夫です」
「よし。じゃあちょっと表に出ようか。おーいマリア、ちょっと外に出る! 先に勘定だけ頼むよ」
「はーい」
ウエイトレスさんの名前はマリアと言うらしい。ジョアンさんが先に立ち、マリアさんにお金を払って店を出る。他の三人も、見物の為に外へ出るようだ。ボクもその後に続く。
(リオン! お前のその体は規格外のパワーを持ってる! 絶対に本気を出すなよ! あの男を殺してしまうぞ!)
(うん、わかってる。バレないように手加減するよ)
ベルの忠告を受けつつ、外へ出る。ギルド出張所の前は、広場と言っても差し支えない広さだった。
周辺に人影は見えない。ジョアンさんの仲間だけだ。これなら無関係の人に怪我をさせる心配も無さそうである。
僕とジョアンさんは一定の距離を取り、向かい合った。彼は剣を鞘に納めたまま、正面に構える。
「いつでもいいぞ。かかって来い」
ジョアンさんの表情は真剣だった。僕を絶対にパーティーに入れない、と言う気迫が感じられる。
「じゃあ、行きます!」
僕は前傾姿勢で、ジョアンさんに向かって突進する。この体は考えるのが苦手だから、ごくシンプルな攻撃。顎かみぞおちを拳で打ち抜き、気絶させる算段だ。まぁ、相手が無抵抗なわけ無いから、変更を余儀なくされるだろうけど。
「せぁぁッ!」
ジョアンさんは僕を薙ぎ払うように剣を横に振った。僕はそれを、垂直の跳躍でかわす。本能で、勝手に体が動く感覚だった。
「なっ!?」
ジョアンさんは目を見開いて驚く。僕は彼の頭上から、踵を脳天に向かって振り下ろす。
(それはダメだリオン! 死ぬぞ!)
(うわ、そっかダメか!)
手加減って難しい! 素早く足を引き、そのまま着地。剣を横に振り切ったジョアンさんは隙だらけだ。脇腹に蹴りを打ち込めば、終わりだろう。
武術は帝国にいた時、専属の師範がいてその人から習っていた。昔の体はひ弱で、思い通りに動いてくれなかった。師範にも無能と蔑まれ、何度もぶたれた。
だけど今は違う。この体はイメージ通り、いや、イメージ以上の素晴らしい動きをしてくれる。イメージのさらに上を行く動き。帝国で習った武術を勝手にアレンジし、自分のものにしている感覚だ。
左足で踏み込み、体を捻りながら右足で蹴りを放つ。
(足を伸ばし切るなリオン! 威力が強すぎる!)
(やばッ!)
体が勝手に動くのは、いい事ばかりじゃないらしい。手加減が、とても難しいのだ。戦う前は出来ると思っていたけど、ベルのサポートがなければ無理かも知れない。
僕は蹴りにブレーキをかけるように、無理矢理勢いをゆるめる。これで威力は弱まった筈だ。
踵がジョアンさんの脇腹にヒットする。そこは鎧で覆われている箇所だ。だが鎧はメコッと凹み、ジョアンさんは吹っ飛んだ。
「ぬあああッ!」
ジョアンさんが吹っ飛んだのは、仲間達がいる方向だ。彼らは素早くジョアンさんをかわし、ジョアンさんはギルドの外にある木箱に激突した。木箱は豪快に爆散。破片がそこらじゅうに広まった。
「あちゃー、やっちゃった」
僕は思わず、口を手で覆った。
「おいおいお前ら、よける事ないだろう。酷い奴らだなぁ」
ジョアンさんは笑いながら、粉砕された木箱の中から立ち上がる。そして服についた木屑を払いながらこちらへ戻って来た。仲間達も笑っている。
「君、強いな。参ったよ、俺の負けだ。降参!」
ジョアンさんは両手を上にあげ、ニカッと笑う。
「あの、ごめんなさい。やりすぎました」
僕はペコリと頭を下げた。
「いや、いいんだ。手加減してくれた事も分かってる。実を言うと、君の醸し出す雰囲気だけで実力差には気づいていたんだ。ああ、この娘は強いってね。だけどそこは、男のプライドって奴さ。まぁ、結果は散々だったが」
そう言って肩をすくめるジョアンさん。
「何はともあれ、君は合格だよ。これからよろしくな。君、名前は?」
「はい! ボクの名前はリオンです! よろしくお願いします!」
僕はジョアンさんに駆け寄って握手をした。他の仲間達も、僕を笑顔で迎えてくれたのだった。
ジョアンさんは半笑いでそう言った。冗談か何かだと思っているのだろう。
「もちろん、ボクの実力をです」
僕は笑顔でそう返す。すると四人は顔を見合わせ、何か身振りや手振りをした。
「仕方ない。そこまで言うのなら、君を試してあげよう。俺と一騎打ちだ。君の武器は何だい?」
ジョアンさんはそう言ったが、武器? 武器なんて持ってないぞ。
「武器は持ってないです。まぁ強いて言えば、この拳が武器ですかね」
そう答える。
「素手か。うーん......俺は武術の経験がないから剣を持つよ。もちろん、鞘からは抜かない。試しで命を落としたら、元も子もないからね。それでいいかな?」
「はい、それで大丈夫です」
「よし。じゃあちょっと表に出ようか。おーいマリア、ちょっと外に出る! 先に勘定だけ頼むよ」
「はーい」
ウエイトレスさんの名前はマリアと言うらしい。ジョアンさんが先に立ち、マリアさんにお金を払って店を出る。他の三人も、見物の為に外へ出るようだ。ボクもその後に続く。
(リオン! お前のその体は規格外のパワーを持ってる! 絶対に本気を出すなよ! あの男を殺してしまうぞ!)
(うん、わかってる。バレないように手加減するよ)
ベルの忠告を受けつつ、外へ出る。ギルド出張所の前は、広場と言っても差し支えない広さだった。
周辺に人影は見えない。ジョアンさんの仲間だけだ。これなら無関係の人に怪我をさせる心配も無さそうである。
僕とジョアンさんは一定の距離を取り、向かい合った。彼は剣を鞘に納めたまま、正面に構える。
「いつでもいいぞ。かかって来い」
ジョアンさんの表情は真剣だった。僕を絶対にパーティーに入れない、と言う気迫が感じられる。
「じゃあ、行きます!」
僕は前傾姿勢で、ジョアンさんに向かって突進する。この体は考えるのが苦手だから、ごくシンプルな攻撃。顎かみぞおちを拳で打ち抜き、気絶させる算段だ。まぁ、相手が無抵抗なわけ無いから、変更を余儀なくされるだろうけど。
「せぁぁッ!」
ジョアンさんは僕を薙ぎ払うように剣を横に振った。僕はそれを、垂直の跳躍でかわす。本能で、勝手に体が動く感覚だった。
「なっ!?」
ジョアンさんは目を見開いて驚く。僕は彼の頭上から、踵を脳天に向かって振り下ろす。
(それはダメだリオン! 死ぬぞ!)
(うわ、そっかダメか!)
手加減って難しい! 素早く足を引き、そのまま着地。剣を横に振り切ったジョアンさんは隙だらけだ。脇腹に蹴りを打ち込めば、終わりだろう。
武術は帝国にいた時、専属の師範がいてその人から習っていた。昔の体はひ弱で、思い通りに動いてくれなかった。師範にも無能と蔑まれ、何度もぶたれた。
だけど今は違う。この体はイメージ通り、いや、イメージ以上の素晴らしい動きをしてくれる。イメージのさらに上を行く動き。帝国で習った武術を勝手にアレンジし、自分のものにしている感覚だ。
左足で踏み込み、体を捻りながら右足で蹴りを放つ。
(足を伸ばし切るなリオン! 威力が強すぎる!)
(やばッ!)
体が勝手に動くのは、いい事ばかりじゃないらしい。手加減が、とても難しいのだ。戦う前は出来ると思っていたけど、ベルのサポートがなければ無理かも知れない。
僕は蹴りにブレーキをかけるように、無理矢理勢いをゆるめる。これで威力は弱まった筈だ。
踵がジョアンさんの脇腹にヒットする。そこは鎧で覆われている箇所だ。だが鎧はメコッと凹み、ジョアンさんは吹っ飛んだ。
「ぬあああッ!」
ジョアンさんが吹っ飛んだのは、仲間達がいる方向だ。彼らは素早くジョアンさんをかわし、ジョアンさんはギルドの外にある木箱に激突した。木箱は豪快に爆散。破片がそこらじゅうに広まった。
「あちゃー、やっちゃった」
僕は思わず、口を手で覆った。
「おいおいお前ら、よける事ないだろう。酷い奴らだなぁ」
ジョアンさんは笑いながら、粉砕された木箱の中から立ち上がる。そして服についた木屑を払いながらこちらへ戻って来た。仲間達も笑っている。
「君、強いな。参ったよ、俺の負けだ。降参!」
ジョアンさんは両手を上にあげ、ニカッと笑う。
「あの、ごめんなさい。やりすぎました」
僕はペコリと頭を下げた。
「いや、いいんだ。手加減してくれた事も分かってる。実を言うと、君の醸し出す雰囲気だけで実力差には気づいていたんだ。ああ、この娘は強いってね。だけどそこは、男のプライドって奴さ。まぁ、結果は散々だったが」
そう言って肩をすくめるジョアンさん。
「何はともあれ、君は合格だよ。これからよろしくな。君、名前は?」
「はい! ボクの名前はリオンです! よろしくお願いします!」
僕はジョアンさんに駆け寄って握手をした。他の仲間達も、僕を笑顔で迎えてくれたのだった。
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