【完結】生贄にされた第九皇子、邪神に見込まれて最強の使徒になる。

アキ・スマイリー

文字の大きさ
30 / 33

第30話 思い出話。

しおりを挟む
「はぁぁー♡ リオン様♡ 可愛い♡ リオン様だいしゅき、しゅきしゅきぃ♡」

 クリザヘルは僕が魔王リオンだと分かってから、全然離してくれない。ずっとスリスリしてくる。

「もー、わかったってばクリザヘル。僕を好きでいてくれるのは嬉しい。でもいつまでもこんな事してられないでしょ? ゴブリンに捕まった人達を、早く村に返してあげなきゃ」

「はい、もちろんです♡ 私はどんな時もリオン様のお役に立って見せますわ。ベルゲニウス様のように瞬間移動する魔法は使えませんが、この城にはゴブリンロード専用の気球がございます。それを使って行きましょう」

「へぇ、そんなのがあるんだ! じゃあお願い!」

「はい♡ かしこまりました! では準備して参りますので、ここで少しお待ち下さいませ!」

 クリザヘルはそう言って、元気に走っていった。

「やれやれ、やっと解放された」

 クリザヘルから解放された僕は、廊下の壁によりかかって座り込む。

「こっちの体は疲れてないんだけど、精神的に疲れたよ。少し休もう、ジョアン」

 僕がそう提案すると、ジョアンも僕の横に座った。

「そうだな。俺も少し疲れた」

 そう言って、彼は優しく微笑んだ。その微笑みを見て、僕の心は癒された。

「ねぇ、ジョアンは前世の記憶を取り戻したんだよね? 教えて、僕たちの前世の事。僕は、まだほとんど思い出せてないんだ」

「ああ、それがな」

 ジョアンはそこまで言って、ふぅ、とため息をつく。

「俺の記憶も中途半端なんだ。あやふやな所が結構ある。だから、前世の話はまだやめておこう。お互いがしっかり思い出したら、その時に話そう」

 そう言って薄く笑うジョアン。

「そっか、そうだね。じゃあ教えて。ジョアンが傭兵だった頃の話とか、冒険者になってからの話とか」

「ああ、それなら話せる。じゃあリオン、引き換えにお前の冒険も教えてくれないか? サルート村の出身と聞いていたが、その辺の話もな。どうして冒険者になったのか、とか」

「うん、もちろん。本当は僕、サルート村の出身じゃないんだ......」

 そうして、僕とジョアンはお互いの過去を話しあった。

 ジョアンは元々僕の出身地であるグリオルド帝国の傭兵だった事を話してくれた。そして僕が帝国の第九皇子だった事を聞いて、大層驚いた。

「そんな事があったのか......生まれと親は選べないからな。やっぱり帝国は悪だ。いつか、滅ぼしてやろう」

「うん。そうだね。そしてこれは単なる勘なんだけど、帝国の裏には勇者サタナキアスがいるような気がする。もしそうなら、僕達の倒すべき相手は決まった」

「奇遇だな。俺も全く同じ意見だ。証拠はまだないが、何故か確信がある。前世の記憶をもっと取り戻せたら、何か手がかりが掴めるかも知れないがな」

「うん。そうだね。だけど今は力も情報も足りない。僕の元々の目的であるベルゲニウス信者を増やす旅をしながら情報を集め、力をつけて行こう」

「ああ、それが良さそうだ」

 僕たちの話がまとまった所で、丁度良くクリザヘルが戻って来た。

「リオン様、ジョアン様。気球の準備が整いましたわ。早速サルート村へ参りましょう。ゴブリンに捕まっていた女性達は、すでに気球に乗り込んでいただきました」

 深々と頭を下げるクリザヘル。中々に手際がいい。さすが賢者。

「オッケー。ありがとうクリザヘル。さぁ、行こうジョアン」

「ああ!」

 僕は先に立ち上がってジョアンの手を掴んだ。彼はニヤリと笑って立ち上がり、僕の肩に腕をまわした。

「行こうぜ、相棒!」

 





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

「お前の代わりはいる」と追放された俺の【万物鑑定】は、実は世界の真実を見抜く【真理の瞳】でした。最高の仲間と辺境で理想郷を創ります

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の代わりはいくらでもいる。もう用済みだ」――勇者パーティーで【万物鑑定】のスキルを持つリアムは、戦闘に役立たないという理由で装備も金もすべて奪われ追放された。 しかし仲間たちは知らなかった。彼のスキルが、物の価値から人の秘めたる才能、土地の未来までも見通す超絶チート能力【真理の瞳】であったことを。 絶望の淵で己の力の真価に気づいたリアムは、辺境の寂れた街で再起を決意する。気弱なヒーラー、臆病な獣人の射手……世間から「無能」の烙印を押された者たちに眠る才能の原石を次々と見出し、最高の仲間たちと共にギルド「方舟(アーク)」を設立。彼らが輝ける理想郷をその手で創り上げていく。 一方、有能な鑑定士を失った元パーティーは急速に凋落の一途を辿り……。 これは不遇職と蔑まれた一人の男が最高の仲間と出会い、世界で一番幸福な場所を創り上げる、爽快な逆転成り上がりファンタジー!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

処理中です...