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追放ざまぁ殺人事件編。

第17話 聞き込みを開始します。

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 シャルティアは検死を終え、憲兵達に遺体を運ぶ指示をする。

「この遺体を侵食している植物は、人間に寄生し養分を吸い取る、非常に危険な植物よ。絶対に触れたり近寄ってはいけないわ。ミント、魔法で隔離してくれる?」

「了解です」

 ミントは腰に差した短い杖を取り出して、円を描くように振る。ミントは悪魔と契約する事で超常の力を発揮する「黒魔法」使い。空間に作用する魔法を使う事が出来るのだ。

「ライマ・トリト・スペーシア! 空間隔離!」

 ミントの魔法により、黒いモヤに覆われた遺体達。これで外からも内側からも、「特定の魔法」や「特殊な道具」以外では干渉する事は出来ない。

「これでいいわ。あなた達、特殊搬送用の担架を用意して」

 シャルティアは一般憲兵達に担架を用意させる。この担架は遺体の搬送に危険を伴う場合に使用する、特殊仕様だ。

「ミント、遺体を担架にのせて頂戴」

「はい! すぐに」

 ミントは即座に魔法で遺体を浮かせ、そのまま担架に乗せる。

「オッケー。それじゃあフェイ、後はよろしくね。私とミントは、遺体を庁舎に搬送するから」

「うん、任せて」

 去って行くシャルティア、ミント、憲兵達を見送り、フェイはクライスを伴って聞き込みを開始した。まずは第一発見者である、冒険者パーティーのメンバーだ。

 このパーティーは男二人、女二人の四人パーティー。男女のカップルが二組成立していて、今回殺されたのはその一組。第一発見者は、残りの一組だ。

「この方に見覚えはありますか?」

 シャルティアがスケッチした似顔絵を、第一発見者のカップルに見せる。

「なんだこりゃ。ガキの落書きか?」

「汚い絵ね。私の方が、もっと上手に描けるわよ」

 予想通りの反応。これまでに、シャルティアの似顔絵が役に立った事はあるのだろうか。

 クライスはフェイの横でニヤニヤと笑っている。

「これは被害者が最後に見た顔なんです。ウチの検死官がユニークスキルで読み取り、スケッチしたものなのですが......誰かに似ているとか、そう言った事はないですか? もう一度、よく見てください」

 フェイは根気強くそう言った。せっかくシャルティアが描いてくれたのだ。どうにか役立てたい。

「そう言われてもな......ん? そういや、このホクロ」

 似顔絵はおそらく男性なのだが、顎のあたりにグリグリと丸くホクロのようなものが描かれている。

「ケランの奴も、こんなホクロがあった。まぁ、共通点といやそれくらいだが」

「そのケランとは、誰ですか?」

「ああ、前は俺たちのパーティーにいたんだけどな。リーダーが追放したんだ。役立たずだってんでな」

 フェイは追放と聞いてピンとくるものがあった。だが自分の身の上を思い出し、少しイラッとした。

「追放ですか......もしかしてその方、【発芽】のユニークスキルを持っていませんでしたか?」

「ん? ああ、持ってたよ。ケランはいつも、それで野菜や果物を発芽させて育ててた。時々俺たちにも振る舞ってくれたよ。だけど、それだけだな。あいつがいて役に立ったのは」

「そうね。まぁ、あいつが抜けた後は食費が増えたけど......それだけよ。大した損失じゃないわ。多分」

 やはりそうか、とフェイは思った。

「実は、被害者の二人を殺したスキルは【発芽】なんです。非常に珍しいスキルなので、その真の能力について詳しい方は少ないのですが、数十年前にも同様の事件が起こっていました。その時の犯人が発芽させた植物は【オニヒル草】。人間の養分を吸い取って、自らの糧とする恐ろしい植物です。しかも、【発芽】スキル以外では発芽も成長もせず、すぐに枯れてしまう事がわかっています」

 フェイの説明に、二人は顔を見合わせる。

「マジかよ! あの役立たずがリーダー達を殺したってのか......!? いやその前に、あそこから脱出したのか......!?」

「そうよ! そうに決まってるじゃない! つまり復讐なんだわ、あいつの! じゃあ私達もやばいじゃないの!」

 二人はパニック状態だ。復讐。その為に人を殺すなんて、勿論間違っている。だが、それでもフェイは少しだけケランの気持ちが理解出来る気がした。

 おそらくケランは、ダンジョンの深部に置き去りにされたのだろう。身動きの取れない状態で、たった一人。

 それで恨みを抱くな、と言うのは無理がある。そう思いを巡らせながらも、フェイは二人を見て微笑んだ。

「その話、詳しく聞かせて頂けますか?」

 フェイの微笑に、二人は戸惑いがちに頷いたのだった。



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