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追放ざまぁ殺人事件編。

第19話 その気持ち、わかります。

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「私とシンディ、ケランはバゲット村の出身。小さい時から、三人いつも一緒だった。冒険者になるってケランが言い出した時も、私達は付いて行った。不安はなかった。三人一緒なら、どんな苦難も乗り越えられる。そう信じてた」

 ミルは声に涙を混じらせながら、目を潤ませて話しを続ける。

 ガルが何か言いたそうにしているが、クライスに突きつけられた杖に怯え、押し黙っている。

「冒険者の仕事は順調だった。だけどダンジョンの下層に進む為には、もっと戦力が必要だった。そんな時に声をかけてきたのが、ランディとガルよ」

 ミルは突然、憎しみをあらわにしてガルを睨んだ。

「こいつらはクズよ。ケランがお人好しなのをいい事に、彼を奴隷の様に扱った。そしてケランを庇う私とシンディに媚薬を飲ませて犯した。ケランの目の前で......!」

 泣き崩れ、顔を両手で覆うミル。クライスはギリギリと歯軋りをしている。きっとガルが許せないのだろう。彼に対する怒りを必死に堪えているのだ。

「ガルさん、強姦罪も追加ですね」

 フェイは吐き捨てるようにそう言った。ガルは無言でフェイから目を逸らす。

 それからフェイはミルを労わるように、彼女の肩にそっと手を置いた。

「ではミルさん、その時からランディさんとガルさんの殺害を企てていた。そう言う事ですね」

 フェイが問うと、ミルは顔を覆ったまま頷いた。

「そしてガルさんとランディさんは、シンディさんとミルさんを手に入れたと思った。彼女達が情けないケランさんに見切りをつけ、自分達の恋人になったのだと。でも実際は違った。全ては彼女達とケランさんの計画。彼がダンジョンに置き去りにされたのも、計画のうちだったんですね?」

 フェイが続ける。ミルは顔を覆っていた両手を下ろし、再びガルを睨んだ。

「そうよ。あのダンジョンには、スキルを覚醒させる魔道具があるって、ある人から聞いたの。ケランのスキルが、恐ろしい力を秘めている事も、その人から聞いた。だから私達は、ケランを嫌う振りをしてガル達をそそのかした。そしてケランを縛って、ダンジョンの下層に置いてきたの。もちろん、縄はすぐ解けるようにしてあった。そしてありとあらゆる白魔法で加護を与えて、彼の安全も確保しておいたわ。ケランは計画通り、スキルを覚醒させた。彼はやってきたわ。そしてランディが死んだ。次はあんたよ、ガル!」

 狂ったように高笑いするミルに、ガルは心底怯えた様子で耳を塞いだ。

「自業自得だな」

 クライスが呟く。だがフェイは、腑に落ちなかった。

「うん。自業自得ってのは間違いないよね。でもケランはどうして、シンディまで殺してしまったのかな」

「まぁ、確かにな」

 クライスは「うーん」と唸る。

「ふん! そんなの、きっとランディがシンディを盾にしたのよ!あのクズならやりかねないわ。あんたも襲われたら、きっと私を盾にするんでしょうね!」

 ミルはガルを睨みながらそう言った。

「し、しねぇって。俺はお前を愛してるんだ」

「ハッ! 無理矢理犯しておいてよく言うわよ! 二度と言わないで、気持ち悪い!」

 恐ろしい形相でガルを睨むミルを見ながら、フェイは考えた。

(ランディがシンディを盾に? 本当にそうだろうか。いや、おそらく違う。ケランはきっと、スキルの覚醒がきっかけで精神に異常をきたしている)

「ミルさん、ケランさんの居場所はわかりますか?」

「そんなの、答える訳ないじゃない。私はこいつに死んで欲しいの。そしてケランに捕まって欲しくない。まぁ、私は殺人幇助ほうじょで捕まるんでしょうけどね。だけどいいわ。ケランさえ無事なら」

 フン、と鼻を鳴らすミル。

「いえ、ミルさん。ケランさんはおそらく、あなたの事も殺そうとする筈です。彼の心は壊れてしまった。スキル覚醒のせいでしょう。過去にもそう言った事例があるんです。お願いですから、ケランさんの居場所を教えてください」

「そんな、あり得ないわ! ケランが私を殺そうとするなんて!」

 ミルが叫ぶ。

「ミルさん......」

 フェイが言いかけた時、彼女の耳に装着された魔道具「魔音波通信機」通称「魔通機」に着信があった。

「はい、フェイです」

「フェイ、私だ! 緊急事態だ!」

 通信相手はリゼだった。

「どうしたの、リゼ姉!」

 リゼの声は緊迫していた。フェイは緊張しながら、リゼの返答を待つ。

「王都中心街で例の植物、オニヒル草が大繁殖している! 憲兵達の働きで今のところ死者は出ていないが、時間の問題だ! 帰還したシャルティアも、遺体から発生したオニヒル草に襲われている! あの植物にはミントの【空間隔離】も通用しないようだ! 生物相手ならクライスの魔法が有効だろう! ミントをそっちに行かせる! 三人で協力して、直ちに容疑者を捕縛してくれ!」

 なんて事だ。フェイは素早く脳内でプランを練り上げる。

「シャルティアは無事なの!?」

「ああ、どうにかな! 私も応戦しているから、庁舎の皆とシャルティアの事はとりあえず大丈夫だ! だが時間がない! 急げ!」

「わかった!」

 フェイは頷き、通話を切った。

「ミルさん、中心街でケランさんが暴れています! 協力してもらいますよ!」

 フェイは強い意志で、ミルを見つめた。ミルは事情を察したように、コクリと頷いた。
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