19 / 52
追放ざまぁ殺人事件編。
第19話 その気持ち、わかります。
しおりを挟む
「私とシンディ、ケランはバゲット村の出身。小さい時から、三人いつも一緒だった。冒険者になるってケランが言い出した時も、私達は付いて行った。不安はなかった。三人一緒なら、どんな苦難も乗り越えられる。そう信じてた」
ミルは声に涙を混じらせながら、目を潤ませて話しを続ける。
ガルが何か言いたそうにしているが、クライスに突きつけられた杖に怯え、押し黙っている。
「冒険者の仕事は順調だった。だけどダンジョンの下層に進む為には、もっと戦力が必要だった。そんな時に声をかけてきたのが、ランディとガルよ」
ミルは突然、憎しみをあらわにしてガルを睨んだ。
「こいつらはクズよ。ケランがお人好しなのをいい事に、彼を奴隷の様に扱った。そしてケランを庇う私とシンディに媚薬を飲ませて犯した。ケランの目の前で......!」
泣き崩れ、顔を両手で覆うミル。クライスはギリギリと歯軋りをしている。きっとガルが許せないのだろう。彼に対する怒りを必死に堪えているのだ。
「ガルさん、強姦罪も追加ですね」
フェイは吐き捨てるようにそう言った。ガルは無言でフェイから目を逸らす。
それからフェイはミルを労わるように、彼女の肩にそっと手を置いた。
「ではミルさん、その時からランディさんとガルさんの殺害を企てていた。そう言う事ですね」
フェイが問うと、ミルは顔を覆ったまま頷いた。
「そしてガルさんとランディさんは、シンディさんとミルさんを手に入れたと思った。彼女達が情けないケランさんに見切りをつけ、自分達の恋人になったのだと。でも実際は違った。全ては彼女達とケランさんの計画。彼がダンジョンに置き去りにされたのも、計画のうちだったんですね?」
フェイが続ける。ミルは顔を覆っていた両手を下ろし、再びガルを睨んだ。
「そうよ。あのダンジョンには、スキルを覚醒させる魔道具があるって、ある人から聞いたの。ケランのスキルが、恐ろしい力を秘めている事も、その人から聞いた。だから私達は、ケランを嫌う振りをしてガル達をそそのかした。そしてケランを縛って、ダンジョンの下層に置いてきたの。もちろん、縄はすぐ解けるようにしてあった。そしてありとあらゆる白魔法で加護を与えて、彼の安全も確保しておいたわ。ケランは計画通り、スキルを覚醒させた。彼はやってきたわ。そしてランディが死んだ。次はあんたよ、ガル!」
狂ったように高笑いするミルに、ガルは心底怯えた様子で耳を塞いだ。
「自業自得だな」
クライスが呟く。だがフェイは、腑に落ちなかった。
「うん。自業自得ってのは間違いないよね。でもケランはどうして、シンディまで殺してしまったのかな」
「まぁ、確かにな」
クライスは「うーん」と唸る。
「ふん! そんなの、きっとランディがシンディを盾にしたのよ!あのクズならやりかねないわ。あんたも襲われたら、きっと私を盾にするんでしょうね!」
ミルはガルを睨みながらそう言った。
「し、しねぇって。俺はお前を愛してるんだ」
「ハッ! 無理矢理犯しておいてよく言うわよ! 二度と言わないで、気持ち悪い!」
恐ろしい形相でガルを睨むミルを見ながら、フェイは考えた。
(ランディがシンディを盾に? 本当にそうだろうか。いや、おそらく違う。ケランはきっと、スキルの覚醒がきっかけで精神に異常をきたしている)
「ミルさん、ケランさんの居場所はわかりますか?」
「そんなの、答える訳ないじゃない。私はこいつに死んで欲しいの。そしてケランに捕まって欲しくない。まぁ、私は殺人幇助で捕まるんでしょうけどね。だけどいいわ。ケランさえ無事なら」
フン、と鼻を鳴らすミル。
「いえ、ミルさん。ケランさんはおそらく、あなたの事も殺そうとする筈です。彼の心は壊れてしまった。スキル覚醒のせいでしょう。過去にもそう言った事例があるんです。お願いですから、ケランさんの居場所を教えてください」
「そんな、あり得ないわ! ケランが私を殺そうとするなんて!」
ミルが叫ぶ。
「ミルさん......」
フェイが言いかけた時、彼女の耳に装着された魔道具「魔音波通信機」通称「魔通機」に着信があった。
「はい、フェイです」
「フェイ、私だ! 緊急事態だ!」
通信相手はリゼだった。
「どうしたの、リゼ姉!」
リゼの声は緊迫していた。フェイは緊張しながら、リゼの返答を待つ。
「王都中心街で例の植物、オニヒル草が大繁殖している! 憲兵達の働きで今のところ死者は出ていないが、時間の問題だ! 帰還したシャルティアも、遺体から発生したオニヒル草に襲われている! あの植物にはミントの【空間隔離】も通用しないようだ! 生物相手ならクライスの魔法が有効だろう! ミントをそっちに行かせる! 三人で協力して、直ちに容疑者を捕縛してくれ!」
なんて事だ。フェイは素早く脳内でプランを練り上げる。
「シャルティアは無事なの!?」
「ああ、どうにかな! 私も応戦しているから、庁舎の皆とシャルティアの事はとりあえず大丈夫だ! だが時間がない! 急げ!」
「わかった!」
フェイは頷き、通話を切った。
「ミルさん、中心街でケランさんが暴れています! 協力してもらいますよ!」
フェイは強い意志で、ミルを見つめた。ミルは事情を察したように、コクリと頷いた。
ミルは声に涙を混じらせながら、目を潤ませて話しを続ける。
ガルが何か言いたそうにしているが、クライスに突きつけられた杖に怯え、押し黙っている。
「冒険者の仕事は順調だった。だけどダンジョンの下層に進む為には、もっと戦力が必要だった。そんな時に声をかけてきたのが、ランディとガルよ」
ミルは突然、憎しみをあらわにしてガルを睨んだ。
「こいつらはクズよ。ケランがお人好しなのをいい事に、彼を奴隷の様に扱った。そしてケランを庇う私とシンディに媚薬を飲ませて犯した。ケランの目の前で......!」
泣き崩れ、顔を両手で覆うミル。クライスはギリギリと歯軋りをしている。きっとガルが許せないのだろう。彼に対する怒りを必死に堪えているのだ。
「ガルさん、強姦罪も追加ですね」
フェイは吐き捨てるようにそう言った。ガルは無言でフェイから目を逸らす。
それからフェイはミルを労わるように、彼女の肩にそっと手を置いた。
「ではミルさん、その時からランディさんとガルさんの殺害を企てていた。そう言う事ですね」
フェイが問うと、ミルは顔を覆ったまま頷いた。
「そしてガルさんとランディさんは、シンディさんとミルさんを手に入れたと思った。彼女達が情けないケランさんに見切りをつけ、自分達の恋人になったのだと。でも実際は違った。全ては彼女達とケランさんの計画。彼がダンジョンに置き去りにされたのも、計画のうちだったんですね?」
フェイが続ける。ミルは顔を覆っていた両手を下ろし、再びガルを睨んだ。
「そうよ。あのダンジョンには、スキルを覚醒させる魔道具があるって、ある人から聞いたの。ケランのスキルが、恐ろしい力を秘めている事も、その人から聞いた。だから私達は、ケランを嫌う振りをしてガル達をそそのかした。そしてケランを縛って、ダンジョンの下層に置いてきたの。もちろん、縄はすぐ解けるようにしてあった。そしてありとあらゆる白魔法で加護を与えて、彼の安全も確保しておいたわ。ケランは計画通り、スキルを覚醒させた。彼はやってきたわ。そしてランディが死んだ。次はあんたよ、ガル!」
狂ったように高笑いするミルに、ガルは心底怯えた様子で耳を塞いだ。
「自業自得だな」
クライスが呟く。だがフェイは、腑に落ちなかった。
「うん。自業自得ってのは間違いないよね。でもケランはどうして、シンディまで殺してしまったのかな」
「まぁ、確かにな」
クライスは「うーん」と唸る。
「ふん! そんなの、きっとランディがシンディを盾にしたのよ!あのクズならやりかねないわ。あんたも襲われたら、きっと私を盾にするんでしょうね!」
ミルはガルを睨みながらそう言った。
「し、しねぇって。俺はお前を愛してるんだ」
「ハッ! 無理矢理犯しておいてよく言うわよ! 二度と言わないで、気持ち悪い!」
恐ろしい形相でガルを睨むミルを見ながら、フェイは考えた。
(ランディがシンディを盾に? 本当にそうだろうか。いや、おそらく違う。ケランはきっと、スキルの覚醒がきっかけで精神に異常をきたしている)
「ミルさん、ケランさんの居場所はわかりますか?」
「そんなの、答える訳ないじゃない。私はこいつに死んで欲しいの。そしてケランに捕まって欲しくない。まぁ、私は殺人幇助で捕まるんでしょうけどね。だけどいいわ。ケランさえ無事なら」
フン、と鼻を鳴らすミル。
「いえ、ミルさん。ケランさんはおそらく、あなたの事も殺そうとする筈です。彼の心は壊れてしまった。スキル覚醒のせいでしょう。過去にもそう言った事例があるんです。お願いですから、ケランさんの居場所を教えてください」
「そんな、あり得ないわ! ケランが私を殺そうとするなんて!」
ミルが叫ぶ。
「ミルさん......」
フェイが言いかけた時、彼女の耳に装着された魔道具「魔音波通信機」通称「魔通機」に着信があった。
「はい、フェイです」
「フェイ、私だ! 緊急事態だ!」
通信相手はリゼだった。
「どうしたの、リゼ姉!」
リゼの声は緊迫していた。フェイは緊張しながら、リゼの返答を待つ。
「王都中心街で例の植物、オニヒル草が大繁殖している! 憲兵達の働きで今のところ死者は出ていないが、時間の問題だ! 帰還したシャルティアも、遺体から発生したオニヒル草に襲われている! あの植物にはミントの【空間隔離】も通用しないようだ! 生物相手ならクライスの魔法が有効だろう! ミントをそっちに行かせる! 三人で協力して、直ちに容疑者を捕縛してくれ!」
なんて事だ。フェイは素早く脳内でプランを練り上げる。
「シャルティアは無事なの!?」
「ああ、どうにかな! 私も応戦しているから、庁舎の皆とシャルティアの事はとりあえず大丈夫だ! だが時間がない! 急げ!」
「わかった!」
フェイは頷き、通話を切った。
「ミルさん、中心街でケランさんが暴れています! 協力してもらいますよ!」
フェイは強い意志で、ミルを見つめた。ミルは事情を察したように、コクリと頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる