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追放ざまぁ殺人事件編。

第22話 犯人、逮捕です。

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「で、どうやってケランを見つけるんだ?」

 ようやくミントの魔法から解放されたクライスが、フラフラしながらフェイに尋ねる。

「まずはオニヒル草の残骸を一ヶ所に集めて欲しいの。続きはその後で話すね」

「わかった。行くぞ、ミント」

「はーい」

 クライスを懲らしめてニッコニコのミントがクライスに続く。

 彼らは周囲で警戒している憲兵達に指示し、オニヒル草の残骸を集めさせた。

「集めたぞ。これからどうする?」

「燃やそう、盛大に」

「マジか......規律違反だぞ」

「本気ですか、フェイさん。民家に燃え移ったら火災になりますよ」

「大丈夫。責任は私が取るから」

 微笑むフェイ。自信溢れるその笑顔に、何も言い返せず二人は行動を開始した。

 数分後。広場の中心で燃え盛る炎に、避難したはずの人々や憲兵が集まる。

「あんたら一体なにやってんだ!?」

「私達の街を燃やす気!?」

「大丈夫です、捜査の一環ですから!」

 抗議を始める人々を、憲兵達がなだめる。

「めちゃくちゃやるなぁフェイ。これで本当にケランが見つかるんだろうな?」

「僕は火が燃え移らないか心配です。魔法省消防課の方々は、既に呼んでありますが......早く来て欲しいです」

 不安そうなクライスとミントだが、フェイは笑顔を崩さない。

「もう見つけたよ。彼がケラン」

 フェイは抗議する人々をなだめている、一人の憲兵を指差した。

「あいつは憲兵だぞ?」

「きっと衣服を奪って変装したんだね。どこかに元の持ち主が倒れている筈。植物で縛られてね。クライス、路地裏のゴミ捨て場を探して見て」

「わかった!」

 走り去るクライス。

 フェイはツカツカとその憲兵に近寄って行く。

「初めましてケラン。君は殺意に溢れていた筈なのに、今は落ち着いている。何があったの?」

 フェイに声をかけられた憲兵は、怪訝そうな顔をする。

「これはフェイ捜査官。一体何をおっしゃっているのか分かりません。私はそのような名前では......」

「嘘は付かなくていいよ。私には通じないから」

「......」

 沈黙する憲兵。周囲の憲兵達も異変に気づき、彼に疑いを持ち始める。

「確かに、彼の顔は見覚えありませんね」

 誰かがそう言った瞬間、彼はきびすを返して走り出した。

「ミント、捕まえて!」

「了解です!」

 光速剣を振るうフェイのスピードをもってすれば、彼を捕まえる事など容易い。だが、その事は隠さなくてはならないのだ。

「ウィン・フェザ・カーチス! 飛翔!」

 ミントは先程クライスをこらしめたように、飛翔の魔法を応用して彼を空中へ浮かせて回転させた。

「うわぁぁーッ!」

 しばらく回転させているとぐったりしたので、そこでようやくフェイはミントに下ろすよう指示した。

「事情を話す気になった? ケラン」

 フェイは倒れ込んだ彼のそばに近寄り、顔を覗き込むようにしゃがみ込んだ。その拍子に大きな胸が「だぷんッ」と揺れる。

「何故、僕がケランだと気づいたの?」

 ケランはフェイの胸に目を奪われつつ、疑問を口にした。

「君がここへ来る事は、予測していたの。発芽はとても珍しい、レアなユニークスキルだよね。それを覚醒させた君は、自分の能力に自信を持ってる。自分の使役したオニヒル草達が駆逐され、燃やされた事に怒りを感じた筈。だから集まった群衆の中から、この似顔絵に該当する人物を探したの」

 フェイはそう言って、胸の谷間から紙を一枚取り出した。その様子を見て、ケランが赤面する。

 紙はシャルティアが描いた似顔絵だった。ケランはそれを見て、プッと噴き出す。

「良くこんな下手な絵で、僕を見つけられたね」

「ふふっ、そうだね。確かに下手かも知れない。だけど、良く特徴を捉えてるよ。ホクロの位置とか、左右の目のバランス。髪の質や長さ。顔の形。この絵は情報の宝庫だよ」

 フェイはそう言って微笑む。そのやり取りを聞いていたミントも、ウンウンと頷く。

「さすがです、フェイさん! シャルティアさんの素晴らしい似顔絵を活用出来るのは、やっぱりフェイさんだけですね。課長には無理でしたから」

 やはり本物のフェイも、見事な観察眼を持っていたようだ。これで間違いなく、フェイフェレルはミントの信用を得る事に成功した。

「ありがとミント。さぁケラン、一緒に来て頂戴。事情は憲兵庁舎で聞かせて」

 フェイは「謙虚の腕輪」をケランの両腕に嵌める。これは魔法、スキルなどのあらゆる特殊能力を使用出来なくする腕輪だ。

「わかりました、全部話します」

 ケランは大人しく、フェイに従ったのだった。




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