49 / 52
魔王討伐と臆病な勇者編。
第49話 ゆっくり剣を振ってみます。
しおりを挟む
「ふん! ならば僕から盗んだ石版の文字を読んでみろ! 本物の勇者ならば出来るだろう!」
「おっ、それもそうだな。冴えてるぜ、セレスティン」
「流石ですわ、勇者様」
「やはり勇者ともなると一味違うな」
仲間は関心したように、セレスティンを見つめる。
「ああ、いいだろう。僕が本物だと証明する。フェイ、この偽物から奪還した石版をくれ」
「はい、これです」
フェイは腰についたポーチから手のひらサイズの丸い石版を取り出し、黒髪の青年に渡した。すると石版の文字が、光輝く。
青年は、その文字を朗々と読み上げた。呆気に取られる勇者一行。
「ほら、読んだぞ。次はお前の番だ」
黒髪の青年はそう言って、石版を投げて寄越した。セレスティンはキャッチしたが、石版の文字は光らない。わかっていた事だった。
だが相手が偽物なら、自分に順番が回る前に殺すつもりだった。しかし、そうはならなかった。順番が回って来てしまった。
「おまえ、セレスティンじゃないのか......?」
「魔王の手先! 私達を騙したのですね!」
「ええい、無礼千万! よりによって勇者になりすますとは!」
仲間達がセレスティンから離れる。
「これでわかってもらえたかな? ちなみにもう、四天王も魔王も倒して来た。これが証拠だ」
黒髪の青年は背中に背負っていた荷物袋を下ろし、それを広げて仲間達に見せた。中には四天王と魔王の生首が入っていた。
「確かに、この顔は四天王だぜ......」
「とするとこれは魔王ですね。魔王ってこんな......おえええぇッ!」
「グッ、吾輩も吐きそうである。だが、確かに確認した。これで世界に平和が訪れるのだな。さすがは勇者殿であるな」
仲間達が青年を褒め称える。これでセレスティンの立場は完全に無くなった。
戦うか? いや、相手はあの強力な四天王だけならず、魔王まで倒した相手。本物の勇者ではないにしても、相当な強さだ。勝ち目はない。
ならば、逃げるのみ。
「おいおい、逃すと思うか、偽勇者」
こちらの逃げる意思を察したように、本物の勇者セレスティンが笑う。
「ここはフェイ、君に任せるよ」
「殺していいんですよね? 任せて下さい! ハァァァッ!」
フェイは拳に光を集める。
「おいフェイ! それは多分ヤバイ! この建物が崩壊する! 力を弱めろ! 軽くでいいんだ、軽くで! 自分の力を自覚しろ! もういい、やっぱり僕がやる」
「ええー、せっかくストレス解消出来ると思ったのに」
フェイは残念そうに肩を落とす。セレスティンはその肩をポンポンと叩き、偽セレスティンの前にやって来た。
「なるべくゆっくり斬るから。そうすれば、みんなにも見えるだろう。斬ったのを、みんなにも認識してもらわなきゃならないからね。だからごめん、かなり痛いと思う」
セレスティンは謝りながら、剣を抜く。
彼が何故謝っているのかは、偽セレスティンにはわからなかった。だが、彼は安堵に包まれていた。
魔王討伐の重責から、ようやく解放される。そう思うと、心が安らいだ。
「せやッ!」
勇者セレスティンが剣を一閃する。彼はゆっくり斬ると言っていたが、充分速い。
だから、そんなに痛くなかった。偽セレスティンの意識は、そこで途絶えた。
「おっ、それもそうだな。冴えてるぜ、セレスティン」
「流石ですわ、勇者様」
「やはり勇者ともなると一味違うな」
仲間は関心したように、セレスティンを見つめる。
「ああ、いいだろう。僕が本物だと証明する。フェイ、この偽物から奪還した石版をくれ」
「はい、これです」
フェイは腰についたポーチから手のひらサイズの丸い石版を取り出し、黒髪の青年に渡した。すると石版の文字が、光輝く。
青年は、その文字を朗々と読み上げた。呆気に取られる勇者一行。
「ほら、読んだぞ。次はお前の番だ」
黒髪の青年はそう言って、石版を投げて寄越した。セレスティンはキャッチしたが、石版の文字は光らない。わかっていた事だった。
だが相手が偽物なら、自分に順番が回る前に殺すつもりだった。しかし、そうはならなかった。順番が回って来てしまった。
「おまえ、セレスティンじゃないのか......?」
「魔王の手先! 私達を騙したのですね!」
「ええい、無礼千万! よりによって勇者になりすますとは!」
仲間達がセレスティンから離れる。
「これでわかってもらえたかな? ちなみにもう、四天王も魔王も倒して来た。これが証拠だ」
黒髪の青年は背中に背負っていた荷物袋を下ろし、それを広げて仲間達に見せた。中には四天王と魔王の生首が入っていた。
「確かに、この顔は四天王だぜ......」
「とするとこれは魔王ですね。魔王ってこんな......おえええぇッ!」
「グッ、吾輩も吐きそうである。だが、確かに確認した。これで世界に平和が訪れるのだな。さすがは勇者殿であるな」
仲間達が青年を褒め称える。これでセレスティンの立場は完全に無くなった。
戦うか? いや、相手はあの強力な四天王だけならず、魔王まで倒した相手。本物の勇者ではないにしても、相当な強さだ。勝ち目はない。
ならば、逃げるのみ。
「おいおい、逃すと思うか、偽勇者」
こちらの逃げる意思を察したように、本物の勇者セレスティンが笑う。
「ここはフェイ、君に任せるよ」
「殺していいんですよね? 任せて下さい! ハァァァッ!」
フェイは拳に光を集める。
「おいフェイ! それは多分ヤバイ! この建物が崩壊する! 力を弱めろ! 軽くでいいんだ、軽くで! 自分の力を自覚しろ! もういい、やっぱり僕がやる」
「ええー、せっかくストレス解消出来ると思ったのに」
フェイは残念そうに肩を落とす。セレスティンはその肩をポンポンと叩き、偽セレスティンの前にやって来た。
「なるべくゆっくり斬るから。そうすれば、みんなにも見えるだろう。斬ったのを、みんなにも認識してもらわなきゃならないからね。だからごめん、かなり痛いと思う」
セレスティンは謝りながら、剣を抜く。
彼が何故謝っているのかは、偽セレスティンにはわからなかった。だが、彼は安堵に包まれていた。
魔王討伐の重責から、ようやく解放される。そう思うと、心が安らいだ。
「せやッ!」
勇者セレスティンが剣を一閃する。彼はゆっくり斬ると言っていたが、充分速い。
だから、そんなに痛くなかった。偽セレスティンの意識は、そこで途絶えた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる