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第37話 忌まわしき歓声。
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ダフネ本人を含む四人が、一斉に剣を振り下ろしてくる。彼女達は俺の周囲を取り囲むように立っている為、逃げ場は一ヶ所しかない。
すなわち、上だ!
「はぁッ!」
俺は気合いを入れて瞬時に跳躍。四人の頭上へと舞う。四人は俺を見上げ、それぞれが剣を構える。
着地した所を串刺しにするつもりだろう。つまり、このまま降りる訳には行かない。
「風よ、集約せよ! ウインド・ボム!」
俺は風を纏わせた衝撃波を右手から放ち、待ち構える四人の中心へと打ち込む。技名は今考えた!
「......!」
驚きの表情を浮かべるも、声も上げずに四方に吹き飛ぶ四人。俺はすかさず風の力で高速飛行し、ダフネの背後に回って彼女を抱き止める。間一髪間に合った。影たちは闘技場の壁に激突し、霧のように消滅した。
俺はダフネを抱き抱えたまま着地。彼女は俺の腕を振り払おうと暴れ、肘打ちを顔面に打ち込んでくる。
俺はすかさずそれをかわし、彼女のうなじに蠢く虫を指でむしり取った。このチャンスを逃す訳には行かなかった。
ダフネの首から虫が伸ばしていた針のようなものが抜け、鮮血がほとばしる。くッ、まさか脳まで食い込んでいたのか!?
虫はダフネに食い込ませていたおぞましい針を、今度は俺に向かって伸ばして来た。
「くッ!」
俺は顔を逸らして針を避け、虫を指で潰す。すると針はビクビクと震え、力無くだらりと垂れた。
「ダフネ!」
俺は倒れ込んだダフネに向かって駆け寄り、彼女を抱き上げる。
「ティム......様......!」
ダフネは悲しげに微笑む。
「もう一度、あなた様の名前を呼ぶ事が出来て......私は嬉しいです」
「これから何度だって呼べる! さぁ、二人でここを出るぞ!」
俺はそう言ってダフネの肩と腰を両腕で抱えるように抱き上げる。
「それは出来ないのです、ティム様......この闘技場には、どちらかが死ななくては絶対に出られぬよう、魔術が施してあるのです。ですから私を......」
「嫌だ!」
俺はダフネを抱えたまま、闘技場の出入り口であるアーチに向かってウインド・ボムを放つ。壁も何もないように見えるアーチだが、俺の攻撃は出入り口の目前で消滅した。
「ティム様......愛しています」
ダフネはそう言って、俺の唇に自身の唇を重ねた。俺は驚いて、言葉を失う。
「ふふッ。シュミラ様には、申し訳ないですが......キス、いただきました。これが私の想い。ティム様に会えて私は、幸せでした......」
ダフネはそう言って笑うと、口から血を吐き、目を閉じた。彼女の手から、空の小瓶が落ち、床を転がって行く。
まさか......! 毒か!
「ダフネ! なんて事を!」
俺は声を殺して震えた。悲しみと怒りが体を突き破って来そうになる。感情が目から溢れ出る。
彼女の体が冷たくなって行く。呼吸は止まり、脈もない。ダフネは......死んだ。
優しく気高い彼女の笑顔が、瞼の裏に浮かぶ。
審判が俺の勝利を告げ、歓声が湧き起こる。なんの歓声だ? ダフネが死んだのが、そんなに嬉しいのか? 俺は血が出るほど唇を噛んだ。
歓声の中、ユリウスが拍手をしながら立ち上がる。満面の笑みで、俺とダフネを見下ろしていた。
「おめでとうございますティム様。素晴らしい勝利です。こんな事もあろうかと、娘達には即効性の毒をプレゼントしていたのです。いやぁ、役立って良かった」
殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す!
俺の心は、殺意と憎しみに食い尽くされそうだった。
だが......どうやら最後にダフネは、神術を俺にかけてくれたようだった。渦巻いていた憎悪が、スーッと溶けて行くのを感じる。
そして思い出した。祝賀会で神術士ギルドの長サファイアさんにもらったアイテムの事を。
すなわち、上だ!
「はぁッ!」
俺は気合いを入れて瞬時に跳躍。四人の頭上へと舞う。四人は俺を見上げ、それぞれが剣を構える。
着地した所を串刺しにするつもりだろう。つまり、このまま降りる訳には行かない。
「風よ、集約せよ! ウインド・ボム!」
俺は風を纏わせた衝撃波を右手から放ち、待ち構える四人の中心へと打ち込む。技名は今考えた!
「......!」
驚きの表情を浮かべるも、声も上げずに四方に吹き飛ぶ四人。俺はすかさず風の力で高速飛行し、ダフネの背後に回って彼女を抱き止める。間一髪間に合った。影たちは闘技場の壁に激突し、霧のように消滅した。
俺はダフネを抱き抱えたまま着地。彼女は俺の腕を振り払おうと暴れ、肘打ちを顔面に打ち込んでくる。
俺はすかさずそれをかわし、彼女のうなじに蠢く虫を指でむしり取った。このチャンスを逃す訳には行かなかった。
ダフネの首から虫が伸ばしていた針のようなものが抜け、鮮血がほとばしる。くッ、まさか脳まで食い込んでいたのか!?
虫はダフネに食い込ませていたおぞましい針を、今度は俺に向かって伸ばして来た。
「くッ!」
俺は顔を逸らして針を避け、虫を指で潰す。すると針はビクビクと震え、力無くだらりと垂れた。
「ダフネ!」
俺は倒れ込んだダフネに向かって駆け寄り、彼女を抱き上げる。
「ティム......様......!」
ダフネは悲しげに微笑む。
「もう一度、あなた様の名前を呼ぶ事が出来て......私は嬉しいです」
「これから何度だって呼べる! さぁ、二人でここを出るぞ!」
俺はそう言ってダフネの肩と腰を両腕で抱えるように抱き上げる。
「それは出来ないのです、ティム様......この闘技場には、どちらかが死ななくては絶対に出られぬよう、魔術が施してあるのです。ですから私を......」
「嫌だ!」
俺はダフネを抱えたまま、闘技場の出入り口であるアーチに向かってウインド・ボムを放つ。壁も何もないように見えるアーチだが、俺の攻撃は出入り口の目前で消滅した。
「ティム様......愛しています」
ダフネはそう言って、俺の唇に自身の唇を重ねた。俺は驚いて、言葉を失う。
「ふふッ。シュミラ様には、申し訳ないですが......キス、いただきました。これが私の想い。ティム様に会えて私は、幸せでした......」
ダフネはそう言って笑うと、口から血を吐き、目を閉じた。彼女の手から、空の小瓶が落ち、床を転がって行く。
まさか......! 毒か!
「ダフネ! なんて事を!」
俺は声を殺して震えた。悲しみと怒りが体を突き破って来そうになる。感情が目から溢れ出る。
彼女の体が冷たくなって行く。呼吸は止まり、脈もない。ダフネは......死んだ。
優しく気高い彼女の笑顔が、瞼の裏に浮かぶ。
審判が俺の勝利を告げ、歓声が湧き起こる。なんの歓声だ? ダフネが死んだのが、そんなに嬉しいのか? 俺は血が出るほど唇を噛んだ。
歓声の中、ユリウスが拍手をしながら立ち上がる。満面の笑みで、俺とダフネを見下ろしていた。
「おめでとうございますティム様。素晴らしい勝利です。こんな事もあろうかと、娘達には即効性の毒をプレゼントしていたのです。いやぁ、役立って良かった」
殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す!
俺の心は、殺意と憎しみに食い尽くされそうだった。
だが......どうやら最後にダフネは、神術を俺にかけてくれたようだった。渦巻いていた憎悪が、スーッと溶けて行くのを感じる。
そして思い出した。祝賀会で神術士ギルドの長サファイアさんにもらったアイテムの事を。
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