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第36話 闇のスキル。
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ダフネのレベルは、確か75。Sランクの昇格基準は50だから、それを大幅に上回っている。
対して俺の現在のレベルは20。その差は圧倒的である。普通に戦ってもまず勝てない。
だが、俺には「ちからをためる」がある。何度も使うのはちょっと怖いが、脳を覚醒させて肉体のリミッターを解除すればなんとかついていけるはずだ。
それに俺の目的はダフネを倒す事じゃ無い。彼女に対するユリウスの支配を解き、一緒にこの場を脱出する事だ。
ちからはすでに溜めてある。俺はダフネの虚な目を見つめながら、脳の力を解放する。
脳の奥がチリチリと焼けるような感覚。思考が研ぎ澄まされていく。
ダフネは俺をじっと見つめたまま、攻撃してこない。それどころか、武器すら持っていない。
もしかして、自我が戻りつつあるのだろうか。俺と戦う事を、意識が拒んでいるのかも知れない。
「ダフネ、俺だよ、ティムだ。わかるか? 君を助けに来たんだ」
試しに話しかけてみる。だが、彼女の表情や態度に変化は無い。
待てよ。心の声はどうだろう。俺は連帯の指輪を使って、ダフネの心に直接語りかけてみる。
(ダフネ、聞こえるか、ダフネ!)
(ティム......様......)
おお! やったぞ! ダフネの自我はやっぱり戻りつつある!
(ダフネ! どうすれば、ユリウスの支配を解ける!? 君を助けたい!)
(ティム様......それは、私にもわかりかねます。ですから、今すぐ、私を......殺して下さい!)
(何!?)
次の瞬間、ダフネの姿が消える。まずい! 俺は瞬時に肉体のリミッターを解除し、横っ飛びに飛んだ。
その刹那。俺が一瞬前までいた場所を、剣が薙ぎ払う。少しでも飛ぶのが遅れていれば、胴体が真っ二つになっていた所だ。
ダフネのスキル「仲間を守る」による瞬間移動だ。対戦相手を仲間と認識出来れば、こう言う使い方も出来ると言うわけだ。ダフネはいつの間にか剣を持っている。冒険者証に格納していたものを装着したのだろう。
(ティム様、私の意識は、いわば何者かに追いやられている状態です。体を動かしているのは、別の何か。このままではあなた様を......! ですからその前に殺して下さい!)
ダフネの猛攻が始まる。凄まじい剣技のスピード。瞬間移動で死角に回ってくるが、俺は脳の覚醒による観察力で先読みし、紙一重でかわして行く。
「くッ、このままじゃかわすだけで精一杯だ!」
そんな事を言いつつも、俺はダフネの体を隅々まで観察。そして見つけた違和感。
(うなじに何か、昆虫のような黒いものが張り付いている! もしかしてあれがダフネの精神を......!)
おそらく間違いないだろう。あの虫のようなものを首から引き剥がす事が出来れば、ダフネはユリウスの支配から解放される筈だ。
だが、攻撃が激しすぎて近づけない。その苛烈で美しい剣技に、審判の実況や観客も大盛り上がりだ。
「ダフネ、闇のスキルで一気にとどめをさすんだ」
観客席からユリウスが指示する。
「かしこまりました。お父様。シャドウ・アバター!」
「何!?」
ダフネが叫ぶと、彼女の体から黒い影のような分身体が三体出現。ダフネのシルエットを実体化したような姿だ。全員が剣を構え、一斉に攻撃してくる。
これは......やばいかも。
対して俺の現在のレベルは20。その差は圧倒的である。普通に戦ってもまず勝てない。
だが、俺には「ちからをためる」がある。何度も使うのはちょっと怖いが、脳を覚醒させて肉体のリミッターを解除すればなんとかついていけるはずだ。
それに俺の目的はダフネを倒す事じゃ無い。彼女に対するユリウスの支配を解き、一緒にこの場を脱出する事だ。
ちからはすでに溜めてある。俺はダフネの虚な目を見つめながら、脳の力を解放する。
脳の奥がチリチリと焼けるような感覚。思考が研ぎ澄まされていく。
ダフネは俺をじっと見つめたまま、攻撃してこない。それどころか、武器すら持っていない。
もしかして、自我が戻りつつあるのだろうか。俺と戦う事を、意識が拒んでいるのかも知れない。
「ダフネ、俺だよ、ティムだ。わかるか? 君を助けに来たんだ」
試しに話しかけてみる。だが、彼女の表情や態度に変化は無い。
待てよ。心の声はどうだろう。俺は連帯の指輪を使って、ダフネの心に直接語りかけてみる。
(ダフネ、聞こえるか、ダフネ!)
(ティム......様......)
おお! やったぞ! ダフネの自我はやっぱり戻りつつある!
(ダフネ! どうすれば、ユリウスの支配を解ける!? 君を助けたい!)
(ティム様......それは、私にもわかりかねます。ですから、今すぐ、私を......殺して下さい!)
(何!?)
次の瞬間、ダフネの姿が消える。まずい! 俺は瞬時に肉体のリミッターを解除し、横っ飛びに飛んだ。
その刹那。俺が一瞬前までいた場所を、剣が薙ぎ払う。少しでも飛ぶのが遅れていれば、胴体が真っ二つになっていた所だ。
ダフネのスキル「仲間を守る」による瞬間移動だ。対戦相手を仲間と認識出来れば、こう言う使い方も出来ると言うわけだ。ダフネはいつの間にか剣を持っている。冒険者証に格納していたものを装着したのだろう。
(ティム様、私の意識は、いわば何者かに追いやられている状態です。体を動かしているのは、別の何か。このままではあなた様を......! ですからその前に殺して下さい!)
ダフネの猛攻が始まる。凄まじい剣技のスピード。瞬間移動で死角に回ってくるが、俺は脳の覚醒による観察力で先読みし、紙一重でかわして行く。
「くッ、このままじゃかわすだけで精一杯だ!」
そんな事を言いつつも、俺はダフネの体を隅々まで観察。そして見つけた違和感。
(うなじに何か、昆虫のような黒いものが張り付いている! もしかしてあれがダフネの精神を......!)
おそらく間違いないだろう。あの虫のようなものを首から引き剥がす事が出来れば、ダフネはユリウスの支配から解放される筈だ。
だが、攻撃が激しすぎて近づけない。その苛烈で美しい剣技に、審判の実況や観客も大盛り上がりだ。
「ダフネ、闇のスキルで一気にとどめをさすんだ」
観客席からユリウスが指示する。
「かしこまりました。お父様。シャドウ・アバター!」
「何!?」
ダフネが叫ぶと、彼女の体から黒い影のような分身体が三体出現。ダフネのシルエットを実体化したような姿だ。全員が剣を構え、一斉に攻撃してくる。
これは......やばいかも。
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