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第8章
第101話 ブスー
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ミツキが手近なラットリングを全部KOしたので、ミツキとアリスは小休止。
アリスはラットリングの逃亡を阻止したミツキの功を称える。
「やるじゃんミツキくん」
「ヘヘ、まーね」
「それはそれとして、やっぱりミツキくんはトドメを刺せないんだね。 コイツもまだ生きてる」
ミツキにKOされ地面に横たわるラットリングの脇腹を、アリスは装甲靴を履いた足で蹴った。
「当たり前だろ。 ぜんぶ生きてるよ」 トドメを刺せないって言っただろ?
「何が "当たり前" よ。 気絶させるだけでイイわけないじゃん」
「そんなこと言われても」 あれ? なんかオレ怒られてる。
ミツキは遅ればせながら風向きの変化に気付いた。 賞賛されていたはずが怒られている。
「じゃあ聞くけど、ミツキくんはヒュドラとかサイクロプスもKOできる?」
「多分できない?」
遭遇したことがないので判断がつかない。
「できないわよ」たぶん。「でも今後アタシたちが相手にするのは、そういう大物。 刃物を使えないミツキくんは、はっきり言って役立たずなの」
「...」
◇
ミツキを沈黙に追い込んでおいて、アリスは提案する。
「せっかくだから」ちょうど良い機会だから。「今ちょっと殺してみよっか」
気絶するラットリングのうちの1匹を殺してみよう。
「えー」
ミツキは嫌そうな顔になった。
「だいじょうぶダイジョブ。 私も一緒にやったげるから」
アリスはミツキの腰から短剣を引き抜き、冷たく縮こまり汗ばむミツキの手に無理やり握らせ、その上から自分の手をかぶせてギュッと握る。
「さあ、一気にブスっと行くよ」
アリスは短剣を握るミツキの手を、無理やり振りかぶらせる。
「やめてくれー」 死ぬー
ミツキは抵抗するが、力でアリスに敵うはずがない。
「だいじょうぶ。 すぐ済むから」
「やめろーやめろー」ウワー
「ハイ、ブスー」
こうしてミツキは初めてモンスターを殺した。
アリスはラットリングの逃亡を阻止したミツキの功を称える。
「やるじゃんミツキくん」
「ヘヘ、まーね」
「それはそれとして、やっぱりミツキくんはトドメを刺せないんだね。 コイツもまだ生きてる」
ミツキにKOされ地面に横たわるラットリングの脇腹を、アリスは装甲靴を履いた足で蹴った。
「当たり前だろ。 ぜんぶ生きてるよ」 トドメを刺せないって言っただろ?
「何が "当たり前" よ。 気絶させるだけでイイわけないじゃん」
「そんなこと言われても」 あれ? なんかオレ怒られてる。
ミツキは遅ればせながら風向きの変化に気付いた。 賞賛されていたはずが怒られている。
「じゃあ聞くけど、ミツキくんはヒュドラとかサイクロプスもKOできる?」
「多分できない?」
遭遇したことがないので判断がつかない。
「できないわよ」たぶん。「でも今後アタシたちが相手にするのは、そういう大物。 刃物を使えないミツキくんは、はっきり言って役立たずなの」
「...」
◇
ミツキを沈黙に追い込んでおいて、アリスは提案する。
「せっかくだから」ちょうど良い機会だから。「今ちょっと殺してみよっか」
気絶するラットリングのうちの1匹を殺してみよう。
「えー」
ミツキは嫌そうな顔になった。
「だいじょうぶダイジョブ。 私も一緒にやったげるから」
アリスはミツキの腰から短剣を引き抜き、冷たく縮こまり汗ばむミツキの手に無理やり握らせ、その上から自分の手をかぶせてギュッと握る。
「さあ、一気にブスっと行くよ」
アリスは短剣を握るミツキの手を、無理やり振りかぶらせる。
「やめてくれー」 死ぬー
ミツキは抵抗するが、力でアリスに敵うはずがない。
「だいじょうぶ。 すぐ済むから」
「やめろーやめろー」ウワー
「ハイ、ブスー」
こうしてミツキは初めてモンスターを殺した。
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