お嬢様、流刑地に送られ婚約も破棄。でも最強になったら、ザマぁとかどうでも良くなってた

好きな言葉はタナボタ

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第1部

第2話 「審問」

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審理局でマリカは会議室のように殺風景な部屋に連れていかれ、部屋の真ん中にポツリと置かれた椅子に座らされた。 マリカの正面には重厚な長机が置かれ3人の審理官が座っている。 2人が男性で、1人は女性だ。

真ん中に座る男性審理官が自分を筆頭ひっとう審理官だと紹介し、きのう小屋の中で何があったのかを事務的な口調でマリカに尋ね始めた。

筆頭審理官の質問は小屋での出来事の子細しさいにまで及んだが、鎮静剤で羞恥心しゅうちしんが鈍っていたこともあり、マリカは懸命に質問に答えた。 審理官の質問に答えれば自分を犯した男たちが裁かれる。 マリカはそんな思いでいた。

しばらく問答を続けたのち、審理官の質問が意外な方面に移った。 マリカの婚約者であるコイミズ・シンジュロウのことを尋ねられたのだ。

「そうすると、あなたはシンジュロウ氏と婚約していることを認めるわけですね?」

「はい」

マリカが誇らしげにそう答えると、筆頭審理官はひとつうなづいてマリカに告げる。

「審問は以上です。 審理が済むまで別室で待っていてください」

               ◇❖◇❖◇❖◇

20分後、マリカは職員に連れられて審理官が待つ部屋へ戻ってきた。 さっきと同じ椅子に着席したマリカに、筆頭審理官が厳かな口調で告げる。

「マキハタヤ・マリカ本人の自白に基づき、同人どうにん不貞ふてい罪で流刑に処すものとする」

鎮静剤でにぶった頭で、マリカは何かがとても間違っていると感じた。

(不貞罪? 流刑? 自白? 私のことを言ってるのよね? 私は被害者として事情を尋ねられていたんじゃなかったの?)

マリカは審理官に尋ねた。

「それは... 私が犯罪者として処罰されるってことですか?」

「被告人は質問に答える以外の発言を認められていません」

しかしマリカは食い下がった。 当然だ。 このままでは罪人として流刑地に送られてしまう。 噂に聞く流刑地は犯罪者ばかりが送り込まれる無法地帯。 お嬢さま育ちのマリカなど1日と生き延びられない。

マリカは必死の思いで審理官に訴える。

「どうして私が罪人扱いされるんですか? 私は被害者なのに!」

しかし筆頭審理官はマリカの訴えに耳を貸さない。

「以上で審理を終了」

彼がそこまで言ったとき女性の審理官が口を挟んだ。

「説明ぐらい良いんじゃありませんか? 本人が納得したうえで刑に服してこそ刑罰です」

筆頭審理官は不興ふきょうげな表情で女性審理官の顔を見返し、「お前が説明しろ」と言わんばかりにマリカのほうに顎をしゃくった。

女性審理官がマリカに向かって話し始める。

「マキハタヤ・マリカさん、被害者であるはずのあなたが不貞の罪に問われたのは、婚約中であるにも関わらず婚約者以外の異性と性交渉を持ったからです」

「でも、あれは」

異議を唱えようとするマリカを制して、女性審理官は言葉を続ける。

「たしかに、強姦であれば不貞罪は適用されません。 しかしマリカさん、あなたの場合には残念ながら強姦が成立しないのです。 強姦が成立するには成人4人の目撃者による証言または犯人の自白が必要で、今回のケースではどちらも不在です」

女性審理官は、どこか怒った口調でさらに説明を続ける。

「したがって、マリカさんの昨日の一件は強姦ではなく姦淫かんいんと判断されました。 そして、あなたには運悪くと言うべきか婚約者がいらっしゃる。 それゆえ、昨日の姦淫が婚約者に対する不貞と解釈されたわけです」

鎮静剤の作用が切れ始めていることもあり、女性審理官の説明は理解できた。 しかしマリカは全くもって納得がいかなかった。 私は被害者なのに! どうしてこの人たちは犯人を捕まえるよりも私を罰することにばかり熱心なの?

あまりの理不尽さにマリカが言葉を失っていると、筆頭審理官が口を開いた。

「もういいかね? では、以上で審理を終了する。 罪人を拘束して退出させたまえ」

マリカの背後に控えていた屈強くっきょうな男性職員2人がマリカに近づき椅子から立たせると、別の職員が進み出てきた。 その職員が手にしているのは手縄てなわ。 罪人であることが確定したマリカを手縄で縛ろうというのだ。

手縄を目にしたマリカは悲鳴にならない悲鳴を上げた。 あれで私を縛ろうというの? マリカは思わず後ずさるが、2人の職員が後退を妨げる。

「いやよ、いやっ! 私は罪人なんかじゃない!」

精一杯の力で抵抗するマリカだったが、屈強な職員2人はいとも容易たやすくマリカを押さえつけ、両手首を合わせた状態でマリカの体の前に差し出させた。 その両手首をもう1人の職員が手慣れた様子で縛り始める。 マリカは自分の運命が他人の手によって無慈悲に確定されていくのをすべもなく見ているほかなかった。
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