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第1部
第4話 「何の呪文だ?」
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額に刺青を入れられてすぐに、マリカは小部屋から連れ出された。
(お次はなんなの? もういい加減にして! さっさと流刑地でもどこでも連れて行けばいいのよ)
極度のストレスでマリカは疲れ切っていた。 刺青を入れられたばかりの額は痛むし、それ以上に、きつく縛り上げられた状態が続いている手首の痛みが耐え難い。 何かが吹っ切れたマリカは、おもむろに魔法の呪文を唱え始めた。
「ワーラワン・レストース...」
マリカの詠唱を耳にして、彼女の前後を歩く審理局の職員たちが慌てだす。
「魔法の呪文!?」
「この娘、貴族の家系かっ」
「何かする気だぞ。 口をふさげ!」
(もう遅いわ)
マリカは職員たちの慌てっぷりを眺めながら、呪文を完成させる。
「...メリトース・ダビノス!」
呪文が発動し、マリカの全身を淡い白色光が包む。
「くっ、呪文が発動した!」
「何の呪文だ?」
(《治癒》の呪文よ)
《治癒》は確実な効果を発揮し、マリカの手首と額の痛みがすーっと消えてゆく。 溜まっていた疲れや鎮静剤で重かった体も軽くなる。 マリカは知らないが、《治癒》には疲労回復の効果もあるのだ。
職員の1人が改めてマリカに問いただす。
「今の呪文は一体なんだ? 何をした?」
質問に答えず悩ませてやろうかとも思ったが、それでどんな不利益を被るか知れたものではない。 なにしろマリカは罪人であり人権など無いに等しい、職員たちに何をされても文句を言えない身分である。
マリカは精一杯クールに答えた。
「安心しなさい。 《治癒》の呪文よ」
マリカは魔法を使えるといっても人を害する魔法は使えない。 《治癒》のほかに使えるのは《水生成》だけ。 職員たちはマリカの魔法を警戒する必要など無かったのだ。
職員たちが慌てるのを見て、マリカはささやかながら一矢を報いた気になった。 そのように感じるのは、捕縛からこのかた不安に怯え委縮するだけだったマリカが苦境に順応し気力を回復しつつある兆候なのだが、マリカにその自覚はなかった。
(お次はなんなの? もういい加減にして! さっさと流刑地でもどこでも連れて行けばいいのよ)
極度のストレスでマリカは疲れ切っていた。 刺青を入れられたばかりの額は痛むし、それ以上に、きつく縛り上げられた状態が続いている手首の痛みが耐え難い。 何かが吹っ切れたマリカは、おもむろに魔法の呪文を唱え始めた。
「ワーラワン・レストース...」
マリカの詠唱を耳にして、彼女の前後を歩く審理局の職員たちが慌てだす。
「魔法の呪文!?」
「この娘、貴族の家系かっ」
「何かする気だぞ。 口をふさげ!」
(もう遅いわ)
マリカは職員たちの慌てっぷりを眺めながら、呪文を完成させる。
「...メリトース・ダビノス!」
呪文が発動し、マリカの全身を淡い白色光が包む。
「くっ、呪文が発動した!」
「何の呪文だ?」
(《治癒》の呪文よ)
《治癒》は確実な効果を発揮し、マリカの手首と額の痛みがすーっと消えてゆく。 溜まっていた疲れや鎮静剤で重かった体も軽くなる。 マリカは知らないが、《治癒》には疲労回復の効果もあるのだ。
職員の1人が改めてマリカに問いただす。
「今の呪文は一体なんだ? 何をした?」
質問に答えず悩ませてやろうかとも思ったが、それでどんな不利益を被るか知れたものではない。 なにしろマリカは罪人であり人権など無いに等しい、職員たちに何をされても文句を言えない身分である。
マリカは精一杯クールに答えた。
「安心しなさい。 《治癒》の呪文よ」
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職員たちが慌てるのを見て、マリカはささやかながら一矢を報いた気になった。 そのように感じるのは、捕縛からこのかた不安に怯え委縮するだけだったマリカが苦境に順応し気力を回復しつつある兆候なのだが、マリカにその自覚はなかった。
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