お嬢様、流刑地に送られ婚約も破棄。でも最強になったら、ザマぁとかどうでも良くなってた

好きな言葉はタナボタ

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第1部

第12話 「軟禁だなんてとんでもない」

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マリカは顔役の後について流刑地を歩く。 流刑地の建物はアガマサラ市と違って木造のものばかりで、道路も舗装されていない。 全体的にホコリっぽい感じである。

歩きながら顔役がマリカに尋ねる。

「お前の名はなんと言うんだ?」

「...マキハタヤ・マリカ」

「マキハタヤという名は聞き覚えがある。 都市議員にそんな名前のやつがいただろう?」

「ええ、父が都市議員よ」

「そんな高名な一族のお嬢さまが、どうして流刑地なんぞに?」

マリカは押し黙った。 輪姦されて流罪になったなどと言えるわけがない。

マリカが黙っていると、顔役はあっさり引き下がった。

「まあ、人には事情ってもんがあるわな」

                 ◇❖◇❖◇❖◇

顔役はマリカを一軒の空き家に連れて行った。

「ここで3日間を過ごすといい」

その空き家はマリカの目には粗末で不潔なボロ家としか映らなかったが、実のところ、流刑地の住居としては最高級のしろものである。

「ここに私を軟禁しようっていうの?」

「軟禁だなんてとんでもない」 顔役はからかうように答えた。「出歩くのは自由だ。 食事も運ばせる」

顔役はマリカを家に引き入れると、手近にいた者を呼びつけて一人の女を連れて来させた。 顔役と同じく縦にも横にも大きい女で、腰に剣を帯びている。 

「マリカ、お前の護衛だ。 これから3日間はこの女が付きっきりでお前をガードする」

護衛じゃなく見張りじゃないの? 反射的に浮かんだその思いをマリカはすぐに打ち消した。 マリカが流刑地あるいは顔役のもとから逃げ出したところで行く当てはないから、見張りが必要なはずはない。 あくまでもマリカを流刑地の男たちから守るための措置そちなのだ。

「よろしく。 わたしはマキハタヤ・マリカ。 あなたのお名前は?」

大女の顔を見上げながら、マリカは手を差し出した。 握手のためである。 しかし大女は威圧するような怖い目でマリカを見返すのみ。 握手に応じないばかりか、返事すらしない。 気まずい数瞬をて、マリカは仕方なく手を引っ込めた。 

その一幕を見ていた顔役が大女に言う。

「そいつはオレの大事な女だ。 傷物にしたら承知しねえからな」

顔役の言葉はマリカを安心させるどころか不安にした。 こんなふうに念を押しておかないと、この大きな女が私を傷つけかねないってこと? 大女の額にも流罪人の刺青が入っている。 彼女も何かの罪を犯して流刑地に送られてきたのだ。

                   ◇❖◇

夜には、顔役の使いの者がマリカに夕食を届けてくれた。 食事の質も量もマリカの予想より充実していたが、大女と使いの者の会話から察するに、マリカに届けられた食事は流刑地の平均的な水準を大きく上回るものらしかった。
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