お嬢様、流刑地に送られ婚約も破棄。でも最強になったら、ザマぁとかどうでも良くなってた

好きな言葉はタナボタ

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第1部

第40話 「エライナ②」

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エライナの顔の怪我を治したマリカは、エライナから事情を聴くことにした。

「何があったんですか、エライナさん?」

マリカがそう尋ねた途端、エライナの傍らにいた男が割り込んできた。

「あんたらには関係ないことだ。 放っておいてくれ」

マリカは敢然かんぜんと言い返す。

「あんなひどい怪我、無関係でも首を突っ込むのに十分だわ!」

そしてマリカはエライナの腕を掴んだ。

「エライナさん、あっちで話を聞かせてちょうだい」

エライナの腕を引いて行列から連れ出そうとするマリカの肩に男が手をかける。

「おい! その女を」

そこまで言ったところで男は気絶して地面にくずれ落ちた。 男がマリカの肩に手をかけた瞬間にミツキが高速モードに入り男を攻撃したのだ。

倒れた男の仲間たちが黄金色に輝く不思議な少年を警戒する隙に、マリカはエライナを行列から連れ出した。 後ろを歩くミツキに振り返ってマリカは言う。

「気絶までさせる必要はなかったと思うんだけど?」

さっきの男がマリカに害意を持っていたとは思えない。 エライナを連れ去ろうとするマリカを止めようとしただけなのだ。

マリカの苦言にミツキが口を尖らせる。

「俺には気絶させるか殺すかしかできないよ」

マリカはミツキの言葉の意味が理解できなかった。

「どうして?」

「小さいからだよ。 取っ組み合いで押しとどめるとかは出来ない」

「言われてみればその通りね。 ごめんなさい」

顔役のような大男なら、さっきの男の腕を掴んでマリカの肩から力ずくで引きはがせただろう。 睨み付けるだけで男を引き下がらせられたかもしれない。 しかしミツキはマリカにすら力負けするほど非力だし、彼の外見には威圧感の欠片かけらもない。 そんなミツキが誰かを守ろうとするとき、彼は加害者を戦闘不能に追い込むしかないのだ。
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