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第1部
第65話 「ゲレニカ」
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マリカの狩りに参加しているコモノと共用女の派閥にも当然ボスがいて、そのボスの名はゲレニカという。 ゲレニカはこの流刑地で幅を利かせる男たちの例に漏れず、相撲取りのような巨漢だ。 体は筋肉と脂肪で膨らんでいるのに、頬だけは引き締まり異様に精悍な顔つきである。
そのゲレニカは部下の報告を聞いて驚いた。
「それは本当か?」
コモノと共用女のほとんどが仕事をほっぽりだして狩りに行ったのだという。 狩りに行かず残っていたコモノの話では、コモノと共用女を狩りに誘ったのはマリカという名の女とクイックリング。
マリカのことはゲレニカも知っていた。 マリカが流刑地に連れて来られたとき当時の顔役がマリカの所有権を主張するのを羨ましい思いで見ていたし、マリカがクイックリングと共に何人もの強者を返り討ちにした噂もゲレニカのもとに届いていた。
◇❖◇
報告を受けたゲレニカは数人の手下を引き連れ、派閥で経営する農地などを視察して、コモノ・ハウスと共用女ハウスにも人がいないのを確認したうえで激高した。
「どういうつもりだ、あの女!」
労役に従事するコモノや共用女の姿がまばらであるだけでなくハウスもすっからかん。 報告にあった通りだ。
手下の1人がゲレニカに説明する。
「小物の話じゃ、当初はクマを運ぶための人夫を募っていたらしいですが。 なんでも、しきりにクマクマと言っていたそうで」
「あの女め、他人のものに手を出しやがってタダじゃおかねえ。 勝手なことをした小物と共用女もカタにはめてやる」
「でも、あの女が連れているクイックリングは手が付けられない強さですよ」
ゲレニカの派閥でも、何人かがマリカに手を出そうとしてミツキに強烈なシッペ返しを食らっていた。
「うむ」
ゲレニカはしばらく目を閉じていたが、やがて何かを決断したように目を開ける。
「それについちゃあ考えがある」
「考えって?」
ゲレニカは不躾な質問を咎めるかのように手下をしばらく見据えていたが、思い直して問いに答える。
「銃だ。 いかにクイックリングが素早くても、弾丸は避けられねえだろう」
手下たちは驚いた。
「銃なんて持ってたんですかいボス? どうやって...」
銃が希少で高価なのはもとより、流刑地で銃を所持できるのは顔役だけである。 顔役がそう決めたのだ。 アガマサラ市から流刑地に運び込まれる物資はすべて、銃や弾丸の密輸入を念入りにチェックされる。
「そいつは秘密だ」
「女のほうも貴族の血筋で魔法を使うって話ですが?」
「魔法で怪我を治しちまうって話だな。 極楽のような気分を味わえるらしい」
ドッジとジュニアの体験談が広まっているのである。
「妙な魔法も使うらしいですよ。 むせちまうとかなんとか」
「わかってる。 女のほうはパンピーに突撃させて口を塞がせりゃいい。 何人か魔法で殺されるかもしれねえが」
別の手下が心配そうに言う。
「顔役の女と揉めちまっていいんですかい?」
「おめえは知らないだろうが、あの女は顔役を拒絶してるんだよ。 それにな、オレはあんな若僧を顔役と認めちゃいねえ」
そう言ってゲレニカは手下の無知を嘲笑った。
そのゲレニカは部下の報告を聞いて驚いた。
「それは本当か?」
コモノと共用女のほとんどが仕事をほっぽりだして狩りに行ったのだという。 狩りに行かず残っていたコモノの話では、コモノと共用女を狩りに誘ったのはマリカという名の女とクイックリング。
マリカのことはゲレニカも知っていた。 マリカが流刑地に連れて来られたとき当時の顔役がマリカの所有権を主張するのを羨ましい思いで見ていたし、マリカがクイックリングと共に何人もの強者を返り討ちにした噂もゲレニカのもとに届いていた。
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報告を受けたゲレニカは数人の手下を引き連れ、派閥で経営する農地などを視察して、コモノ・ハウスと共用女ハウスにも人がいないのを確認したうえで激高した。
「どういうつもりだ、あの女!」
労役に従事するコモノや共用女の姿がまばらであるだけでなくハウスもすっからかん。 報告にあった通りだ。
手下の1人がゲレニカに説明する。
「小物の話じゃ、当初はクマを運ぶための人夫を募っていたらしいですが。 なんでも、しきりにクマクマと言っていたそうで」
「あの女め、他人のものに手を出しやがってタダじゃおかねえ。 勝手なことをした小物と共用女もカタにはめてやる」
「でも、あの女が連れているクイックリングは手が付けられない強さですよ」
ゲレニカの派閥でも、何人かがマリカに手を出そうとしてミツキに強烈なシッペ返しを食らっていた。
「うむ」
ゲレニカはしばらく目を閉じていたが、やがて何かを決断したように目を開ける。
「それについちゃあ考えがある」
「考えって?」
ゲレニカは不躾な質問を咎めるかのように手下をしばらく見据えていたが、思い直して問いに答える。
「銃だ。 いかにクイックリングが素早くても、弾丸は避けられねえだろう」
手下たちは驚いた。
「銃なんて持ってたんですかいボス? どうやって...」
銃が希少で高価なのはもとより、流刑地で銃を所持できるのは顔役だけである。 顔役がそう決めたのだ。 アガマサラ市から流刑地に運び込まれる物資はすべて、銃や弾丸の密輸入を念入りにチェックされる。
「そいつは秘密だ」
「女のほうも貴族の血筋で魔法を使うって話ですが?」
「魔法で怪我を治しちまうって話だな。 極楽のような気分を味わえるらしい」
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「わかってる。 女のほうはパンピーに突撃させて口を塞がせりゃいい。 何人か魔法で殺されるかもしれねえが」
別の手下が心配そうに言う。
「顔役の女と揉めちまっていいんですかい?」
「おめえは知らないだろうが、あの女は顔役を拒絶してるんだよ。 それにな、オレはあんな若僧を顔役と認めちゃいねえ」
そう言ってゲレニカは手下の無知を嘲笑った。
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