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君は僕の光 ~シンside~
しおりを挟む「エリン・・・」
彼女はまだ見つからない。
天界にある小さな割れ目に飛び込んで降り立った人間界のやや小さな街。
人間の天使に対する残酷な対応は知っていたので、正体がばれないように細心の注意を払いながら密かに情報を集め続けた。
この国の名前、治安や情勢、そもそも人間界はどのような所なのか。
不審に思われないように話題提示をし、話を引き出した。
しかし、もう一つ、最も僕が欲している情報だけは手に入らなかった。
銀髪に金の瞳を持つ美しい少女を見なかったか。
幼なじみを探していると尋ねて回ったが、誰も彼女を見た者はいなかった。
そもそもこの世界において銀の髪はとても珍しく、金の瞳に至っては今まで聞いたこともないという。
「ねえシン、幼なじみを探したい気持ちも分かるけど、たまには私と遊ばない?あ、そうだ!さっき父さんから聞いたんだけど、もうすぐ王子様が新しく現れた聖女様と一緒に馬車でこの街を通るんですって!一緒に見に行きましょうよ。」
僕に纏わり付いているのは、人間界に降りてから一番に出会った娘・・・名前は忘れた。
頬を染めて近寄ってくる姿は、僕の容姿を目当てにしているのがバレバレだし、正直鬱陶しいが、仮にも僕がお世話になっている家の娘、無下にはできない。
「そうですね・・・」
愛想笑いを貼り付けて頷いた。
ところで聖女とは何だろう。
集めた情報の中には出てこなかった。
王子と聖女の馬車か・・・
一体どんな人なんだろう。
いや、エリン以外の人なんて、どうだっていい。
彼女を探し出すことだけが、僕の大きな目的なのだから。
***
初めて会った時、その愛らしさに胸を射貫かれた。
大天使の娘。
天界においてかなり重要な地位にある彼女だが、僕達にとって身分なんて関係なかった。
周りにも、そこまで重要視する大人はいなかったし、本人も大して気にしていなかったから。
まあ唯一、彼女は他の子供よりも学ばなければならないことが多かった。
普通、大天使の娘というだけでは学ぶ量に変化は出てこないのだが、彼女は違った。
元々持っている神力の大きさと、両親の神力を鑑みるとその潜在能力が飛び抜けていたのは明らかだったから。
次期大天使としての教育を、彼女は施されていた。
他の子と同じように自由に遊べない彼女は、悲しそうに見えた。
だから僕は、カリンとカイを巻き込んでエリンと一緒に勉強し始めたんだ。
一緒に勉強したら楽しいよ、と言って。
その時嬉しそうに細められた、彼女の瞳が忘れられない。
一目惚れ、だったのだと思う。
それから共に過ごす内、彼女のことを知っていってさらに好きになっていった。
エリンの全てが、僕を惹きつけた。
同時に、一日一日と美しく成長していくエリンに危機感も感じていた。
他の男が群がらないよう、できる限り牽制をしていたが、やっぱり気が気じゃなかった。
君は僕の光、全てなんだ・・・
エリンに一刻も早く会いたい。
早く見つけて、その無事を確かめないと。
エリン、どうかどうか無事で。
また、あの輝くような笑顔を僕に見せて。
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