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第1部 2章:検証と追跡
第6話:科学的分析
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荒らされた研究室を前に、賢吾は決断を下した。もはや一人で抱え込むには限界がある。信頼できる人物の助けが必要だった。
携帯電話を取り出し、後輩の山田に連絡を入れる。
「山田君、今すぐ研究室に来てくれないか。他の人には内緒で」
三十分後、山田健一が息を切らしながら研究室に駆け込んできた。二十八歳の考古学専攻の院生で、賢吾が最も信頼する後輩の一人だ。真面目で口が堅く、何より優秀だった。
「先輩、これヤバくないですか」
山田は荒らされた部屋を見て顔を青ざめた。本棚から落ちた本、引き出しから散乱した書類、破壊されたパソコン。まるで台風が通過した後のような惨状だった。
「泥棒ですか?警察には連絡を...」
「いや、これは普通の泥棒じゃない」
賢吾は首を振った。
「金目のものには手を付けていない。探していたのは、別のものだ」
賢吾は部屋の扉を閉め、鍵をかけた。そして、山田の目を真っ直ぐ見つめる。
「山田君、これから話すことは、にわかには信じられないかもしれない。でも、君の力が必要なんだ」
そして賢吾は、篠田教授の死から始まる一連の出来事を話した。謎の鍵、古書店宝永堂、そしてイールの書の存在。
山田は最初、冗談かと思っているような表情だった。しかし、賢吾の真剣な眼差しと、荒らされた研究室という現実を前に、次第に表情が変わっていく。
「その...イールの書というのを、見せていただけますか」
賢吾は頷き、鞄から慎重に書を取り出した。念のため、全部ではなく一部だけを見せることにした。
獣皮の表紙を目にした瞬間、山田の表情が一変した。
「この材質...獣皮だけど、知ってる動物じゃない」
山田は考古学者の目で、慎重に書を観察した。手袋をはめ、ルーペで表面を確認する。
「それに、この保存状態は異常です」
山田の専門知識が火を噴き始めた。
「先輩、普通の獣皮なら、どんなに保存状態が良くても、三千年も経てばボロボロになります。でも、これは...まるで昨日作られたみたいに柔軟性を保っている」
「科学的に調べることは可能か?」
「炭素年代測定しましょう」
山田は即座に提案した。
「でも普通じゃない。この装置で正確に測れるかどうか...」
二人は書の小さな断片を慎重に採取し、大学の分析室へと向かった。幸い、土曜日の午前中ということもあり、分析室には誰もいなかった。
山田は手慣れた様子で質量分析装置を起動させる。サンプルをセットし、測定を開始した。
しばらくして、モニターに結果が表示された。
「これは...」
山田の顔が青ざめた。
「エラーじゃない...これ、本当に地球上の物質か?」
画面には、通常ではありえない数値が並んでいた。炭素14の含有量が、地球上のどの時代の物質とも一致しない。
「もしかしたら、宇宙線の影響を受けていない環境で保存されていたのかも」
山田は必死に合理的な説明を探した。
「でも、それにしても...」
「インクも調べてみよう」
賢吾の提案で、今度は文字が書かれた部分の微細なサンプルを採取した。
インクの成分分析を始めると、さらに奇妙な結果が出た。
「有機化合物だけど、既知のどの物質とも一致しない」
山田はデータベースと照合しながら首を振った。
「分子構造が...ちょっと待って、これ理論上は存在しないはずの結合です」
モニターに表示された分子構造は、化学の常識を逸脱していた。炭素原子が通常では不可能な角度で結合し、安定した構造を保っている。
山田の興奮が恐怖に変わっていく。
「先輩、冗談じゃなく、これ本当に地球外から来たものかもしれない」
二人は顔を見合わせた。科学的な分析が、イールの書の内容を裏付けているのだ。
その時、分析室の扉が突然開いた。
見知らぬ男が立っている。
四十代半ばと思われる男は、黒いスーツを着て、無表情な顔をしていた。手には身分証らしきものを持っている。
「政府関係者です」
男は感情のない声で言った。
「その書物について、お話があります」
賢吾は反射的にイールの書を背後に隠した。
「どうして、ここに我々がいることを...」
「それは重要ではありません」
男は一歩室内に入ってきた。
「重要なのは、あなた方が国家機密に関わる物品を所持しているということです」
「国家機密?」
山田が声を上げた。
「これは先輩の私物です。何の権利があって...」
「1947年の南極条約付帯条項」
男は淡々と述べた。
「地球外由来と思われる物品は、すべて政府の管理下に置かれます。直ちに、その書物と、すべての分析データを提出してください」
賢吾は山田と目を合わせた。山田も状況の異常さを理解したようだ。
「申し訳ありませんが」
賢吾は丁寧に、しかし断固とした口調で言った。
「正式な令状もなく、そのような要求には応じられません」
男の表情が、わずかに変化した。
「拒否されるということですか」
「法的な手続きを踏んでいただければ、協力も検討します」
沈黙が流れた。男は賢吾と山田を交互に見つめ、そして小さくため息をついた。
「分かりました。ただし、警告しておきます」
男は踵を返しながら言った。
「その書物は、あなた方が考えている以上に危険です。すでに何人もの人間が、それに関わって命を落としています。篠田教授のように」
賢吾の心臓が跳ね上がった。
「篠田先生のことを知っているんですか」
男は扉の前で立ち止まり、振り返った。
「我々は、七十年以上この問題を管理してきました。そして、それを表に出さないことで、社会の安定を保ってきたのです。あなた方の好奇心が、その均衡を崩すことにならないよう、祈っています」
男は去っていった。重い沈黙が、分析室に残された。
「先輩...」
山田が震え声で言った。
「これ、本当にヤバいやつじゃないですか」
賢吾は頷いた。しかし、同時に確信も深まっていた。
政府が七十年も隠してきた秘密。それは、イールの書が真実を語っている証拠ではないか。
「山田君」
賢吾は真剣な表情で後輩を見つめた。
「今なら、まだ引き返せる。巻き込みたくないんだ」
山田はしばらく考えた後、首を振った。
「先輩、僕は考古学者の卵です。真実を追求するのが仕事です。それに...」
山田は分析結果を指差した。
「これが本物なら、人類史上最大の発見です。逃げるわけにはいきません」
賢吾は山田の肩に手を置いた。
「ありがとう。でも、これからは本当に危険だ。慎重に行動しよう」
二人は分析データをUSBメモリに保存し、機器の使用記録を消去した。そして、何事もなかったかのように分析室を後にした。
廊下を歩きながら、賢吾は考えていた。
政府関係者の出現は、事態が新たな段階に入ったことを意味している。もはや、大学の研究室で続けられる調査ではない。
より安全な場所で、より慎重に、しかし確実に真実を追求する必要がある。
そして、味方も増やさなければならない。
「山田君、言語学のリンドバーグ教授を知ってるか?」
「スウェーデンから来られた客員教授ですよね」
「そうだ。彼の力も借りたい。君から連絡を取ってもらえるか?」
山田は頷いた。
新たな段階が始まろうとしていた。
携帯電話を取り出し、後輩の山田に連絡を入れる。
「山田君、今すぐ研究室に来てくれないか。他の人には内緒で」
三十分後、山田健一が息を切らしながら研究室に駆け込んできた。二十八歳の考古学専攻の院生で、賢吾が最も信頼する後輩の一人だ。真面目で口が堅く、何より優秀だった。
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山田は荒らされた部屋を見て顔を青ざめた。本棚から落ちた本、引き出しから散乱した書類、破壊されたパソコン。まるで台風が通過した後のような惨状だった。
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「いや、これは普通の泥棒じゃない」
賢吾は首を振った。
「金目のものには手を付けていない。探していたのは、別のものだ」
賢吾は部屋の扉を閉め、鍵をかけた。そして、山田の目を真っ直ぐ見つめる。
「山田君、これから話すことは、にわかには信じられないかもしれない。でも、君の力が必要なんだ」
そして賢吾は、篠田教授の死から始まる一連の出来事を話した。謎の鍵、古書店宝永堂、そしてイールの書の存在。
山田は最初、冗談かと思っているような表情だった。しかし、賢吾の真剣な眼差しと、荒らされた研究室という現実を前に、次第に表情が変わっていく。
「その...イールの書というのを、見せていただけますか」
賢吾は頷き、鞄から慎重に書を取り出した。念のため、全部ではなく一部だけを見せることにした。
獣皮の表紙を目にした瞬間、山田の表情が一変した。
「この材質...獣皮だけど、知ってる動物じゃない」
山田は考古学者の目で、慎重に書を観察した。手袋をはめ、ルーペで表面を確認する。
「それに、この保存状態は異常です」
山田の専門知識が火を噴き始めた。
「先輩、普通の獣皮なら、どんなに保存状態が良くても、三千年も経てばボロボロになります。でも、これは...まるで昨日作られたみたいに柔軟性を保っている」
「科学的に調べることは可能か?」
「炭素年代測定しましょう」
山田は即座に提案した。
「でも普通じゃない。この装置で正確に測れるかどうか...」
二人は書の小さな断片を慎重に採取し、大学の分析室へと向かった。幸い、土曜日の午前中ということもあり、分析室には誰もいなかった。
山田は手慣れた様子で質量分析装置を起動させる。サンプルをセットし、測定を開始した。
しばらくして、モニターに結果が表示された。
「これは...」
山田の顔が青ざめた。
「エラーじゃない...これ、本当に地球上の物質か?」
画面には、通常ではありえない数値が並んでいた。炭素14の含有量が、地球上のどの時代の物質とも一致しない。
「もしかしたら、宇宙線の影響を受けていない環境で保存されていたのかも」
山田は必死に合理的な説明を探した。
「でも、それにしても...」
「インクも調べてみよう」
賢吾の提案で、今度は文字が書かれた部分の微細なサンプルを採取した。
インクの成分分析を始めると、さらに奇妙な結果が出た。
「有機化合物だけど、既知のどの物質とも一致しない」
山田はデータベースと照合しながら首を振った。
「分子構造が...ちょっと待って、これ理論上は存在しないはずの結合です」
モニターに表示された分子構造は、化学の常識を逸脱していた。炭素原子が通常では不可能な角度で結合し、安定した構造を保っている。
山田の興奮が恐怖に変わっていく。
「先輩、冗談じゃなく、これ本当に地球外から来たものかもしれない」
二人は顔を見合わせた。科学的な分析が、イールの書の内容を裏付けているのだ。
その時、分析室の扉が突然開いた。
見知らぬ男が立っている。
四十代半ばと思われる男は、黒いスーツを着て、無表情な顔をしていた。手には身分証らしきものを持っている。
「政府関係者です」
男は感情のない声で言った。
「その書物について、お話があります」
賢吾は反射的にイールの書を背後に隠した。
「どうして、ここに我々がいることを...」
「それは重要ではありません」
男は一歩室内に入ってきた。
「重要なのは、あなた方が国家機密に関わる物品を所持しているということです」
「国家機密?」
山田が声を上げた。
「これは先輩の私物です。何の権利があって...」
「1947年の南極条約付帯条項」
男は淡々と述べた。
「地球外由来と思われる物品は、すべて政府の管理下に置かれます。直ちに、その書物と、すべての分析データを提出してください」
賢吾は山田と目を合わせた。山田も状況の異常さを理解したようだ。
「申し訳ありませんが」
賢吾は丁寧に、しかし断固とした口調で言った。
「正式な令状もなく、そのような要求には応じられません」
男の表情が、わずかに変化した。
「拒否されるということですか」
「法的な手続きを踏んでいただければ、協力も検討します」
沈黙が流れた。男は賢吾と山田を交互に見つめ、そして小さくため息をついた。
「分かりました。ただし、警告しておきます」
男は踵を返しながら言った。
「その書物は、あなた方が考えている以上に危険です。すでに何人もの人間が、それに関わって命を落としています。篠田教授のように」
賢吾の心臓が跳ね上がった。
「篠田先生のことを知っているんですか」
男は扉の前で立ち止まり、振り返った。
「我々は、七十年以上この問題を管理してきました。そして、それを表に出さないことで、社会の安定を保ってきたのです。あなた方の好奇心が、その均衡を崩すことにならないよう、祈っています」
男は去っていった。重い沈黙が、分析室に残された。
「先輩...」
山田が震え声で言った。
「これ、本当にヤバいやつじゃないですか」
賢吾は頷いた。しかし、同時に確信も深まっていた。
政府が七十年も隠してきた秘密。それは、イールの書が真実を語っている証拠ではないか。
「山田君」
賢吾は真剣な表情で後輩を見つめた。
「今なら、まだ引き返せる。巻き込みたくないんだ」
山田はしばらく考えた後、首を振った。
「先輩、僕は考古学者の卵です。真実を追求するのが仕事です。それに...」
山田は分析結果を指差した。
「これが本物なら、人類史上最大の発見です。逃げるわけにはいきません」
賢吾は山田の肩に手を置いた。
「ありがとう。でも、これからは本当に危険だ。慎重に行動しよう」
二人は分析データをUSBメモリに保存し、機器の使用記録を消去した。そして、何事もなかったかのように分析室を後にした。
廊下を歩きながら、賢吾は考えていた。
政府関係者の出現は、事態が新たな段階に入ったことを意味している。もはや、大学の研究室で続けられる調査ではない。
より安全な場所で、より慎重に、しかし確実に真実を追求する必要がある。
そして、味方も増やさなければならない。
「山田君、言語学のリンドバーグ教授を知ってるか?」
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