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4月
プラトニックなラブは苦行
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2日目の宿は歴史ある旅館って感じのとこだった。部屋は和室ですごく広い。今回はベッドじゃなくて布団だった。
「温泉がついている部屋があればよかったんだが…。このあたりにそういった宿がなくてな。温泉に入るためには大衆浴場に行かなければならないが…それでもいいか?」
「大衆浴場かあ…。スルト、僕のそばを絶対離れないでね。体洗うときも、お湯に入るときも、絶対そばでいてね」
「当然だ。片時も離れるものか」
「じゃあ大丈夫」
「無理をさせてすまないな…。奈良で一番良い湯だといわれているところに連れて行きたくて…」
「ううん!うれしいよ。たのしみ!」
「そうか…。よかった。では、出かけるか。渓谷を見て、鮎を食べて、鍾乳洞を見たあとに温泉だ」
「最高じゃん…。はやくいこ!」
「ああ」
そのあと僕たちは田舎をおおいに楽しんだ。連れて行ってくれたところは全部僕好みで、歩くのは疲れたけどそれを忘れるくらい楽しめた。それになにより、このプランをあの出不精のスルトが考えてくれたって思うと…なんか感動して泣きそうになった。
「鮎、最高においしかった!」
「うまかったな。あと3匹くらい食べられた」
「あはは。スルトの大食い」
「ふふ。だが旅館の食事もうまいらしいから我慢した」
「賢明な判断です」
温泉の脱衣所で服を脱ぎながら、僕たちは観光した場所の話で盛り上がった。モブたちの視線が気になったけど、スルトが無言で威嚇していたおかげで声すらもかけられずにすんだ。僕は腰にタオルを巻き浴場へ入る。体を洗う場所は当然一番端っこだ。そしてその隣をスルトに座ってもらう。
体を洗い終え、僕たちは温泉に浸かった。さすが奈良で一番のお湯といわれてるだけあって、トロトロの白いにごり湯ですごく気持ちがいい。人が多かったのは少し残念だったけど。
「あ"ー…きもちぃー…」
「その顔でおっさんのような声を出すなケーゴ」
「だって気持ちいいんだもん」
「ふっ、確かに気持ちがいいな」
「っ…」
温泉に浸かってスルトとお喋りをしていると、僕の股間を優しくさすられた。僕のやわらかいものをふにふに握り、指がおしりに伸びてくる。欲求不満だった僕の体はすぐに反応してしまった。
「ちょ、ちょっとスルト…。にごり湯だからってこんなとこで…」
「?」
「もう、しらばっくれないでよ…。んっ…」
「…っ!」
ハッとしたスルトが突然僕を抱き寄せた。僕の隣で浸かっていた人を睨みつけ、僕を抱えたまま湯舟の端に移動する。隅に座らされた僕に、守るようにスルトが覆いかぶさった。ち、近いよ…。
「…スルト?」
「ケーゴ。どこを触られたんだ?」
「…え?」
「俺はお前に触れていない」
「うそ…」
「本当だ。どこを触られたんだ?」
「ちんこと…中に指…」
「ちっ…」
「え、スルトじゃなかったの?」
「俺じゃない。おそらくお前の隣にいたやつだ。くそっ!すまないケーゴ。こんなにごり湯なんて選ぶんじゃなかった…!お前の体を他のやつに…!」
「気にしないで。スルトは悪くないよ。悪いのはセクハラしたあいつじゃん」
「いや、こんなところに連れてきた俺が悪い。早く出るぞ」
「……」
「ケーゴ。出るぞ」
「…ちょっと今むり」
「ん?」
「勃ってる、から…」
「……」
顔を真っ赤にしながら消え入りそうな声で僕がそう言うと、スルトは今にも人を殺しそうな表情をした。こわ…。
「そんな、すぐにおさまらないほど触られたのか?!」
「ちがう…。そいつに触られたのはもうおさまってたんだけど…。ス、スルトが近いから…」
「え?」
「スルトのはだかと…においで…また勃っちゃったから…」
「……」
「ちょっと離れてくれない…?」
「わ、分かった…」
僕の勃起理由を聞いたスルトも顔を真っ赤にしていた。僕たちはぎくしゃくと体を離し距離を取り、しばらく無言で温泉に浸かっていた。無事おさまった僕は、背を向けているスルトの背中を叩いて声をかけた。
「スルト?お待たせ。もうおさまったよ。出ようか」
「……」
「スルト?」
「ケーゴすまん…。今度は俺がおさまらん」
「あー…」
「す、すまん…」
「ううん。もとは僕が待たせてたんだし。もうちょっと温泉浸かりたかったからちょうどいいよ。ここだとセクハラされることもないし。スルト、僕の前で見張っててね」
「ああ、任せろ。…ありがとうケーゴ」
「あはは。なんでスルトがお礼言うの?僕こそありがとうだよ」
「ふふ」
「温泉がついている部屋があればよかったんだが…。このあたりにそういった宿がなくてな。温泉に入るためには大衆浴場に行かなければならないが…それでもいいか?」
「大衆浴場かあ…。スルト、僕のそばを絶対離れないでね。体洗うときも、お湯に入るときも、絶対そばでいてね」
「当然だ。片時も離れるものか」
「じゃあ大丈夫」
「無理をさせてすまないな…。奈良で一番良い湯だといわれているところに連れて行きたくて…」
「ううん!うれしいよ。たのしみ!」
「そうか…。よかった。では、出かけるか。渓谷を見て、鮎を食べて、鍾乳洞を見たあとに温泉だ」
「最高じゃん…。はやくいこ!」
「ああ」
そのあと僕たちは田舎をおおいに楽しんだ。連れて行ってくれたところは全部僕好みで、歩くのは疲れたけどそれを忘れるくらい楽しめた。それになにより、このプランをあの出不精のスルトが考えてくれたって思うと…なんか感動して泣きそうになった。
「鮎、最高においしかった!」
「うまかったな。あと3匹くらい食べられた」
「あはは。スルトの大食い」
「ふふ。だが旅館の食事もうまいらしいから我慢した」
「賢明な判断です」
温泉の脱衣所で服を脱ぎながら、僕たちは観光した場所の話で盛り上がった。モブたちの視線が気になったけど、スルトが無言で威嚇していたおかげで声すらもかけられずにすんだ。僕は腰にタオルを巻き浴場へ入る。体を洗う場所は当然一番端っこだ。そしてその隣をスルトに座ってもらう。
体を洗い終え、僕たちは温泉に浸かった。さすが奈良で一番のお湯といわれてるだけあって、トロトロの白いにごり湯ですごく気持ちがいい。人が多かったのは少し残念だったけど。
「あ"ー…きもちぃー…」
「その顔でおっさんのような声を出すなケーゴ」
「だって気持ちいいんだもん」
「ふっ、確かに気持ちがいいな」
「っ…」
温泉に浸かってスルトとお喋りをしていると、僕の股間を優しくさすられた。僕のやわらかいものをふにふに握り、指がおしりに伸びてくる。欲求不満だった僕の体はすぐに反応してしまった。
「ちょ、ちょっとスルト…。にごり湯だからってこんなとこで…」
「?」
「もう、しらばっくれないでよ…。んっ…」
「…っ!」
ハッとしたスルトが突然僕を抱き寄せた。僕の隣で浸かっていた人を睨みつけ、僕を抱えたまま湯舟の端に移動する。隅に座らされた僕に、守るようにスルトが覆いかぶさった。ち、近いよ…。
「…スルト?」
「ケーゴ。どこを触られたんだ?」
「…え?」
「俺はお前に触れていない」
「うそ…」
「本当だ。どこを触られたんだ?」
「ちんこと…中に指…」
「ちっ…」
「え、スルトじゃなかったの?」
「俺じゃない。おそらくお前の隣にいたやつだ。くそっ!すまないケーゴ。こんなにごり湯なんて選ぶんじゃなかった…!お前の体を他のやつに…!」
「気にしないで。スルトは悪くないよ。悪いのはセクハラしたあいつじゃん」
「いや、こんなところに連れてきた俺が悪い。早く出るぞ」
「……」
「ケーゴ。出るぞ」
「…ちょっと今むり」
「ん?」
「勃ってる、から…」
「……」
顔を真っ赤にしながら消え入りそうな声で僕がそう言うと、スルトは今にも人を殺しそうな表情をした。こわ…。
「そんな、すぐにおさまらないほど触られたのか?!」
「ちがう…。そいつに触られたのはもうおさまってたんだけど…。ス、スルトが近いから…」
「え?」
「スルトのはだかと…においで…また勃っちゃったから…」
「……」
「ちょっと離れてくれない…?」
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「スルト?お待たせ。もうおさまったよ。出ようか」
「……」
「スルト?」
「ケーゴすまん…。今度は俺がおさまらん」
「あー…」
「す、すまん…」
「ううん。もとは僕が待たせてたんだし。もうちょっと温泉浸かりたかったからちょうどいいよ。ここだとセクハラされることもないし。スルト、僕の前で見張っててね」
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