【完結】【R18BL】極上オメガ、いろいろあるけどなんだかんだで毎日楽しく過ごしてます

ちゃっぷす

文字の大きさ
61 / 87
4月

プラトニックなラブは苦行

しおりを挟む
2日目の宿は歴史ある旅館って感じのとこだった。部屋は和室ですごく広い。今回はベッドじゃなくて布団だった。

「温泉がついている部屋があればよかったんだが…。このあたりにそういった宿がなくてな。温泉に入るためには大衆浴場に行かなければならないが…それでもいいか?」

「大衆浴場かあ…。スルト、僕のそばを絶対離れないでね。体洗うときも、お湯に入るときも、絶対そばでいてね」

「当然だ。片時も離れるものか」

「じゃあ大丈夫」

「無理をさせてすまないな…。奈良で一番良い湯だといわれているところに連れて行きたくて…」

「ううん!うれしいよ。たのしみ!」

「そうか…。よかった。では、出かけるか。渓谷を見て、鮎を食べて、鍾乳洞を見たあとに温泉だ」

「最高じゃん…。はやくいこ!」

「ああ」

そのあと僕たちは田舎をおおいに楽しんだ。連れて行ってくれたところは全部僕好みで、歩くのは疲れたけどそれを忘れるくらい楽しめた。それになにより、このプランをあの出不精のスルトが考えてくれたって思うと…なんか感動して泣きそうになった。

「鮎、最高においしかった!」

「うまかったな。あと3匹くらい食べられた」

「あはは。スルトの大食い」

「ふふ。だが旅館の食事もうまいらしいから我慢した」

「賢明な判断です」

温泉の脱衣所で服を脱ぎながら、僕たちは観光した場所の話で盛り上がった。モブたちの視線が気になったけど、スルトが無言で威嚇していたおかげで声すらもかけられずにすんだ。僕は腰にタオルを巻き浴場へ入る。体を洗う場所は当然一番端っこだ。そしてその隣をスルトに座ってもらう。

体を洗い終え、僕たちは温泉に浸かった。さすが奈良で一番のお湯といわれてるだけあって、トロトロの白いにごり湯ですごく気持ちがいい。人が多かったのは少し残念だったけど。

「あ"ー…きもちぃー…」

「その顔でおっさんのような声を出すなケーゴ」

「だって気持ちいいんだもん」

「ふっ、確かに気持ちがいいな」

「っ…」

温泉に浸かってスルトとお喋りをしていると、僕の股間を優しくさすられた。僕のやわらかいものをふにふに握り、指がおしりに伸びてくる。欲求不満だった僕の体はすぐに反応してしまった。

「ちょ、ちょっとスルト…。にごり湯だからってこんなとこで…」

「?」

「もう、しらばっくれないでよ…。んっ…」

「…っ!」

ハッとしたスルトが突然僕を抱き寄せた。僕の隣で浸かっていた人を睨みつけ、僕を抱えたまま湯舟の端に移動する。隅に座らされた僕に、守るようにスルトが覆いかぶさった。ち、近いよ…。

「…スルト?」

「ケーゴ。どこを触られたんだ?」

「…え?」

「俺はお前に触れていない」

「うそ…」

「本当だ。どこを触られたんだ?」

「ちんこと…中に指…」

「ちっ…」

「え、スルトじゃなかったの?」

「俺じゃない。おそらくお前の隣にいたやつだ。くそっ!すまないケーゴ。こんなにごり湯なんて選ぶんじゃなかった…!お前の体を他のやつに…!」

「気にしないで。スルトは悪くないよ。悪いのはセクハラしたあいつじゃん」

「いや、こんなところに連れてきた俺が悪い。早く出るぞ」

「……」

「ケーゴ。出るぞ」

「…ちょっと今むり」

「ん?」

「勃ってる、から…」

「……」

顔を真っ赤にしながら消え入りそうな声で僕がそう言うと、スルトは今にも人を殺しそうな表情をした。こわ…。

「そんな、すぐにおさまらないほど触られたのか?!」

「ちがう…。そいつに触られたのはもうおさまってたんだけど…。ス、スルトが近いから…」

「え?」

「スルトのはだかと…においで…また勃っちゃったから…」

「……」

「ちょっと離れてくれない…?」

「わ、分かった…」

僕の勃起理由を聞いたスルトも顔を真っ赤にしていた。僕たちはぎくしゃくと体を離し距離を取り、しばらく無言で温泉に浸かっていた。無事おさまった僕は、背を向けているスルトの背中を叩いて声をかけた。

「スルト?お待たせ。もうおさまったよ。出ようか」

「……」

「スルト?」

「ケーゴすまん…。今度は俺がおさまらん」

「あー…」

「す、すまん…」

「ううん。もとは僕が待たせてたんだし。もうちょっと温泉浸かりたかったからちょうどいいよ。ここだとセクハラされることもないし。スルト、僕の前で見張っててね」

「ああ、任せろ。…ありがとうケーゴ」

「あはは。なんでスルトがお礼言うの?僕こそありがとうだよ」

「ふふ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...