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一年:二学期期末考査~二学期最終日
第五話
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成績表が配られる直前、凪が俺を呼び留めた。
「なあなあ、理玖」
「んー?」
「成績、同時に見ない? 席まで伏せて持って帰って、いっせーのでで見るんだ」
こいつ、この勝負を完全にゲームとして楽しんでいるな。
だが、悪くない提案だ。
「いいよ。じゃあそれで」
そしてお互いの成績表が配られ、俺たちは席についた。
なんだこの緊張感。ま、まあ。今度こそ勝つのは俺だけど?
「理玖、いくぞ。いっせーのーで!!」
俺と凪は成績表をひっくり返し――
「なんでだよぉぉッ!!」
「よっしゃぁぁぁ!!」
俺は床に崩れ落ち、凪は天井に向けて腕を突き出した。
わずか二点差。たった二点。数学のケアレスミスがなければ、俺は……!!
今にも泣きそうになっていると、凪に肩を叩かれた。
「じゃ、この関係は続行ってことで!」
「くそぉぉぉぉっ!!」
「早速今日理玖んち行くからよろしく~!」
「くっそぉぉぉぉぉっ……!!」
このとき、俺はまだ分かっていなかった。
今回の勝負の結果で、俺の運命が大きく変わってしまったことに。
◇◇◇
その日の夜、部活帰りの凪がうちに泊まりに来た。
いつもなら晩飯かゲームかのどちらかを真っ先にしたがるのだが、今日は違った。
「シャワー浴びてもいい?」
「え。いいけど」
凪が自分からシャワーを浴びるなんて、珍しいこともあるもんだ。いつもなら「朝浴びる~」とか言って夜に入りたがらないのに。(そんな凪を俺は無理やり浴室に引きずっていく。だって汚い体でソファで寝られたくねえもん)
シャワーから出た凪は、ちらちらと俺の様子を窺いながら隣に座った。
「あの、さ。理玖」
「なに?」
「今日、俺が勝ったじゃん」
「おう……」
「俺の言うこと、なんでも聞くんだよな?」
「お、おう……」
なんだ? 凪は何を言おうとしている?
「じゃあ、俺が今からすること、嫌がるなよ」
「……?」
さっぱり分からん。こいつは一体何をする気なんだ。
よく分からんまま、俺は凪の様子を観察していた。
凪はためらいがちに、俺の眼鏡を外した。そして前髪をかき上げる。
はっきりと見えるようになった俺の顔を、凪は覗き込んだ。
「……」
「……」
なんだ、この時間は。クソ恥ずかしい。なんで俺の顔を凝視しているんだこいつは。
「……お、おい。もういいだろ……。恥ずかしいだろ……」
「動かないで。もっと見たいから」
「……はぁ……」
凪は俺の頬を指で撫でたり、眉毛やまつ毛を触ったりと、それはもうベタベタベタベタ俺の顔に指紋を付けまくった。
凪の表情がうっとりしているように見えたので(自意識過剰だろうが)、俺は冗談交じりに言った。
「なに? 俺の顔がそんな気に入った?」
「……うん」
「……ん?」
思っていた反応と違う。
「俺、理玖の顔好きかも……」
「お、おい……。いくら女みたいな顔してても、俺にはちんこが――」
最後まで言えなかった。物理的に。
「!?!?」
おい。おいおいおいおい。なに? 何が起こってんの?
なんで俺は、凪にキスされている!?
「ちょ……っ、おま……」
「なんでも言うこと聞くんでしょ」
「……~~っ」
「口、開いてよ」
「はぁ!?」
「開いて」
「んん……っ」
カミサマ。どうして俺の初キッスを男に奪わせたんですか。なんで俺は男にベロチューされてんですか。
なんで凪が俺にキスをしてんですか。教えてくださいよ。全知全能なんでしょ。
「んっ……んん……、おい、長っ……」
「もうちょっと……」
「んん……っ、息できな……っ」
なんか頭クラクラする。酸欠だからか? ふわふわする。
しつこいくらい長いキスのあと、やっと凪が離れてくれた。
「はは。もしかしてはじめてだった?」
「そうだけど……。ってかなんでこんなこと……」
凪はぽっと頬を赤らめ、俺からちょっと顔を背けた。
「……なんか、したかったから」
「ふわっとしてんなあ……。意味分かんねえ……。そんな溜まってんの?」
「溜まってる……? ああ、だからかな」
「そんなの……相手してくれる女子たくさんいるだろ。なんで俺……」
「なんでだろ。ふとそう思ったんだ」
凪がちらっと俺を見てから、またちゅっと軽いキスをした。
「理玖にキスしたいって、ふと思っちゃった」
「そんなことふと思うな――……んん……」
こいつ、どっかに頭ぶつけたんじゃないのか。こんな何回も俺にキスして。それに気付いてんぞ。お前のちんこ勃ってんの。気持ち悪いヤツだな。
それに俺も、寝てる間に頭ぶつけたに違いない。こいつとのキスをあんまり嫌だと思わなかったんだから。それに俺のちんこも、なぜかちょっと勃ってるし。きも。
「なあなあ、理玖」
「んー?」
「成績、同時に見ない? 席まで伏せて持って帰って、いっせーのでで見るんだ」
こいつ、この勝負を完全にゲームとして楽しんでいるな。
だが、悪くない提案だ。
「いいよ。じゃあそれで」
そしてお互いの成績表が配られ、俺たちは席についた。
なんだこの緊張感。ま、まあ。今度こそ勝つのは俺だけど?
「理玖、いくぞ。いっせーのーで!!」
俺と凪は成績表をひっくり返し――
「なんでだよぉぉッ!!」
「よっしゃぁぁぁ!!」
俺は床に崩れ落ち、凪は天井に向けて腕を突き出した。
わずか二点差。たった二点。数学のケアレスミスがなければ、俺は……!!
今にも泣きそうになっていると、凪に肩を叩かれた。
「じゃ、この関係は続行ってことで!」
「くそぉぉぉぉっ!!」
「早速今日理玖んち行くからよろしく~!」
「くっそぉぉぉぉぉっ……!!」
このとき、俺はまだ分かっていなかった。
今回の勝負の結果で、俺の運命が大きく変わってしまったことに。
◇◇◇
その日の夜、部活帰りの凪がうちに泊まりに来た。
いつもなら晩飯かゲームかのどちらかを真っ先にしたがるのだが、今日は違った。
「シャワー浴びてもいい?」
「え。いいけど」
凪が自分からシャワーを浴びるなんて、珍しいこともあるもんだ。いつもなら「朝浴びる~」とか言って夜に入りたがらないのに。(そんな凪を俺は無理やり浴室に引きずっていく。だって汚い体でソファで寝られたくねえもん)
シャワーから出た凪は、ちらちらと俺の様子を窺いながら隣に座った。
「あの、さ。理玖」
「なに?」
「今日、俺が勝ったじゃん」
「おう……」
「俺の言うこと、なんでも聞くんだよな?」
「お、おう……」
なんだ? 凪は何を言おうとしている?
「じゃあ、俺が今からすること、嫌がるなよ」
「……?」
さっぱり分からん。こいつは一体何をする気なんだ。
よく分からんまま、俺は凪の様子を観察していた。
凪はためらいがちに、俺の眼鏡を外した。そして前髪をかき上げる。
はっきりと見えるようになった俺の顔を、凪は覗き込んだ。
「……」
「……」
なんだ、この時間は。クソ恥ずかしい。なんで俺の顔を凝視しているんだこいつは。
「……お、おい。もういいだろ……。恥ずかしいだろ……」
「動かないで。もっと見たいから」
「……はぁ……」
凪は俺の頬を指で撫でたり、眉毛やまつ毛を触ったりと、それはもうベタベタベタベタ俺の顔に指紋を付けまくった。
凪の表情がうっとりしているように見えたので(自意識過剰だろうが)、俺は冗談交じりに言った。
「なに? 俺の顔がそんな気に入った?」
「……うん」
「……ん?」
思っていた反応と違う。
「俺、理玖の顔好きかも……」
「お、おい……。いくら女みたいな顔してても、俺にはちんこが――」
最後まで言えなかった。物理的に。
「!?!?」
おい。おいおいおいおい。なに? 何が起こってんの?
なんで俺は、凪にキスされている!?
「ちょ……っ、おま……」
「なんでも言うこと聞くんでしょ」
「……~~っ」
「口、開いてよ」
「はぁ!?」
「開いて」
「んん……っ」
カミサマ。どうして俺の初キッスを男に奪わせたんですか。なんで俺は男にベロチューされてんですか。
なんで凪が俺にキスをしてんですか。教えてくださいよ。全知全能なんでしょ。
「んっ……んん……、おい、長っ……」
「もうちょっと……」
「んん……っ、息できな……っ」
なんか頭クラクラする。酸欠だからか? ふわふわする。
しつこいくらい長いキスのあと、やっと凪が離れてくれた。
「はは。もしかしてはじめてだった?」
「そうだけど……。ってかなんでこんなこと……」
凪はぽっと頬を赤らめ、俺からちょっと顔を背けた。
「……なんか、したかったから」
「ふわっとしてんなあ……。意味分かんねえ……。そんな溜まってんの?」
「溜まってる……? ああ、だからかな」
「そんなの……相手してくれる女子たくさんいるだろ。なんで俺……」
「なんでだろ。ふとそう思ったんだ」
凪がちらっと俺を見てから、またちゅっと軽いキスをした。
「理玖にキスしたいって、ふと思っちゃった」
「そんなことふと思うな――……んん……」
こいつ、どっかに頭ぶつけたんじゃないのか。こんな何回も俺にキスして。それに気付いてんぞ。お前のちんこ勃ってんの。気持ち悪いヤツだな。
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