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一年:二学期期末考査~二学期最終日
第十五話
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どうしよ。まともな私服持ってない。
凪はいつも急に予定を入れてくる。泊まりに来るのだって当日の放課後にしか言ってこないし、博物館に行くのだって決まったのが二日前だ。
そして俺は一度も友だちと外出したことがない。友だちがいないんだから当然だ。
つまりまともな私服なんて一着も持っていない。冬服なんてなおさらだ。穴の空いたスウェットくらいしかねえ。
どうせ凪はバチバチにキメて来やがるんだろう。そんなヤツと俺が歩いてみろ。陰と陽がせめぎ合って時空に歪が生じるぞ。賠償責任求められたって俺は責任をとれねえ。どうしたらいいんだ、おい。
凪に服を借りるか? いや、サイズが合わない。彼シャツみたいになってしまう。想像しただけでキモイ。
服を買いに行くか? 無理。アパレル業界の店員さん怖すぎて一人じゃ店に近寄れない。
凪についてきてもらうか? バカか。外出のために外出の予定増やしてどうする。ほんでもってそうなったら買い物行くときの服がねえわ。
凪に服を買ってきてもらうか? いやなんで俺が凪のことパシッてんだよ。却下。
ネット通販だと間に合わない。だったらやっぱり、一人で買いに行くしかない。
店員さんが怖くなさそうな店に行こう。うん。それが一番マシだ。
早速俺はショッピングモールに向かった。電車もショッピングモールも人ごみがすごい。目がくらむ。
友だちと出かける女子たち、手を繋いでいる恋人たち、家族連れ……
みんな同じ空間にいるはずなのに、自分たちのことしか見えていないみたいだ。
どこにいたって、何人いたって、世界は小さいもんなんだな。
いろんな店がある中で、俺はあるメンズファッション店に入った。
服が多すぎて目移りする。どれが良いのかさっぱり分からん。
「なにかお探しでしょうか~」
来た。来やがった。アパレルの店員さん。へったくそな作り笑顔はりつけて、無駄に人懐っこい素振りで近寄ってきた。
「あ、えっと、いえ……」
「あー、その服よくお似合いですよ~」
嘘つけ。買わせたいだけだろうが。
……でも、自分じゃどれが良いか分からないし、もうこの人に適当に決めてもらおう。その方が楽だし。
「あ、あの……」
「はい! なんでしょう」
「お、俺、あんま分かんなくて……。俺に合いそうな服、選んでくれませんか……」
「分かりました~!」
「あの、すみません、できたらそんな高くないヤツでお願いします……」
「かしこまりました~!」
おお……。これ、いい方法だったかもしれない。
服を勝手に見繕ってくれるし、その間は店員さんがそばから離れてくれるし。
これからもそうしよ。
「お待たせしました~! こちらとかいかがですか~?」
「……」
店員さんが持ってきたのは、黒っぽい色をしたブルゾン、黒のプルオーバー、細めのベルトと、なんとも形容しがたい色(濾しすぎて色あせたアズキみたいな……)をしたルーズパンツだった。
全体的にダボダボしており動きづらそうなのだが、店員さんいわく今はこういうのが流行っているとかいないとか。
店員さんにおしゃれに着こなす方法をレクチャーしてもらってから、試着してみた。
「おお! お似合いですよ~! お客さん、すっごくスタイルいいんで似合うと思ったんですよね!!」
「そ、そうですかね……?」
ま、まあ、確かに、首から下がやたらとおしゃれになった気がする。頭だけが浮いている状態になってしまった。これはこれで変な気がする。
「ちょっとおしゃれすぎません……? もうちょっとダサくしてもらうことって……」
「こんな似合ってんのになんでわざとダサくしなきゃいけないんですか!?」
そ、そうだよな。店員さんにお願いすることじゃなかったわ。
俺は鏡越しに自分の全身を眺めた。
「……あの、店員さん。ここって靴も置いてますよね?」
「はい、置いてますよー!」
「背丈ごまかせる靴とかあります……?」
「高く見せたいですか? あります! 持ってきますね!!」
店員さんはすぐに戻って来た。ハイソールのヒールブーツを手に持っている。
「ヒール……」
「お客さん絶対これ似合いますよ!!」
履いてみると、かなり目線が高くなった。
「おおお……!」
「どうです!? 今の服ともすっごく似合ってますし!!」
「いいですね……これ……」
これを履いていれば、ちょっとは凪との身長差も縮まるだろう。
「じゃ、じゃあこれ一式お願いします……」
「ありがとうございまぁーす!!」
俺の財布がものすごく軽くなってしまった。明日も凪と博物館に行くし、これからしばらく極貧生活をしなければいけないだろう。
「おしゃれって金かかるんだな……」
明日、一人でちゃんとおしゃれに着こなせるんだろうか。自信なさすぎる。
でもまあ穴あきスウェットで行くよりは幾分マシだろう。
凪はいつも急に予定を入れてくる。泊まりに来るのだって当日の放課後にしか言ってこないし、博物館に行くのだって決まったのが二日前だ。
そして俺は一度も友だちと外出したことがない。友だちがいないんだから当然だ。
つまりまともな私服なんて一着も持っていない。冬服なんてなおさらだ。穴の空いたスウェットくらいしかねえ。
どうせ凪はバチバチにキメて来やがるんだろう。そんなヤツと俺が歩いてみろ。陰と陽がせめぎ合って時空に歪が生じるぞ。賠償責任求められたって俺は責任をとれねえ。どうしたらいいんだ、おい。
凪に服を借りるか? いや、サイズが合わない。彼シャツみたいになってしまう。想像しただけでキモイ。
服を買いに行くか? 無理。アパレル業界の店員さん怖すぎて一人じゃ店に近寄れない。
凪についてきてもらうか? バカか。外出のために外出の予定増やしてどうする。ほんでもってそうなったら買い物行くときの服がねえわ。
凪に服を買ってきてもらうか? いやなんで俺が凪のことパシッてんだよ。却下。
ネット通販だと間に合わない。だったらやっぱり、一人で買いに行くしかない。
店員さんが怖くなさそうな店に行こう。うん。それが一番マシだ。
早速俺はショッピングモールに向かった。電車もショッピングモールも人ごみがすごい。目がくらむ。
友だちと出かける女子たち、手を繋いでいる恋人たち、家族連れ……
みんな同じ空間にいるはずなのに、自分たちのことしか見えていないみたいだ。
どこにいたって、何人いたって、世界は小さいもんなんだな。
いろんな店がある中で、俺はあるメンズファッション店に入った。
服が多すぎて目移りする。どれが良いのかさっぱり分からん。
「なにかお探しでしょうか~」
来た。来やがった。アパレルの店員さん。へったくそな作り笑顔はりつけて、無駄に人懐っこい素振りで近寄ってきた。
「あ、えっと、いえ……」
「あー、その服よくお似合いですよ~」
嘘つけ。買わせたいだけだろうが。
……でも、自分じゃどれが良いか分からないし、もうこの人に適当に決めてもらおう。その方が楽だし。
「あ、あの……」
「はい! なんでしょう」
「お、俺、あんま分かんなくて……。俺に合いそうな服、選んでくれませんか……」
「分かりました~!」
「あの、すみません、できたらそんな高くないヤツでお願いします……」
「かしこまりました~!」
おお……。これ、いい方法だったかもしれない。
服を勝手に見繕ってくれるし、その間は店員さんがそばから離れてくれるし。
これからもそうしよ。
「お待たせしました~! こちらとかいかがですか~?」
「……」
店員さんが持ってきたのは、黒っぽい色をしたブルゾン、黒のプルオーバー、細めのベルトと、なんとも形容しがたい色(濾しすぎて色あせたアズキみたいな……)をしたルーズパンツだった。
全体的にダボダボしており動きづらそうなのだが、店員さんいわく今はこういうのが流行っているとかいないとか。
店員さんにおしゃれに着こなす方法をレクチャーしてもらってから、試着してみた。
「おお! お似合いですよ~! お客さん、すっごくスタイルいいんで似合うと思ったんですよね!!」
「そ、そうですかね……?」
ま、まあ、確かに、首から下がやたらとおしゃれになった気がする。頭だけが浮いている状態になってしまった。これはこれで変な気がする。
「ちょっとおしゃれすぎません……? もうちょっとダサくしてもらうことって……」
「こんな似合ってんのになんでわざとダサくしなきゃいけないんですか!?」
そ、そうだよな。店員さんにお願いすることじゃなかったわ。
俺は鏡越しに自分の全身を眺めた。
「……あの、店員さん。ここって靴も置いてますよね?」
「はい、置いてますよー!」
「背丈ごまかせる靴とかあります……?」
「高く見せたいですか? あります! 持ってきますね!!」
店員さんはすぐに戻って来た。ハイソールのヒールブーツを手に持っている。
「ヒール……」
「お客さん絶対これ似合いますよ!!」
履いてみると、かなり目線が高くなった。
「おおお……!」
「どうです!? 今の服ともすっごく似合ってますし!!」
「いいですね……これ……」
これを履いていれば、ちょっとは凪との身長差も縮まるだろう。
「じゃ、じゃあこれ一式お願いします……」
「ありがとうございまぁーす!!」
俺の財布がものすごく軽くなってしまった。明日も凪と博物館に行くし、これからしばらく極貧生活をしなければいけないだろう。
「おしゃれって金かかるんだな……」
明日、一人でちゃんとおしゃれに着こなせるんだろうか。自信なさすぎる。
でもまあ穴あきスウェットで行くよりは幾分マシだろう。
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