【完結】【R18BL】学年二位は、学年一位の命令を聞く

ちゃっぷす

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一年:二学期期末考査~二学期最終日

第十九話

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 いらないと言ったのに、凪が看病のために俺のうちに来た。
 そのときには熱が上がっていて、玄関のドアまで行くのすら結構しんどかった。
 そんな俺を見て、凪は顔を青くする。

「ひどくなってんじゃん……」
「うん……。だからお前帰れ……」
「なんでだよ。なおさら看病しなきゃじゃん」
「移したくないから……」
「気にすんなって。理玖とは体の鍛え方が違うからさ」
「うるせえ……」

 こんなことを言いながら、少し嬉しいと思っている自分がいた。
 体調崩すとメンタルも弱るんだな。誰かがそばにいてくれるだけで安心する。

 俺が寝ている間に、凪がレトルトのおかゆを用意してくれた。

「ごめんな。俺、料理全然できなくて……」
「いや、ありがたいよ……。俺一人だと何も食べてなかっただろうから」

 俺がおかゆを受け取ろうとすると、凪がお盆をすっと引っ込めた。

「……ん?」
「俺が食べさせてやるから」
「いや、いい……。自分で食べれるから……」
「いいから」
「……」

 こいつ、これがしたかっただけじゃないだろうな……。

 凪はおかゆをスプーンにすくい、俺に差し出した。

「理玖、あーん」
「……」
「ほら、あーん」
「はあ……」

 俺はいやいや口を開けた。するっとスプーンが入ってくる。あー、味覚おかしくなってるかも。おかゆの味なんも分かんねえ。

「あーん」
「……それ、毎回言うつもり?」
「うん。ほら、あーん」
「……」

 おかゆを食べ終えた俺の口を、凪がウェットティッシュで拭いてくれる。まるで介護されているみたいだ。
 ウェットティッシュで拭いたあとに、凪が俺の唇に指を添えた。くにくにといじっている。

「……」

 何を物欲しそうな顔でこっちを見ているんだ、こいつは。なんでそんな切ない顔をしているんだ。

「……うー……」
「なんだよさっきから……」
「キスしたいよぉ……」
「ダメ。移るから」

 俺はそう言って凪に背を向けた。

「……ありがとな。助かったよ」
「うん」
「だからもう帰って。まじで移したくないから」
「……」
「おーい。聞こえてる?」
「……キスさせてくれるら、帰る」
「はあ?」
「キスさせてくれないなら、朝まで看病する」
「お前なあ……」

 なんてワガママなヤツなんだ。

「理玖はどっちがいい?」

 どっちも嫌だわ。

「俺はどっちでもいいよ」
「……はあ」

 俺は寝返りを打ち、手招きをした。一晩中ここにいさせるくらいなら、一回キスさせた方がマシだ。
 凪の顔がぱっと明るくなり、俺の唇にそっとキスをした。

「……んっ、おい……舌は入れんな……」
「これしてくれないと帰らない」
「クソが……」

 長い長いキスのあと、やっと凪が帰ってくれた。
 全く。こんなんじゃ逆効果だよ、バカ。
 一人でいるのが余計心細くなっちまったじゃんか。

 ◇◇◇

「……え?」

 翌朝、俺は目を疑った。
 帰ったはずの凪がまだここにいる。俺の手を握って、座った体勢のまま床で眠っていた。

「おい、凪」
「ん……?」
「お前、なんでここにいんの?」
「え……?」
「帰ったんじゃなかったの?」
「あはは……えーっと……。怒らない……?」

 昨晩、凪は帰る間際に、俺んちの鍵をくすねたらしい。それでいったん帰ったふりをして、一時間後にこっそり家に戻って来たそうだ。

「……お前はアホなの?」
「あはは……」
「そんなとこで寝て、お前こそ風邪引くじゃん」
「だって……」

 凪は唇を尖らせ、ふてくされた顔で言った。

「理玖が帰ってほしくなさそうな顔してたから」
「なっ……」
「口では帰れーって言ってんのに、顔には帰らないで―って書いてあったじゃん」
「そ、そんなわけっ……」
「だから一回帰ったふりして、戻ってきたんだ。それでどっちの理玖のお願いも聞けただろ?」
「……」

 なんだこいつ。
 俺をどろどろに甘やしてどうするつもりなんだ。
 この瞬間、なにかを踏み外してしまいそうになってヒヤッとした。
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