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第三章
第二十六話 あんたのために、俺が耐える
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完全に流された。言いくるめられた。
ことが進むにつれ、流されてしまった後悔と、俺を言いくるめた伊吹さんへの不満が膨れ上がる。
だってさ。冷静に考えて、はじめてのセックスがケツってことのほうがトラウマになる可能性ない? それなら男相手でもちんこを使ったほうがまだマシの可能性もあるかもしれんだろう。
『本当に好きな子ができたときに後悔しないようにしましょ』
何度思い返しても、納得がいかない。
俺は伊吹さんの言葉が好きだ。優しくて、俺のことを想ってくれているのが伝わるから。
でも、あれだけは違うと思った。あれは、俺を想っていると見せかけた、自分のための言葉だった。
そう思えてならなくて、苛立ちとちょっとした失望がもやもやと胸を疼かせる。
それならいっそ、自分本位の言葉で言ってほしかった。「あたしがタチをやりたいからあんたはネコになれ」とか、そういうまっすぐな言葉で言ってくれたほうが、納得できたと思う。
本音を隠された優しい言葉ほど、気持ちの悪いものはない。
でも、だからって今さらこれを止める気にはなれなかった。
だって、伊吹さんとしたいんだもん。どんな形であれ、最後まで。
四つん這いにされて、指でケツをほじくられても、その気持ちが消えないんだから笑えてくる。
人間って、興味本位の性欲だけでここまでできるわけ?
「ん……ぐっ……んぐぅぅ……」
「痛い?」
「痛いっていうより……気持ち悪い……」
「そうよねえ。今日はずっと痛いか気持ち悪いだけだと思うわよ」
「……」
「それでも続ける?」
何度も同じことを聞いてくるな。俺より伊吹さんのほうがずっと不安がっている。どこかで俺に「やっぱりやめます」って言ってほしそうにしているんだ。それも……はじめからずっと、気に食わなかった。
「……はい」
「……分かったわ」
こっちはケツをほじくらせたんだ。気持ちよくもなんともない行為を、受け入れているんだ。
それは相手が伊吹さんだからだ。ほんとに分かってんのかこの人。
意地でも最後までしてもらうからな。伊吹さんが途中でやめたがっても、俺は許さん。
「……挿れるわね」
尻に硬いものが当たった。まだ伊吹さんが興奮してくれていたことに、ちょっとホッとする。
「んぎぃ!?」
い……痛ぇぇぇっ……!!
なんで!? 毎日立派なうんこ出してんのに!! 同じようなサイズじゃねえの!?
「むっちゃん、力抜いて……」
「ぜぇー……っ、ぜぇー……っ、今どのくらい入ってます……?」
「先っぽの、一、二センチくらい」
「嘘でしょ……っ!?」
「残念ながら、これが真実よ。やっぱり――」
「続けてくださいっ……!」
俺が意固地になっていることを、伊吹さんも分かっているようだった。
伊吹さんはそれ以上反論することなく、奇声を発する俺のケツにちんこを押し込む。それでよく萎えないなと、脳みその隅っこで他人事みたいに思った。
「ぜはっ……ふぐぁ……っ、っ、う……うぉぉぉ……っ」
「ぷふっ、ふふ……もうやめてよほんと……面白すぎるじゃない。ねえ、大丈夫なの?」
「大丈夫ですから……っ! どうぞお構いなく……!!」
男には、耐えねばならんときがある。
伊吹さんがこれで気持ち良くなってくれるなら。伊吹さんが他の人のところに行かないなら。
これしきの痛み、屁でもないわ。
「んっ……、入った……」
「は、入りました……!? やった……!」
「ええ、先っぽが全部入ったわ」
「……」
一瞬絶望した。
「でも、大丈夫。一番キツいところは入ったら、あとは奥に押し込むだけよ。……それもしんどいだろうけど、さっきよりはまだマシだと思う」
「は、はい……」
何がマシだ。みちみちと腸を広げられる感覚。痛いくてものすごく変な感覚。
でも、さっきまでの裂けるような痛みと違い、こっちは鈍い不快感でまだ耐えやすくはあった。……つまり、結局そっちのほうがマシだった。
「むっちゃん。全部入った……」
「やっと……」
終わった、と言いかけたのだが。
「動かすわよ」
伊吹さんの腰が揺れ始めた。せっかく奥まで突っ込んだそれを、ゆっくりではあるが引いたり押したりする。
「ふぐっ……ふぐっ……!?」
やり切った感で胸がいっぱいだったのに。そうか。ここからが始まりなのか。
「むっちゃん、大丈夫?」
「大丈夫……っ」
大丈夫なわけねえだろ。ケツにちんこ突っ込まれてユサユサされているんだぞ。ケツはそんなことをするためのものじゃねえのに!!
「んっ……」
「!」
今、俺の奇声の合間になんか聞こえた。伊吹さんの声だ。それも、聞いたことのない、ちょっと色っぽい声。
俺はできるだけ奇声を発しないようにした。すると――
「ん、……あっ。……っ」
より鮮明に伊吹さんの声が聞こえた。
伊吹さん、もしかして……
「気持ちいいですか……?」
背後で伊吹さんが我に返った気配がした。
それから、ほんのり嬉しそうに返事をする。
「ええ、とっても」
不思議だなあ。こんなに痛くて、気持ち悪くて、屈辱的なことをされているのに。
伊吹さんの一言で、俺までちょっと、気持ちよくなった。
「ごめんね。あたしだけ気持ちよくて……」
俺は首を横に振る。
「俺のことはいいんで……もっと、気持ち良くなってください……」
できたらこれが終わったあとに、もう一回キスしてくれたら嬉しいな。
ことが進むにつれ、流されてしまった後悔と、俺を言いくるめた伊吹さんへの不満が膨れ上がる。
だってさ。冷静に考えて、はじめてのセックスがケツってことのほうがトラウマになる可能性ない? それなら男相手でもちんこを使ったほうがまだマシの可能性もあるかもしれんだろう。
『本当に好きな子ができたときに後悔しないようにしましょ』
何度思い返しても、納得がいかない。
俺は伊吹さんの言葉が好きだ。優しくて、俺のことを想ってくれているのが伝わるから。
でも、あれだけは違うと思った。あれは、俺を想っていると見せかけた、自分のための言葉だった。
そう思えてならなくて、苛立ちとちょっとした失望がもやもやと胸を疼かせる。
それならいっそ、自分本位の言葉で言ってほしかった。「あたしがタチをやりたいからあんたはネコになれ」とか、そういうまっすぐな言葉で言ってくれたほうが、納得できたと思う。
本音を隠された優しい言葉ほど、気持ちの悪いものはない。
でも、だからって今さらこれを止める気にはなれなかった。
だって、伊吹さんとしたいんだもん。どんな形であれ、最後まで。
四つん這いにされて、指でケツをほじくられても、その気持ちが消えないんだから笑えてくる。
人間って、興味本位の性欲だけでここまでできるわけ?
「ん……ぐっ……んぐぅぅ……」
「痛い?」
「痛いっていうより……気持ち悪い……」
「そうよねえ。今日はずっと痛いか気持ち悪いだけだと思うわよ」
「……」
「それでも続ける?」
何度も同じことを聞いてくるな。俺より伊吹さんのほうがずっと不安がっている。どこかで俺に「やっぱりやめます」って言ってほしそうにしているんだ。それも……はじめからずっと、気に食わなかった。
「……はい」
「……分かったわ」
こっちはケツをほじくらせたんだ。気持ちよくもなんともない行為を、受け入れているんだ。
それは相手が伊吹さんだからだ。ほんとに分かってんのかこの人。
意地でも最後までしてもらうからな。伊吹さんが途中でやめたがっても、俺は許さん。
「……挿れるわね」
尻に硬いものが当たった。まだ伊吹さんが興奮してくれていたことに、ちょっとホッとする。
「んぎぃ!?」
い……痛ぇぇぇっ……!!
なんで!? 毎日立派なうんこ出してんのに!! 同じようなサイズじゃねえの!?
「むっちゃん、力抜いて……」
「ぜぇー……っ、ぜぇー……っ、今どのくらい入ってます……?」
「先っぽの、一、二センチくらい」
「嘘でしょ……っ!?」
「残念ながら、これが真実よ。やっぱり――」
「続けてくださいっ……!」
俺が意固地になっていることを、伊吹さんも分かっているようだった。
伊吹さんはそれ以上反論することなく、奇声を発する俺のケツにちんこを押し込む。それでよく萎えないなと、脳みその隅っこで他人事みたいに思った。
「ぜはっ……ふぐぁ……っ、っ、う……うぉぉぉ……っ」
「ぷふっ、ふふ……もうやめてよほんと……面白すぎるじゃない。ねえ、大丈夫なの?」
「大丈夫ですから……っ! どうぞお構いなく……!!」
男には、耐えねばならんときがある。
伊吹さんがこれで気持ち良くなってくれるなら。伊吹さんが他の人のところに行かないなら。
これしきの痛み、屁でもないわ。
「んっ……、入った……」
「は、入りました……!? やった……!」
「ええ、先っぽが全部入ったわ」
「……」
一瞬絶望した。
「でも、大丈夫。一番キツいところは入ったら、あとは奥に押し込むだけよ。……それもしんどいだろうけど、さっきよりはまだマシだと思う」
「は、はい……」
何がマシだ。みちみちと腸を広げられる感覚。痛いくてものすごく変な感覚。
でも、さっきまでの裂けるような痛みと違い、こっちは鈍い不快感でまだ耐えやすくはあった。……つまり、結局そっちのほうがマシだった。
「むっちゃん。全部入った……」
「やっと……」
終わった、と言いかけたのだが。
「動かすわよ」
伊吹さんの腰が揺れ始めた。せっかく奥まで突っ込んだそれを、ゆっくりではあるが引いたり押したりする。
「ふぐっ……ふぐっ……!?」
やり切った感で胸がいっぱいだったのに。そうか。ここからが始まりなのか。
「むっちゃん、大丈夫?」
「大丈夫……っ」
大丈夫なわけねえだろ。ケツにちんこ突っ込まれてユサユサされているんだぞ。ケツはそんなことをするためのものじゃねえのに!!
「んっ……」
「!」
今、俺の奇声の合間になんか聞こえた。伊吹さんの声だ。それも、聞いたことのない、ちょっと色っぽい声。
俺はできるだけ奇声を発しないようにした。すると――
「ん、……あっ。……っ」
より鮮明に伊吹さんの声が聞こえた。
伊吹さん、もしかして……
「気持ちいいですか……?」
背後で伊吹さんが我に返った気配がした。
それから、ほんのり嬉しそうに返事をする。
「ええ、とっても」
不思議だなあ。こんなに痛くて、気持ち悪くて、屈辱的なことをされているのに。
伊吹さんの一言で、俺までちょっと、気持ちよくなった。
「ごめんね。あたしだけ気持ちよくて……」
俺は首を横に振る。
「俺のことはいいんで……もっと、気持ち良くなってください……」
できたらこれが終わったあとに、もう一回キスしてくれたら嬉しいな。
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