一番のクズは…

蛭魔だるま

文字の大きさ
5 / 36

私5

しおりを挟む
私は夕飯の買い出しを終えて家に帰ろうとしていた。 

それなりの重さの買い物バッグを肩にかけ歩いていると、私は横から衝撃を受けた。

私は地面に倒れてから見知らぬ女に突き飛ばされたのだと気づいた。 

「ねぇ、あんたなんなの」

「どなたですか?」 

「これは何」

 この前の従兄との買い物写真を突き付けられた。 

ああ、彼の女か。

学生時代勘違いされて因縁つけられてたことを呑気に思い出していた。 

「あんたさぁ、夫いるんでしょ。浮気?この写真どうなってもいいの?てかこいつはクズだからやめた方がいいわよ」 

でも、あなたはそんなクズが好きなくせに。 

「その人がクズなことはよく知ってますよ。夫に見せても問題ありません。その人、従兄ですから」 

「嘘よ。従兄と下着買いに行くってなに」

 面倒なところを見られた。それかつけられていたのか。 

「この人はそういう恥ずかしさとかないでしょ。男が好きそうな下着くらい持っとけって連れてかれただけです」 

「何よそれ」 

女はヒステリックに叫ぶ。私は立ち上がって服についた砂を払った。 

「あなたは従兄の彼女さんですか?それとも、元カノ?」 

「この前急に振られた」 

女は小さく低い声で答えた。 

「まだ好きなんですよね。逃げられないんですよね。だけど、他の人探した方がいいですよ。絶対あの人とじゃ幸せになれませんから」 

「あんたにはわからないでしょ。ただの従妹なんだから」 

ただの、か。 

「でも、あなたみたいな人、何人も見てきましたから」 

私は頬を叩かれた。 

「彼が本気で人を好きになることなんてないんですよ。彼は常識も愛情も持ち合わせてないんだから」 

「…うるさい」 

「彼と出会って彼を好きになった自分を呪うしかないんですよ。悪い夢だと思って忘れないと」 

しばらくして女は突然笑いだした。 

「…ああ、あんたも好きだったんだ。偉そうに説教たれてるけど、仲間じゃん。妥協して今の旦那さんと結婚したんだ、可愛そう。あんたもあんたの旦那も」 

あなたも旦那を作れば愛してもらえるかもねって思ったけど言うのはやめた。私の夫みたいに被害者を増やすだけになりそうで。 

「そうかもしれないですね」 

「うざっ」 

女は私を突き飛ばして去っていった。

 彼はどうして私なんだろう。既婚者の女なんてそこら中にいるのに…。

 私に隙があるからなんだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

隣の夫婦 ~離婚する、離婚しない、身近な夫婦の話

紫さゆり
恋愛
オムニバス形式です。 理解し合って結婚したはずの梓、同級生との再会が思わぬことになる雅美、年下の夫のかつての妻に引け目を感じる千晴、昔の恋の後悔から前向きになれない志織。 大人の女性のストーリーです。

旦那様の愛が重い

おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。 毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。 他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。 甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。 本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

ガネット・フォルンは愛されたい

アズやっこ
恋愛
私はガネット・フォルンと申します。 子供も産めない役立たずの私は愛しておりました元旦那様の嫁を他の方へお譲りし、友との約束の為、辺境へ侍女としてやって参りました。 元旦那様と離縁し、傷物になった私が一人で生きていく為には侍女になるしかありませんでした。 それでも時々思うのです。私も愛されたかったと。私だけを愛してくれる男性が現れる事を夢に見るのです。 私も誰かに一途に愛されたかった。 ❈ 旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。の作品のガネットの話です。 ❈ ガネットにも幸せを…と、作者の自己満足作品です。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

処理中です...