17 / 27
これからのこと
しおりを挟む「そっか、じゃぁこの1年間はほとんど遊びもしないで仕事ばっかりだったんだ」
すごいなぁ。私ならすぐ息が詰まりそう。
『全部じゃないけどな。それに、俺は元々そんなに遊びたいタイプじゃないから』
見た目はチャラそうなのにねw
『なんか言ったか?』
「んん、なにも。」
鋭いw
そうなんだよね。詩乃って意外と真面目っていうか、研究熱心ていうか…
いくらやっても終わらないようなことを平気でやり続けられるタイプっていうか…
なんだろう?研究者タイプっていうのかな?
それを、大学での勉強や仕事として依頼されたもの以外でも1人でやれちゃうんだよな。
これってすごいことだと思う。
少なくとも、私にはあんまり向いてなさそう。
もちろん、サークルでの活動は自分で言い出したことだけど、私の場合は1人でやりきるのは無理だと思う。
だから、サークル活動だって皆支えられてやっとできていると思っているし、私にはそうのやり方の方が合ってるんだと思う。
スタンドプレーかチームプレーかみたいな。
『どうかしたのか?』
詩乃が、急に黙り込んだ私を心配そうにみていた。
「んん、詩乃は、スタンドプレイタイプなんだなと思って。」
『あぁ、対して、さぎりはチームプレイタイプだな』
!!
「すごい!よくわかったね!全く同じこと考えてたの!」
『そうか!以心伝心だな!』
ん?なんだか詩乃の笑顔がちょっと疲れてるみたい。
「詩乃、大丈夫?少し休む?」
『ん?あぁ』
やっぱり、ちょっとボーっとしてるみたい。
『いや、せっかくきてもらってるのに…』
「そんなのいいの。すぐ帰っちゃうわけじゃないし、ずっと寝込むわけでもないでしょ?」
『まぁ、そうか。じゃぁ、30分くらいで起こしてくれるか?』
そう言って布団に入った詩乃は、すぐに寝息を立て始めた。
やっぱり疲れてるんだな。
とは言っても、引越しまでの日もそう遠くないので、私も出来る限りは手伝わなきゃ。
詩乃が眠っているので、起こさないようにキッチンの方に出た。
あまり使用頻度の高くなさそうな食器類を新聞紙に包んで箱に入れていく。
そのあとは、洗面所で私の衣類を整理しながら、カバンに詰めていく。
私が出来ることは、このくらいしかないので、続きは詩乃が起きてからやろう。
まだお昼過ぎなので、詩乃が起きてから作業しても十分に進められるし。
30分だけだし、後はリビングで座っていた。
詩乃を起こすと、ある程度すっきりしたみたいなので安心した。
『悪いな。でも、おかげさまでだいぶすっきりしたよ。』
「んん、スッキリできたならよかった。お昼食べよっか」
大きな欠伸と伸びをした詩乃が、こちらに向き直る。
『うん。そうしよう』
今日は、引越しの荷物を少しでも減らすためにあり合わせで作ったパスタ。
『おぉ、結構いけるな』
「よかった!私、料理は昔から好きだから」
冷蔵庫にあったキャベツとツナ缶をつかったペペロンチーノ。
「ん!ほんとだ!美味しいね!」
我ながらよく出来たなって感じ!
ちょっと才能あるかも??w
なんてねw
2人ともペロッと平らげて、午後は一緒に引越しの準備をした。
この部屋の準備はもちろん、引越し先で使う家具も見に行った。
これも詩乃のすごいところだと思うんだけど、新しい家具も、どんなものを買うかほとんど決まっていて、金銭的にも余裕があるみたいだった。
いくら他より割のいいバイトをしてるからと言って、誰にも頼らずにここまで決めて動けるって、ちょっと他の学生には難しいと思う。
それは、気持ち的にも、金銭的にも。
私は、こんなに自分1人でなんでも決められないし、動けるだけの金銭的余裕もないから。
自立してるなって思う。
詩乃は、部屋の寸法や収納したい資料の大きさから、条件に合う本棚をパッパと決めていく。
私はほんと、ついていくだけ。
『さぎり』
「ん?」
急に呼ばれてびっくりした。
『ここまでは仕事場の家具だからパッと決めたけど、ここからはリビングや洗面所に置く物だから、意見を聞かせてほしんだけど』
え?あぁ
「う、うん、もちろん」
なんか、気を遣わせちゃったかな?
『これについては、後で俺の考えをちゃんと話すけど、必要なものや欲しいものは遠慮なく言ってくれよ』
いや、急にそう言われても…ちょっと頭が追いつかなかった。
結局その場では仕事場の家具だけ決めて、配送の手続きまでしっかり済ませて帰ってきた。
夕飯は、やっぱりあり合わせの食材で作ったチャーハン。
いよいよ引越しが現実のものとして見えてきたなって感じだった。
食べながら、思ったことを言う
「詩乃は、すごいね」
ん?って、詩乃がちょっと首を傾げる
「まだ学生なのに、就職も決まってて、ていうか、既に働き始めてて、その上、自分の判断で済むところも家具も決められるし、躊躇わずに買えるし。ちょっと、他の学生と比べると、頭ひとつ抜けてるっていうか…」
詩乃は優しく微笑む
『ありがとう。でも、俺がここまでの人間になれたのは、周りにいる人たちのおかげだよ。』
そっか、それもそうかもね
『一人暮らしを許してくれた両親も、仕事をくれる先輩たちも、仕事漬けの俺でも誘ってくれる友達も。それに』
「それに?」
『誰よりも、さぎりがいてくれたからだ。』
え?
「いや、私はそんな、むしろ迷惑ばっかりかけちゃって…」
『そんなことはない。』
詩乃は、私が言い終える前に言った。
『俺は、この一年頑張れたのは、さぎりとこうしてまた一緒にいられる未来を信じていたからだ。あそこで別れていたり、無理に付き合っていても、こうはならなかった。だから、距離を置いてた期間も含めて、さぎりには感謝している。』
うるっとしてしまった。
詩乃があまりにまっすぐに私を見るから。
『さぎり。俺は君を愛している。愛せて、よかった』
ずるいよ!そんなの急に!!
『さっきの話だけどな』
ん?どの話だ?
『リビングや洗面の家具は、ほしいものがあったら言ってくれって言う、あれだよ』
あぁ、それか。
「う、うん」
なんだろ?なんかちょっと緊張する。
『これは、プロポーズとは別だから。先に言っておくけど』
はい?今なんて?
『卒業したら、一緒に住もう。結婚を前提に。』
…
……
………
…………
え?
あれ?
今…なんて?
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!
タタミ
恋愛
関東最大の極道組織・大蛇組組長の一人娘である大蛇姫子は、18歳の誕生日に父から「今年中に必ず結婚しろ」と命じられる。
姫子の抵抗虚しく、次から次へと夫候補の婚約者(仮)が現れては姫子と見合いをしていくことに。
しかし、姫子には子どもの頃からお目付け役として世話をしてくれている組員・望月大和に淡い恋心を抱き続けていて──?
全25人の婚約者から真実の愛を見つけることはできるのか!?今、抗争より熱い戦いの幕が上がる……!!
『紅茶の香りが消えた午後に』
柴田はつみ
恋愛
穏やかで控えめな公爵令嬢リディアの唯一の楽しみは、幼なじみの公爵アーヴィンと過ごす午後の茶会だった。
けれど、近隣に越してきた伯爵令嬢ミレーユが明るく距離を詰めてくるたび、二人の時間は少しずつ失われていく。
誤解と沈黙、そして抑えた想いの裏で、すれ違う恋の行方は——。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる