24 / 24
指輪2
しおりを挟む
「お待たせ致しました」
差し出されたデザイン画を見て驚いた。
渡されたのは3種類。どれも想像以上の物だった。
3種類とも素晴らしく良いが、その中の一つが一際目を引いた。
流線型のプラチナにイエローゴールドが並走する形に流れていて、イエローゴールドにはダイヤが埋め込まれていて、プラチナには星型のカットが入っている。
よく見ると、太陰太極図の様にも見える。
特に気に入ったのは、プラチナとイエローゴールドの比率だった。
絶妙なバランスと流線の角度でお互いがお互いを支え合っているように見える。
まさに、俺とさぎりが目指してきた関係だ。
「いかがでしょうか?」
しまった。すっかり見入ってしまった。
俺が黙り込んだままだったからだろうか?
担当の女性が心配そうな表情で俺の顔を覗き込んだ。
『すみません、どれもあまりにも良かったので、見入ってしまった。』
途端に笑顔になった。
やはり心配だったのだろうか?
「それはよかったです!」
嬉しそうに笑う人だ。
『中でも、このデザインが気に入りました。』
そう言って自分が気に入ったデザインを指差した。
「こちらですね。地金や石はデザインに合わせて選びましたが、変更も可能ですよ」
なるほど。それは面白い。
そこからはとても長い打ち合わせになった。
地金を変更した場合の色あいや、石による印象の違いをそれぞれ綿密にチェック、検討していったからだ。
担当の女性がデザイン画を白黒コピーして色を塗り替えて見せてくれたおかげで、イメージしやすかった。
全ての組み合わせを確認して、方向性が定まる頃には14時を回っていた。
『長くなってしまってすみません。それでは、よろしくお願い致します。』
「とんでもないことでございます。気に入ったデザインが見つかって良かったです。」
そう言って店員の女性は深々と頭を下げた。
歳もそう自分と変わらないのに、丁寧に仕事をする誠意あふれる人だ。
尊敬に値する。
その後は三軒茶屋で遅めの昼食を摂ってそのまま帰宅した。
今日は夕方からさぎりが帰ってくる。
会うのは2週間ぶりだ。
まだまだ始めたばかりの仕事だ。きっと忙しくしているだろう。
一緒にいる時間くらいはのんびり過ごして欲しいものだ。
17時過ぎに宇都宮駅に着いて、そのまま食材の買い物をする。
休日の夜は晩酌メニューが基本だ。
さぎりも俺も、そんなに飲む方ではないが、ゆっくり食事をしながら話をするのは好きだ。
まだ昼食を摂ったばかりだが、さぎりが来るのは19時頃らしいので、合わせて準備をすればちょうどいいだろう。
今日のメニューは、海藻サラダ、だし巻き卵、野菜やきのこ類と小エビの天ぷらだ。
「ただいまー」
おおよそ時間通りにさぎりが帰ってきた。
大学を卒業したあたりから、ただいまと言って帰ってくるようになった。
『おう、おかえり。』
「せっかくの休みなのに遅くなってごめんね!」
『いや、いいよ。お腹は?』
「ぺこぺこー!」
今日の昼間は友達と会っていたようだが、夕飯は家で食べると聞いていた。
そんな気遣いを嬉しく感じて、俺も料理に力が入った。
ちょうど天ぷらを揚げ始めたタイミングだったので、待たせずに出せそうだ。
出来上がった料理をテーブルに並べたら早速
『乾杯!』
「お疲れ様!」
ぐっと一口缶チューハイを飲んだら
「いただきます!」
早速食事摂り始めるさぎり。よっぽど腹ペコだったんだな。
一先ず落ち着くまでは話しかけずに、俺もちょっとずつ料理を食べながら様子を見ていた。
『仕事はどうだ?』
落ち着いた頃、静かな口調で話しかけた。
「うん!今はとにかく覚えることがいっぱいで大変だけど、同期の皆んなと頑張ってるよ!」
うんうん。
「将来的には自分の教室を持たせてもらえるように頑張りたいの!」
そう言って本当に楽しそうに話すさぎり。
同棲の話はまた今度にしよう。今は、お互いに頑張る時だ!
『いいね!実際どんなことやってるかもう少し聞かせてよ』
「うん!あのね…」
こういう時間はこれからも大事にしたいと思う。
なによりさぎりが楽しそうに話すのをもっと聞いていたい。
そんな気持ちになった。
差し出されたデザイン画を見て驚いた。
渡されたのは3種類。どれも想像以上の物だった。
3種類とも素晴らしく良いが、その中の一つが一際目を引いた。
流線型のプラチナにイエローゴールドが並走する形に流れていて、イエローゴールドにはダイヤが埋め込まれていて、プラチナには星型のカットが入っている。
よく見ると、太陰太極図の様にも見える。
特に気に入ったのは、プラチナとイエローゴールドの比率だった。
絶妙なバランスと流線の角度でお互いがお互いを支え合っているように見える。
まさに、俺とさぎりが目指してきた関係だ。
「いかがでしょうか?」
しまった。すっかり見入ってしまった。
俺が黙り込んだままだったからだろうか?
担当の女性が心配そうな表情で俺の顔を覗き込んだ。
『すみません、どれもあまりにも良かったので、見入ってしまった。』
途端に笑顔になった。
やはり心配だったのだろうか?
「それはよかったです!」
嬉しそうに笑う人だ。
『中でも、このデザインが気に入りました。』
そう言って自分が気に入ったデザインを指差した。
「こちらですね。地金や石はデザインに合わせて選びましたが、変更も可能ですよ」
なるほど。それは面白い。
そこからはとても長い打ち合わせになった。
地金を変更した場合の色あいや、石による印象の違いをそれぞれ綿密にチェック、検討していったからだ。
担当の女性がデザイン画を白黒コピーして色を塗り替えて見せてくれたおかげで、イメージしやすかった。
全ての組み合わせを確認して、方向性が定まる頃には14時を回っていた。
『長くなってしまってすみません。それでは、よろしくお願い致します。』
「とんでもないことでございます。気に入ったデザインが見つかって良かったです。」
そう言って店員の女性は深々と頭を下げた。
歳もそう自分と変わらないのに、丁寧に仕事をする誠意あふれる人だ。
尊敬に値する。
その後は三軒茶屋で遅めの昼食を摂ってそのまま帰宅した。
今日は夕方からさぎりが帰ってくる。
会うのは2週間ぶりだ。
まだまだ始めたばかりの仕事だ。きっと忙しくしているだろう。
一緒にいる時間くらいはのんびり過ごして欲しいものだ。
17時過ぎに宇都宮駅に着いて、そのまま食材の買い物をする。
休日の夜は晩酌メニューが基本だ。
さぎりも俺も、そんなに飲む方ではないが、ゆっくり食事をしながら話をするのは好きだ。
まだ昼食を摂ったばかりだが、さぎりが来るのは19時頃らしいので、合わせて準備をすればちょうどいいだろう。
今日のメニューは、海藻サラダ、だし巻き卵、野菜やきのこ類と小エビの天ぷらだ。
「ただいまー」
おおよそ時間通りにさぎりが帰ってきた。
大学を卒業したあたりから、ただいまと言って帰ってくるようになった。
『おう、おかえり。』
「せっかくの休みなのに遅くなってごめんね!」
『いや、いいよ。お腹は?』
「ぺこぺこー!」
今日の昼間は友達と会っていたようだが、夕飯は家で食べると聞いていた。
そんな気遣いを嬉しく感じて、俺も料理に力が入った。
ちょうど天ぷらを揚げ始めたタイミングだったので、待たせずに出せそうだ。
出来上がった料理をテーブルに並べたら早速
『乾杯!』
「お疲れ様!」
ぐっと一口缶チューハイを飲んだら
「いただきます!」
早速食事摂り始めるさぎり。よっぽど腹ペコだったんだな。
一先ず落ち着くまでは話しかけずに、俺もちょっとずつ料理を食べながら様子を見ていた。
『仕事はどうだ?』
落ち着いた頃、静かな口調で話しかけた。
「うん!今はとにかく覚えることがいっぱいで大変だけど、同期の皆んなと頑張ってるよ!」
うんうん。
「将来的には自分の教室を持たせてもらえるように頑張りたいの!」
そう言って本当に楽しそうに話すさぎり。
同棲の話はまた今度にしよう。今は、お互いに頑張る時だ!
『いいね!実際どんなことやってるかもう少し聞かせてよ』
「うん!あのね…」
こういう時間はこれからも大事にしたいと思う。
なによりさぎりが楽しそうに話すのをもっと聞いていたい。
そんな気持ちになった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!
タタミ
恋愛
関東最大の極道組織・大蛇組組長の一人娘である大蛇姫子は、18歳の誕生日に父から「今年中に必ず結婚しろ」と命じられる。
姫子の抵抗虚しく、次から次へと夫候補の婚約者(仮)が現れては姫子と見合いをしていくことに。
しかし、姫子には子どもの頃からお目付け役として世話をしてくれている組員・望月大和に淡い恋心を抱き続けていて──?
全25人の婚約者から真実の愛を見つけることはできるのか!?今、抗争より熱い戦いの幕が上がる……!!
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
四人の令嬢と公爵と
オゾン層
恋愛
「貴様らのような田舎娘は性根が腐っている」
ガルシア辺境伯の令嬢である4人の姉妹は、アミーレア国の王太子の婚約候補者として今の今まで王太子に尽くしていた。国王からも認められた有力な婚約候補者であったにも関わらず、無知なロズワート王太子にある日婚約解消を一方的に告げられ、挙げ句の果てに同じく婚約候補者であったクラシウス男爵の令嬢であるアレッサ嬢の企みによって冤罪をかけられ、隣国を治める『化物公爵』の婚約者として輿入という名目の国外追放を受けてしまう。
人間以外の種族で溢れた隣国ベルフェナールにいるとされる化物公爵ことラヴェルト公爵の兄弟はその恐ろしい容姿から他国からも黒い噂が絶えず、ガルシア姉妹は怯えながらも覚悟を決めてベルフェナール国へと足を踏み入れるが……
「おはよう。よく眠れたかな」
「お前すごく可愛いな!!」
「花がよく似合うね」
「どうか今日も共に過ごしてほしい」
彼らは見た目に反し、誠実で純愛な兄弟だった。
一方追放を告げられたアミーレア王国では、ガルシア辺境伯令嬢との婚約解消を聞きつけた国王がロズワート王太子に対して右ストレートをかましていた。
※初ジャンルの小説なので不自然な点が多いかもしれませんがご了承ください
借りてきたカレ
しじましろ
恋愛
都合の良い存在であるはずのレンタル彼氏に振り回されて……
あらすじ
システムエンジニアの萩野みさをは、仕事中毒でゾンビのような見た目になるほど働いている。
人の良さにつけ込まれ、面倒な仕事を押しつけられたり、必要のない物を買わされたり、損ばかりしているが、本人は好きでやっていることとあまり気にしていない。
人並みに結婚願望はあるものの、三十歳過ぎても男性経験はゼロ。
しかし、レンタル彼氏・キキとの出会いが、そんな色の無いみさをの日常を大きく変えていく。
基本的にはカラッと明るいラブコメですが、生き馬の目を抜くIT企業のお仕事ものでもあるので、癖のあるサブキャラや意外な展開もお楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる