君との恋の物語-Red Pierce-

日月香葉

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指輪2

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「お待たせ致しました」

差し出されたデザイン画を見て驚いた。

渡されたのは3種類。どれも想像以上の物だった。

3種類とも素晴らしく良いが、その中の一つが一際目を引いた。

流線型のプラチナにイエローゴールドが並走する形に流れていて、イエローゴールドにはダイヤが埋め込まれていて、プラチナには星型のカットが入っている。

よく見ると、太陰太極図の様にも見える。

特に気に入ったのは、プラチナとイエローゴールドの比率だった。

絶妙なバランスと流線の角度でお互いがお互いを支え合っているように見える。

まさに、俺とさぎりが目指してきた関係だ。

「いかがでしょうか?」

しまった。すっかり見入ってしまった。

俺が黙り込んだままだったからだろうか?

担当の女性が心配そうな表情で俺の顔を覗き込んだ。

『すみません、どれもあまりにも良かったので、見入ってしまった。』

途端に笑顔になった。

やはり心配だったのだろうか?

「それはよかったです!」

嬉しそうに笑う人だ。

『中でも、このデザインが気に入りました。』

そう言って自分が気に入ったデザインを指差した。

「こちらですね。地金や石はデザインに合わせて選びましたが、変更も可能ですよ」

なるほど。それは面白い。




そこからはとても長い打ち合わせになった。

地金を変更した場合の色あいや、石による印象の違いをそれぞれ綿密にチェック、検討していったからだ。

担当の女性がデザイン画を白黒コピーして色を塗り替えて見せてくれたおかげで、イメージしやすかった。

全ての組み合わせを確認して、方向性が定まる頃には14時を回っていた。

『長くなってしまってすみません。それでは、よろしくお願い致します。』

「とんでもないことでございます。気に入ったデザインが見つかって良かったです。」

そう言って店員の女性は深々と頭を下げた。

歳もそう自分と変わらないのに、丁寧に仕事をする誠意あふれる人だ。

尊敬に値する。


その後は三軒茶屋で遅めの昼食を摂ってそのまま帰宅した。

今日は夕方からさぎりが帰ってくる。

会うのは2週間ぶりだ。

まだまだ始めたばかりの仕事だ。きっと忙しくしているだろう。

一緒にいる時間くらいはのんびり過ごして欲しいものだ。

17時過ぎに宇都宮駅に着いて、そのまま食材の買い物をする。

休日の夜は晩酌メニューが基本だ。

さぎりも俺も、そんなに飲む方ではないが、ゆっくり食事をしながら話をするのは好きだ。

まだ昼食を摂ったばかりだが、さぎりが来るのは19時頃らしいので、合わせて準備をすればちょうどいいだろう。

今日のメニューは、海藻サラダ、だし巻き卵、野菜やきのこ類と小エビの天ぷらだ。




「ただいまー」

おおよそ時間通りにさぎりが帰ってきた。

大学を卒業したあたりから、ただいまと言って帰ってくるようになった。

『おう、おかえり。』

「せっかくの休みなのに遅くなってごめんね!」

『いや、いいよ。お腹は?』

「ぺこぺこー!」

今日の昼間は友達と会っていたようだが、夕飯は家で食べると聞いていた。

そんな気遣いを嬉しく感じて、俺も料理に力が入った。

ちょうど天ぷらを揚げ始めたタイミングだったので、待たせずに出せそうだ。




出来上がった料理をテーブルに並べたら早速

『乾杯!』

「お疲れ様!」

ぐっと一口缶チューハイを飲んだら

「いただきます!」

早速食事摂り始めるさぎり。よっぽど腹ペコだったんだな。

一先ず落ち着くまでは話しかけずに、俺もちょっとずつ料理を食べながら様子を見ていた。

『仕事はどうだ?』

落ち着いた頃、静かな口調で話しかけた。

「うん!今はとにかく覚えることがいっぱいで大変だけど、同期の皆んなと頑張ってるよ!」

うんうん。

「将来的には自分の教室を持たせてもらえるように頑張りたいの!」

そう言って本当に楽しそうに話すさぎり。

同棲の話はまた今度にしよう。今は、お互いに頑張る時だ!

『いいね!実際どんなことやってるかもう少し聞かせてよ』

「うん!あのね…」


こういう時間はこれからも大事にしたいと思う。

なによりさぎりが楽しそうに話すのをもっと聞いていたい。

そんな気持ちになった。
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