バンキシャ部!

マムシ

文字の大きさ
20 / 41

ミミ

しおりを挟む
「なんだそのヤバそうな同盟は……」

 雷伝が身震いをする。
 性犯罪のテロリスト集団ではないか……
 学ランを開け放ち、Rというマークが刻まれたキャップを深くかぶった男が、ポケットに手を突っ込んでずかずかと入ってきた。

「幼女を馬鹿にしないことだな、あんたらも昔は幼女だったんだぞ」

 そう言う問題ではない。論点がずれていることを堂々と言っている。

「というかなぜ室内で帽子をかぶっているのですか」

 一風が聞いた。それは一風も同じではないかと皆が思ったが、そこにツッコミを入れる人間は誰もいなかった。

「それは僕が説明しましょう」

 岩寺が出てくる。

「望月は僕を越えるスペシャリスト。エロに大切なのは目、だが目線が悟られてしまえば、エロを手に入れることだって困難を極める。そこで望月は帽子を深くかぶることによって目線を悟られず、幼女のパンチらを常日頃から狙っているのです」

 キラン、望月が帽子のつばを上げウインクした。だがその視線は胸と足にしか言っていない。

「ろくな理由じゃないな」

「そんなことはねぇよ。ハリウッドスターがなんでサングラスをかけているか知っているか。あれはブロードウェイを歩く女優の足とおっぱいをパパラッチに悟られずに見るためなのさ」

「絶対違うだろ。ハリウッドスターに謝れ!」

「そうとも言えません。あれは去年の夏休みです」

 岩寺が語り始めたのは二人の思い出話だった。
 この二人は去年の夏休みにサングラスをかけて海に行った。
 海に来たのに海水浴をするわけでもなく、ビーチバレーをするわけでもなく、はたまたま海の家で美味しいものを食べるわけでもなく、ずっと更衣室で父に連れて入って来る幼女を待っていたのだ。
 さらにこの二人、花見シーズンが始まれば、シートに座った時に見えるパンチらを拝むために花見スポットを転々と巡るし、行楽シーズンが始まればジェットコースターの下で首を痛めるまで上を見続ける。
 公園への視察は欠かせず、土日の午前中と平日に午後には必ずベンチに座っていた。幼稚園から母に連れられて訪れた幼女が遊ぶ時間、そして小学生帰りの児童が遊ぶ時間、公園別の時間帯を把握しており、その都度公園に張り込んでは神風を待っている始末。
 二人はエロ仲間であり、親友なのだ。

「ちなみに僕の眼鏡も伊達眼鏡ですよ」

「えぇぇぇ!!」

 これだけ一緒にいたのに気が付かなかった。

「視力は2.0もありますから」

「岩寺は無駄に眼鏡を光らせて、視線を悟られないようにしているだけだ」

 望月にそう言われてみれば、やたらとレンズが反射していたように思える。まさかこの眼鏡がハリウッドスターのサングラスの役割をしていたとは……
 眼鏡をクイッと上げ、レンズを光らせた。

「まぁ最低な人間であることは分かったよ」

 軽い紹介、いや内容としてはかなり重い紹介が終わり、いよいよ本題に移る。

「確か、あんたらミミの情報が欲しいんだろ」

「パソコン部の部長のことです」

「そんな名前だったでありますか」

「ミミっていうのはあだ名だよ。本人がそう呼ばせている。一つ忠告しておくと本人の前で絶対にフルネームを口にするなよ。殺されるからな」

「なぜでありますか」

「自分の名前を嫌っているからさ」

 望月はそう言うと、自身が持ってきたノートパソコンを見つめた。

「あいつはあまり部活に来ていない。部長なのにほぼ幽霊部員なんだよ。だが裏サイトの運営中枢があのパソコン部にあるの確だ。直接に話を聞きに行くのが手っ取り早いがなかなか会うのは難しいのも事実」

 望月は渋いかをしたがキーパットのエンターキーを押すとはにかんだ。

「だが今日は都合がいいことに……来ているな」

「本当か」

「直接会って話すにしても、向こうからすればこっちは敵だ。そうやすやすと話を聞いてくれるようには思えない。だが行ってみる価値はあるかもな」

「ちなみにミミのスリーサイズは……」

「ああそうれはどうでもいい」

 雷伝が言葉を遮った。

 一行はパソコン室のある新校舎に向かった。
 普通の授業で使われている教室のため、人の出入りが激しい。そのためミミと二人で話すのは難しそうだ。

「あんたらはここで待っていろ。俺が連れてくる」

 階段の踊り場で三人は待たされた。

「そんなことできるのでありますか」

「ああ、大丈夫だ」

 階段をかけが上がる望月。その姿を見送った岩寺が説明する。

「僕が望月を呼んだ理由はミミに詳しいということ以外にもう一つあります。僕たちは運営のいわば宿敵、話を取り合ってくれないでしょう。だがバンキシャ部ではない望月が間に入れば、話が通じるかもしれない」

「なるほどな……」

 雷伝は深く頷いた。
 待たされること五分、上の階から望月が降りてきた。

「交渉は失敗だ……」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...