死に別れた縁と私と異界の繋

海林檎

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 この世界の常識の一つに混浴が入っている事をムギから教えてもらった。

「人間って生きずらい生き物なんだね」

 裸の付き合いは大事だなんて言うムギとは逆に

「無理なもんは無理ぃ!!」

 現代日本の女子高生である結には混浴は難易度が高すぎた。

「おい、飯食ったか?」

 ガラリと結のいる部屋の襖を開けた繋が先程の出来事などなかったかのような素知らぬ顔で入ってきた。

 それとは真逆といった様に結は顔を逸らす。




「·······飯食ったなら準備しろ。その神社に行く」

 帰れる帰れないはさておき。
 何故結がこの世界にやってきたのかをその土地神に聞かなければならないと繋は言った後に部屋から出た。



(·····気まずっ)


 先程の事があるからかまともに顔を合わせる事が出来ない。
 風呂の件にしてもそうだが、それよりも前から。
 今朝からの繋との接触が激しい。

 いや、出会った当初から激しかった。


「長って気に入った子がいたらグイグイいくからねぇ」

 押しに弱い娘だとすぐにコロッといく。


「·····食べられちゃうの?」

「ん?うーん美味しく食べられちゃってるね」

「·····やっぱり食べられちゃうんだ」


「結??」

 彼女はまた何か勘違いをしている様子にムギが問う。

「天狗は人を食べないって言ってたけど」


 実は嘘で本当は自分を食べる気なんだろう。
 今は生かしているだけで後で保存食として食べる気なのだろう。
 しどろもどろで言う結にムギがキョトンとした後


「ブハッ」と、吹き出した。



「食べるわけないじゃん!人間なんかよりも美味しいものいっぱいあるのに」

 ケラケラ笑うムギが続けて「天狗は人は食べないよ」と、また言われた。


「でも、美味しそうって····」


「だから美味しそうの意味が違う。あのね·····」


 今度はクスクス笑いながらムギは結に内緒話をするように耳打ちをした。


 昨日も言った様に「美味そう」は性的な意味である事。決して冗談で言っているわけではなく·····

「長、結みたいな娘が好みなんだよ」


「··················」




「よし!意味が分かった所で外に行く準備をしようか!」

 赤面する暇を与えることなくムギは立ち上がり結の手を引いた。
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