死に別れた縁と私と異界の繋

海林檎

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 初めは水蒸気爆発か何かだと思っていた。

 この部屋にあるのは色んな薬物が放置されており、その中に水か炎の反応で爆発する物質の薬品があったからかもしれない。

 そう説明してくれたのは脇に姫雛を抱えた金髪のイケメン。


「············」


 目の前の光景がまず信じられなかった。

 爆発したものが全て戻っていく。


 まるで動画の逆再生を見ているようだ。


 炎も風も水も何もかも消えてまるで何も無かったかのような状態に言葉が出てこない。


「繋ちゃーん」

 ヤスデだけじゃ寂しいだろうと、金髪の外国人···鳳来が鞘に入った刀を投げた。

 それを片手で受け取り鞘から抜く。

「それ、切った奴腐らせるヤツだから取扱には気をつけろよー」

「あんた!何っつーもん渡すんスか!?」

 繋のツッコミ初めて聞いた。
 鳳来は姫雛を結の隣に座らせて自分も座り姫雛が逃げない様に監視しながら目の前の戦いを観戦する。

「·············」

 結の隣に座る姫雛は気まずそうにして顔を逸らす。



「時神がなんでこんな所にいんだ?!」
「余計な事をしやがって····っ!」
「神人とだなんて分が悪い····」

 人面のライオンの妖怪三匹が狼狽えどうにかして逃げられないかと考えるが

「繋ィ。お前、此奴らぶちのめすのに俺必要?」

「いいや、武器だけ貸してくれただけでもありがたいっスが····此奴らは俺らの獲物なんで手ぇ出さずに····」


 そこに居る結を護って欲しいと頼む。


「おぅ。後でお前と一緒に美味しくいただきます」


 どういう事でしょうか?


「遠い未来の電子機械のpi〇ivってサイトで【番イジメ】で検索したら出てくるぜ」

「····アンタやっぱり何言ってんのか分かんねぇ」


 現代人である結は鳳来の言っている意味が何となく理解した。

 この鳳来と言う外国人に後で話を聞かなければならないと思った。

 逃げられないとわかった三匹の妖怪は口の中に炎を溜めて繋とムギに襲いかかる。

 追風を起こし妖怪の動きを少し鈍らせた繋は鳳来から借りた刀を構えて妖怪の二匹に一太刀を浴びせ、ムギは巨大な槌で残りの一匹をぶっ飛ばした。

 繋の持っている刀で即死が出来れば良かっただろう。




「「ぎゃああああああああああああ!!」」

「!?」





 斬られた創部が壊死して腐敗していく苦痛を味わわなければならない。

 結に対して行った非道な行為を考えれば妥当の罰だろうが

「アンタ本当に何を渡してくれたんっスか!?」

 段々と生きたまま腐っていく目の前の二匹の妖怪の悲惨な最期を結に見せてしまったと繋は後悔····する前に己の目を疑った。




 「うわぁ~···久々に見たけどやっぱこの刀エグゥ」



 ムギの結界が張ってあるのにさも当たり前かのように中に入って結の両目を手で覆って見せないようにしていた。

「·······触ってんじゃねぇぞテメェエエエ!!」


 繋の怒鳴り声が療養所に響き渡った。
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