夏やすみ 姉妹奇談

tomonoshin

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姉妹奇談 幼少期その1

姉妹奇談 幼少期

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  次の日、叔父さんの家に行くことになった。
家族みんなで車に乗り母方だったので、いま住んでいる父方の家の人たちは香典だけ渡してた行かなかった。
 車に乗りながらあまり会っていない叔母さんの事を考えていた。去年、乳ガンの手術をしたあと家族でお見舞いにいったことを思い出した。
 小さい頃から、感受性が強く、他人と馴染めないと言われてた事があったな。
人間には死ぬ間際になると本心が見えると言う。そのひとの本質が見えてくるのよ、と叔母さんは言っていた気がする。
ちいさくてあまり覚えていない。
死ぬことも生きることもその大切の欠片すらわかっていない。たった五歳の私になにがつたわったのだろう。叔母さんはどうして私に伝えたのだろう。
点滴の針が刺さったままの姿で病院の入口まで送ってくれた叔母さん。それが最後だった。
  今は白い布団に静かに横たわる。

そんな脱け殻にはなんの興味もなく、私は退屈だった、正直。
叔母さんの子供たちも集り、みんな勝手に言い合っていた。小さい私にはよくわからない話しに辟易していた。
家に帰ってきた日は一晩、蝋燭の日を消しては行けない。田舎だし通夜や告別式、葬式といろいろとめんどうなのだ。
蝋燭の日を消すと成仏できずこの世にとどまるのだど小さい頃から言われて育った。
そんなの六歳の私にはわからない。
実際、この世は迷った霊たちが溢れ帰っているのだ。見えないなんて、幸せそのもの。なにが不思議かわからないくらいだ。私たちはそのまま泊まりになり夜中の2時か3時か目が覚めた。いつものこどだ。自分のうちならギシギシと歩き始めてる頃なのだから。今日は違った。
黒いもやが居間を横切る。私達家族は居間に雑魚寝状態だ。誰もおきているものはいない。
蝋燭は?ノロノロと這いずり見に行った。

蝋燭は片方だけが燃えきって消えていた。
一緒につけたのに..。なんで片方なんだろう
そう思ったときすぐそばの叔母さんの遺体の上に叔母さんが座っていた。いや、叔母さんの上に叔母さん..。
シュール過ぎて笑いが込み上げる。必死に我慢する私。
叔母さんの表情はうちで見たときと明かに違っていたのだ。
眉間にしわがより、口は開いたままだ。
なにかいいたげなのはわかるが、聞き取れなかったのだ!恐る恐る近づいてみたが、聞き取れない。なにを怒っているのだろう。なにを言いたいのだろう。
その問題は次の日にはスグニわかることになるのだが。

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