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第三話
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帝都リラは白を基調とした外壁で創られた街だ。春はその暖かさに一斉に花が咲き誇り、夏はその太陽に葉が生い茂る。肌寒くなる秋の風は乾いて、冬はそれなりに寒いが数年に一度雪が降る程度。
今は夏の終わりを迎える秋の入り口だが、観光は春と夏がおすすめだ。
メイン通りに整えられた石畳の道は薄灰色と淡い暖色でブロックごとにアーチやタイル状にデザインされ、家々の階段やベランダには色とりどりの植物が枝を伸ばし、また、窓外のウィンドウボックスから蔓を垂らしている。
統制のとれた白い街並みを彩る花と濃淡の緑は市民の自由の象徴だったし、そうやって街の外観を整えることこそ市民の義務であるという同調圧力の体現でもあった。
自然の作る一面の白を知っているからこそ、俺はこの作り物の白を、あまり好きにはなれなかった。ただの好みの話だが、呼吸が凍るほどの温度がないのなら、暖かみのある赤褐色のレンガ造りの家が並ぶ街並みの方が遥かに好ましかった。ただ、それはそれとしてリラの一面の白い街並みが薄黄色の朝焼けや、橙色の夕焼けに染まる様子は好きだった。それだけを見に観光へと訪れる者も少なくないほど、人工物と自然が融解する瞬間の光景は美しい。
観光客相手にメインストリートにしつらえられた屋台でできあいのパンや野菜を買うさなか、丁度日が落ちる頃合いだったのか歓声が背後で上がる。その声を理由に振り返るも、本命は隣を盗み見ることだった。
屋台を前に大して食欲もそそられていないような、無関心な表情がオレンジ色の影に染まる。会話を続ける気のないハロルド様は「なんでもいいです」の一言で夕食の献立決定権を放棄してただ俺の横か後ろについて歩く大きなカモの子どもになってしまっていた。
秋の夕暮れ相まって、寂しいことこの上ない。バゲットや果物、野菜を詰めた大きい紙袋を両腕にふたつ抱えても、それが自分の胃に入るものだなんて知覚しているのかも疑わしい、いっそ清々しい関心のなさで、ハロルド様は夕陽に染まっていた。
「この時間って街が綺麗に見えますよね」
「変に赤暗いより早く街灯の灯る夜になってほしいです」
「観光客の気分が壊れちゃうんでこの話題はナシにしましょう」
ポツポツと噛み合わない会話をしながら、郊外付近にあるアパートにハロルド様を連れて帰宅する。
長期任務に出て帰って来たばかりの冷蔵庫は空で、戸棚には缶詰めばかりが詰まっている。埃がうっすら積もったテーブルに、水気も蒸発した枯れた花を支える花瓶たち。唯一目を引く窓の外を彩るウィンドウボックスの花は多年草で、俺が留守のときはお隣のジャクソン老夫婦が腕やホースを伸ばし水を与えてくれているからか、元気に白い小さな花を咲かせていた。
リビングにはキッチンカウンターの奥にダイニングテーブルと椅子が四脚。そのまた奥にある男三人では狭い程度の布張りのソファは朝日の入り込む東向の窓に向かせて花を愛でるためだけにレイアウトした。バス・トイレ別で、物置には掃除用具や生活用品の他に、やはりこれでもかと非常食の缶詰めをストックしてある。寝室は一人で寝るには広いダブルベッドと下着と支給された軍服程度しか入っていない備え付けのクローゼットがあるだけ。シンプルと言えるのなら聞こえは良いかもしれないが、言い訳しにくい「なにもなさ」があった。
男一人暮らしにしては小綺麗だ。それでも任務に出る前にあらかた片付けを済ませた我が家は物がなさすぎて、みすぼらしさばかりが目につく。
……なんとなく、恥ずかしい。
恥じらいの気まずさに表情を翳らせると、ハロルド様はハロルド様自身に皮肉を言うように鼻で笑い、紙袋をテーブルに置き中身を改め始める。
「私の借りている部屋はここと比べると汚部屋ですよ」
「そうなんですか? 片付けができないようには見えませんけど……」
「書類の山なんです。廃棄するには考えものな書類ばかり溜まって、雪崩を起こしている。触る気も起きないからそのまま捨て置いて、インクと古い用紙の匂いが充満した鼻を摘まみたくなる部屋です。今日明日にでも火事になるはずと踏んでいたんですが、ダルムシュタット大佐ならすでに人を寄越しているでしょうから、家主の居ぬ間にそれを見られている私に比べればマシだと思えるでしょう」
「俺、慰められてます?」
「まさか。自分を貶しているんです」
刺のある言葉は俺に向けられた刺なのか、それとも自傷するための刺なのか、判断がつきにくい。
夕食の準備をするから適当に寛いでと言ったはずなのに、ハロルド様はテーブルを拭き、埃がたたないよう優しく掃き掃除までしている。それを尻目にトマトの缶詰を鍋に開けて火にかけブイヨンを溶かす。鶏肉や玉ねぎ、ひよこ豆を適当に切り入れて煮込んで、その間にバゲットを切り分け籠に、十五分程度スープを煮込み完成。お皿によそう俺に代わってハロルド様はプレースマットをテーブルに敷き、スプーンを用意する。
まるで通じ合ってるかのように言葉なく無駄もなくテーブルに食事を用意できるのだから、訓練された軍人もそれほど悪くない。
「ハロルド様は食事前に祈る方ですか?」
「祈りません。貴方が祈るのならば合わせますが」
「俺も祈らないです。大佐は十秒ほどたっぷり祈るので、俺もハロルド様が祈るなら合わせようかと思って。じゃ、冷める前に食べちゃいましょう」
「では、いただきます」
食堂で見ていたから祈らないことは知っていた。ハロルド様は気付いていなかっただろうが、同じテーブルで食事をすることも初めてのことではなかったのに、食事の前にただ言葉を交わせるだけではにかんでしまう。いや、食事の前どころか、最中だって頬の筋肉がだらしなく緩んでしまっている。
可もなく不可もない甘酸っぱいトマトスープが食道を通り胸を暖める。
「ハロルド様は、犬とか飼わないんですか? これからは番犬が必要な生活ですけど」
「面倒みきれないので動物はいりません。植物すら煩わしいので。無理です」
「じゃあ俺にしておきましょう。俺、自分の面倒はわりかしみられますし」
「私を選ぶなんて馬鹿な犬、なおさらいりませんよ」
今度は明確に俺へ向けられた刺だった。苦笑しながらバゲットを一口サイズにちぎりスープに浸す。
馬鹿かあ。一呼吸ついて、言葉を受け止める。
俺はハロルド様が悪い人だってことを、ちゃんと理解しているつもりだ。犬と言っても獣人だ。人であることに変わりはない。御主人様の行動のぜひを、人として俯瞰する程度の知能は持っている。
しゅんと下がった眉を無理矢理微笑みに端上げさせて、カラ元気を装う。
「それは残念です。俺は、自分が半分犬科でよかったと思ってるんですよ。愛されていると疑わずに生きられるから」
「疑わないんですか?」
「はい。疑うことも裏切ることもないので、動物を愛でるようにでいいですので、追々に、愛していただければと思います」
会話はここで途切れた。表情をしかめてバゲットをちぎるハロルド様に、さすがに気色の悪いことを言ってしまったと自覚する。これ以上は墓穴ばかりになりそうなので、俺も食べる以外に口は開かなかった。
今日はもう話すのやめておこう。大佐にからかわれた通り、俺はどうにも口がうまくない。焦ると危ない。まだ始まったばかり。まだ、焦るには値しない。
……だとしても、表明しなければならないときは何度だって表明しなければ自分を守れない。
「あの、俺、言ったと思うんですが。お慕いしてるって」
身長に見合うでかさを確認して目を反らし、顔の赤さを自分の体温の上昇で察しながら、本日数度目の勇気で心を伝える。
風呂上がりだろうと脱衣場から出るなら真っ裸はいただけない。ぶら下がる男性器を、せめてタオルで隠してほしかった。
「着替えがないものですから。もと着ていた服はシャワーを浴びている間に洗濯機の中で水に浸かっていましたし」
「あー、すみません……、確かについ目に入って洗濯機に入れた記憶が……。着替えについては全くの浅慮でした。とりあえず明日、大佐同伴で洋服だけでも取りに行きましょう。なので、お願いですから、新しいタオルかシーツ羽織ってください。あと新品のパンツくらいストックあるんで履いてください!」
「男同士で何を恥じらうんだか。それと、何度も同じ冗談はいりません」
現場のノリには頭が痛くなる。舌打ちにずきりと胸に刺さった吐露に唇を噛む。
ハロルド様が呟いた言葉に血の気が引くと同時にびりびりと心が破かれていく。その勢いのまま俺が噛みつこうと口を開く前に、ハロルド様は重たく息を吐いた。
「だいたい、私は根回ししかできない無能ですよ」
「ず、いぶんと、自己肯定感低いですね……」
「事実です」
役員他佐官どころか将官クラスの弱味まで根こそぎ揃えた無能って矛盾が甚だしい。片想いを始めてだいぶ経つが、彼の重度のネガティブは今日初めて知った。
見上げれば黒目の視線の先は俺ではなく床のフローリングに拗ねたように落とされて、牙を出して吠えかかろうとしていた気持ちは失速し、ズキズキと痛む胸に手のひらを当てるくらいしかできなくなってしまった。これを狙ってやってないんだから、なんて狡い人だろう。
「……とにかく。身体冷やしますよ。朝までには洋服乾かしておくので、ベッドはハロルド様が使ってください。俺はソファで寝ます」
「私がソファでいいですよ」
「俺は獣化すれば枕や掛け布団がなくとも自前の毛皮があるのでソファでいいんです。それにハロルド様がソファに横になったら足首どころか膝が飛びだしちゃいますよ」
「そうですか。ならお言葉に甘えます」
「そうしてください」
回れ向こうをしてようやく黒髪に身体が隠れ、胸を撫で下ろす。心は痛いものの、やはりどこか甘く鼓動してしまっている自分がむなしい。
タオルで水分をあらかたとったと言えど、あまりにも長い彼の髪はしっとりと濡れ艶があり、つまり言葉を選ばないのなら、セクシーだった。
むなしい。悔しい。絶対夢に見る。むなしい。名残惜しげにその背を下半身は見ないよう眺めてしまう自分が本当に悔しい。
と、思いながら見つめていた身体がもう一度回れこっちをしたものだから、秒で顔を反らすはめになった。
ぶるんと揺れるのを視界の端に見てしまった。
こんなの、確実に夢に見る……。
「そうでした。獣化した姿見せてください。朝知らない狼を見て驚くのは癪です」
「もちろんです! なのではやくタオルかシーツを羽織ってくださいね! タオルは脱衣場でシーツは寝室! あとパンツ! パンツが一番大事!」
即答した建前だが、好きな人の手前で洋服を脱ぐことへの羞恥心はすごいものがある。
俺の真っ赤な顔色に一切会話の切り口として触れてこないまま、一番大事なはずのパンツを履かないままシーツを一枚羽織ったハロルド様は、俺が本当に男の裸体を直視できないシャイボーイだとでも思っているのだろうか。
「貴方、傷痕ばかりですね……」
「……戦後ですから、それなりに大怪我はしてきましたね。まだ内戦も続いていますし、しばらく生傷は絶えないかと思います。……その、あまり見られると恥ずかしいんですが」
「銃創も複数胸に……。よく生きていられましたね」
「じゅ、獣人だとちょっとだけ人より丈夫で完治が早いので。あの、じゃあ、狼になるんですけど、噛まないので触っても大丈夫です、ので……! その、なります!」
羞恥心の限界だった。真っ裸はいただけない。見るのも、なるのも。
瞼を閉じ前に倒れ込むように四つ足になり、神経を震わせながら細胞を変えていく。肉球がフローリングにぷにりと潰れ、ふぁさふぁさと尻尾を振って感覚を確認し、ようやく目を開ける。その場でお座りをして頭上遠くのハロルド様を見上げれば、眉間にしわを刻んだ重たい表情で俺を見下ろしているものだから、こっちの方が恐怖に身体が強張った。身長が違いすぎて、圧が凄いのだ。
けれど、自分の恐怖はすぐになりを潜めた。
動物は感情に敏感だ。そういう伝達物質が体内で作られているのかは知らないが、匂いですぐにわかる。悲しい人に温もりを与えるように、怖がっている人には、安心を与えたくなる。
「触ります」
念のために声をかけてくれたのだろうけど、それに返事をする人の声帯は持ち合わせていない。なので、恐る恐る毛皮に触れる手のひらに、押し付けるように身体を寄せ目を閉じる。
切られたり撃たれたりした場所は毛が生えなくなったので、俺の背中や横腹、手足には、一部分ハゲができている。雪山育ちの毛皮はもふもふで、その一部分を周辺の毛が隠してくれているものの、先ほど裸を見ていたからか、ハロルド様は毛を掻き分けてハゲた白い地肌に指を沿わせてきた。
狼に触ることに戸惑いが消えていくに従って、皮膚の弱いところが、残さず暴かれていく。気付けば伏せをしていたし、今にもごろんと腹を見せそうだ。あ、もう見せてた。
変な声が出そう。甘えたにクゥンと鼻が鳴ってしまう。ちょっと開いた口に指が入ってきて上顎が撫でられ、生理的なよだれが出てしまい、床に垂らす前に指ごとぺろぺろと舐めて誤魔化す。
後ろ足が身体を掻きたくてウズウズしている。それなのに腹の上に押さえ付けられるように股がられ、なにもすることができない。
さすがにお腹を重点的に触られるのは、あの、そこ、ちん、あ、雄犬にも乳首って何個かあるんですよ。爪で引っかいてるの、その、やめ、あっ。
あの。あの、あのぉ……!
「大体わかりました。ありがとうございます」
絶対夢に見る。自分が大勢の人の子どもにめちゃくちゃに撫で触られる、そんな夢を。
疲れた顔で人に戻り、下着を履いて寝間着を着直していると、ポツリとハロルド様は今さっきまでの一頭の狼の野生を省みることなく揉みくちゃにしていた行為を「怖かったです」と言い放った。どこがだ。最初だけだろ。ぺちぺちと俺の金たま叩いてたのは誰だ。後でちゃんと手を洗ってください。
「大きくて少々引きました」
「あなたの方がよっぽど大きいのに? 俺、狼のときに立ち上がっても今の身長しかないですよ。百七十の後半です。でなくても四つ足や座るともっと低い」
「それでも私の方が弱いでしょう。怖かったですよ。なので、何をしても噛まないのかを試してみました。口の中もデリケートな部分も触りました。申し訳ありません」
「いや、まあ……。俺が理性的な狼でよかったですね。牙を剥かなければ俺は見かけ倒しの良い狼、良い犬です」
「見かけ倒しは私の方ですよ」
図体だけであることは私が一番心得ています。むっとした声色なものだから、コンプレックスを垣間見て、疲れを癒す嬉しさが胸に溢れていく。
彼を知ることが、単純に嬉しい。
「ふ、ふふっ」
「……はぁ」
声を漏らし腹を抱えて笑うと、ばつの悪そうな表情を見せたものの、ため息ひとつでハロルド様はそんな俺を受け入れてくださった。
最初なんて、うまくいかないことの連続だ。少し良いことがあれば、それだけでいいじゃないか。
翌日、朝早くにダルム大佐の自宅に押し掛け大佐手作りの朝食をご馳走になったあと、必要最低限の日用品をハロルド様の自宅から持ち帰った。ハロルド様の自宅は本当に、いつ火事になっても仕方ないような、古本の匂いが充満した足の踏み場もない部屋だった。
……わりと好きな匂いだと思ったけど、これは飼い犬が御主人のベッドでごろんごろんしてしまうのと同じようなものだろう。
「こりゃああれだな。ライカが拾わなければ事故死に偽装させられてたな。死因は焼死で決定っつーか」
ダルム大佐の言葉に、ハロルド様はそうですねと他人事のように同意していた。これはいただけない。当事者意識が足りない。
「焼死はめちゃくちゃ痛かったって聞きますよ。ハロルド様、死に方はもうちょっとちゃんと選びましょう」
「誰から聞いたんですかそんなこと」
「戦時に火だるまになった同期が息を吹き返したことがありまして。酷いものでした……。同期のよしみで俺が介護してたんですけど、まずにおいがですね、溶け焦げた肉の苦味が鼻腔から」
「上官命令としてこの会話は打ち止めとする」
「同意します」
「えー」
一日、二日。ハロルド様と暮らす日が増えるにつれて、ひとつずつ彼を知っていく。
軍の食堂使用率で察してはいたけれど、ハロルド様は実は外食ばかりでジャガイモの皮もろくに剥けないとか、洗濯は専門業者にすべて任せていたから洗濯機の使い方なんて知らないとか、風呂上がりはしばらく全裸派とか。靴磨きのクリーム等がないことにねちっと小言を貰ったり、ソファが獣臭くなるから人のままで寝ろと諭してきたりする。
それでも俺たちは互いにいい大人なので、言い合いはするものの、衝突もなくじりじりと距離を詰めていく。
出勤も退社も同じ時間に、仕事の合間のコーヒータイムも時間が合うなら合わせて。
休日の買い出しでは背もたれが可動式のソファベッドと掛け布団一式を買ってもらったので、今まで使っていたソファと取り換えた。家賃などは全て俺が払っているから、こういう買い物は自分が出すそうだ。寝具をプレゼントって、なんとなく関係が怪しくなってきているようでどぎまぎする。そんな気なんて、まったくないと知っているんだけど。
平日は勤務に、休日はどこでもいいので外に出る。犬としてのじっとしていられない病みたいなものだ。つまり散歩だ。
俺が外に出ると必ずハロルド様もついて来るのだが、これは単なる保身だった。ひとりでいると暗殺される危険性があるので、俺もハロルド様をひとりにはさせる気はそもそもない。というか身元預かり人とは監視と護衛を兼ねているのでついてきてくれなければ困るのだ。もう何人かは捕まえている程度には、ハロルド様のお命は狙われている。
さて、それはそれとして、次はどこに行こう。明日はどこに。これは秘密だが、散歩じゃなくてデートみたいで休みがすごく楽しい。
部屋にいくつか置いてある花瓶には週一で新しい花を生けているのだが、ついにハロルド様が花に興味を持ってくれたので今週末は郊外の公開庭園に連れていく予定を組んでみた。文句は出なかった。スポット的にデート感が増して、前日はなかなか寝付けなかった。
今は夏の終わりを迎える秋の入り口だが、観光は春と夏がおすすめだ。
メイン通りに整えられた石畳の道は薄灰色と淡い暖色でブロックごとにアーチやタイル状にデザインされ、家々の階段やベランダには色とりどりの植物が枝を伸ばし、また、窓外のウィンドウボックスから蔓を垂らしている。
統制のとれた白い街並みを彩る花と濃淡の緑は市民の自由の象徴だったし、そうやって街の外観を整えることこそ市民の義務であるという同調圧力の体現でもあった。
自然の作る一面の白を知っているからこそ、俺はこの作り物の白を、あまり好きにはなれなかった。ただの好みの話だが、呼吸が凍るほどの温度がないのなら、暖かみのある赤褐色のレンガ造りの家が並ぶ街並みの方が遥かに好ましかった。ただ、それはそれとしてリラの一面の白い街並みが薄黄色の朝焼けや、橙色の夕焼けに染まる様子は好きだった。それだけを見に観光へと訪れる者も少なくないほど、人工物と自然が融解する瞬間の光景は美しい。
観光客相手にメインストリートにしつらえられた屋台でできあいのパンや野菜を買うさなか、丁度日が落ちる頃合いだったのか歓声が背後で上がる。その声を理由に振り返るも、本命は隣を盗み見ることだった。
屋台を前に大して食欲もそそられていないような、無関心な表情がオレンジ色の影に染まる。会話を続ける気のないハロルド様は「なんでもいいです」の一言で夕食の献立決定権を放棄してただ俺の横か後ろについて歩く大きなカモの子どもになってしまっていた。
秋の夕暮れ相まって、寂しいことこの上ない。バゲットや果物、野菜を詰めた大きい紙袋を両腕にふたつ抱えても、それが自分の胃に入るものだなんて知覚しているのかも疑わしい、いっそ清々しい関心のなさで、ハロルド様は夕陽に染まっていた。
「この時間って街が綺麗に見えますよね」
「変に赤暗いより早く街灯の灯る夜になってほしいです」
「観光客の気分が壊れちゃうんでこの話題はナシにしましょう」
ポツポツと噛み合わない会話をしながら、郊外付近にあるアパートにハロルド様を連れて帰宅する。
長期任務に出て帰って来たばかりの冷蔵庫は空で、戸棚には缶詰めばかりが詰まっている。埃がうっすら積もったテーブルに、水気も蒸発した枯れた花を支える花瓶たち。唯一目を引く窓の外を彩るウィンドウボックスの花は多年草で、俺が留守のときはお隣のジャクソン老夫婦が腕やホースを伸ばし水を与えてくれているからか、元気に白い小さな花を咲かせていた。
リビングにはキッチンカウンターの奥にダイニングテーブルと椅子が四脚。そのまた奥にある男三人では狭い程度の布張りのソファは朝日の入り込む東向の窓に向かせて花を愛でるためだけにレイアウトした。バス・トイレ別で、物置には掃除用具や生活用品の他に、やはりこれでもかと非常食の缶詰めをストックしてある。寝室は一人で寝るには広いダブルベッドと下着と支給された軍服程度しか入っていない備え付けのクローゼットがあるだけ。シンプルと言えるのなら聞こえは良いかもしれないが、言い訳しにくい「なにもなさ」があった。
男一人暮らしにしては小綺麗だ。それでも任務に出る前にあらかた片付けを済ませた我が家は物がなさすぎて、みすぼらしさばかりが目につく。
……なんとなく、恥ずかしい。
恥じらいの気まずさに表情を翳らせると、ハロルド様はハロルド様自身に皮肉を言うように鼻で笑い、紙袋をテーブルに置き中身を改め始める。
「私の借りている部屋はここと比べると汚部屋ですよ」
「そうなんですか? 片付けができないようには見えませんけど……」
「書類の山なんです。廃棄するには考えものな書類ばかり溜まって、雪崩を起こしている。触る気も起きないからそのまま捨て置いて、インクと古い用紙の匂いが充満した鼻を摘まみたくなる部屋です。今日明日にでも火事になるはずと踏んでいたんですが、ダルムシュタット大佐ならすでに人を寄越しているでしょうから、家主の居ぬ間にそれを見られている私に比べればマシだと思えるでしょう」
「俺、慰められてます?」
「まさか。自分を貶しているんです」
刺のある言葉は俺に向けられた刺なのか、それとも自傷するための刺なのか、判断がつきにくい。
夕食の準備をするから適当に寛いでと言ったはずなのに、ハロルド様はテーブルを拭き、埃がたたないよう優しく掃き掃除までしている。それを尻目にトマトの缶詰を鍋に開けて火にかけブイヨンを溶かす。鶏肉や玉ねぎ、ひよこ豆を適当に切り入れて煮込んで、その間にバゲットを切り分け籠に、十五分程度スープを煮込み完成。お皿によそう俺に代わってハロルド様はプレースマットをテーブルに敷き、スプーンを用意する。
まるで通じ合ってるかのように言葉なく無駄もなくテーブルに食事を用意できるのだから、訓練された軍人もそれほど悪くない。
「ハロルド様は食事前に祈る方ですか?」
「祈りません。貴方が祈るのならば合わせますが」
「俺も祈らないです。大佐は十秒ほどたっぷり祈るので、俺もハロルド様が祈るなら合わせようかと思って。じゃ、冷める前に食べちゃいましょう」
「では、いただきます」
食堂で見ていたから祈らないことは知っていた。ハロルド様は気付いていなかっただろうが、同じテーブルで食事をすることも初めてのことではなかったのに、食事の前にただ言葉を交わせるだけではにかんでしまう。いや、食事の前どころか、最中だって頬の筋肉がだらしなく緩んでしまっている。
可もなく不可もない甘酸っぱいトマトスープが食道を通り胸を暖める。
「ハロルド様は、犬とか飼わないんですか? これからは番犬が必要な生活ですけど」
「面倒みきれないので動物はいりません。植物すら煩わしいので。無理です」
「じゃあ俺にしておきましょう。俺、自分の面倒はわりかしみられますし」
「私を選ぶなんて馬鹿な犬、なおさらいりませんよ」
今度は明確に俺へ向けられた刺だった。苦笑しながらバゲットを一口サイズにちぎりスープに浸す。
馬鹿かあ。一呼吸ついて、言葉を受け止める。
俺はハロルド様が悪い人だってことを、ちゃんと理解しているつもりだ。犬と言っても獣人だ。人であることに変わりはない。御主人様の行動のぜひを、人として俯瞰する程度の知能は持っている。
しゅんと下がった眉を無理矢理微笑みに端上げさせて、カラ元気を装う。
「それは残念です。俺は、自分が半分犬科でよかったと思ってるんですよ。愛されていると疑わずに生きられるから」
「疑わないんですか?」
「はい。疑うことも裏切ることもないので、動物を愛でるようにでいいですので、追々に、愛していただければと思います」
会話はここで途切れた。表情をしかめてバゲットをちぎるハロルド様に、さすがに気色の悪いことを言ってしまったと自覚する。これ以上は墓穴ばかりになりそうなので、俺も食べる以外に口は開かなかった。
今日はもう話すのやめておこう。大佐にからかわれた通り、俺はどうにも口がうまくない。焦ると危ない。まだ始まったばかり。まだ、焦るには値しない。
……だとしても、表明しなければならないときは何度だって表明しなければ自分を守れない。
「あの、俺、言ったと思うんですが。お慕いしてるって」
身長に見合うでかさを確認して目を反らし、顔の赤さを自分の体温の上昇で察しながら、本日数度目の勇気で心を伝える。
風呂上がりだろうと脱衣場から出るなら真っ裸はいただけない。ぶら下がる男性器を、せめてタオルで隠してほしかった。
「着替えがないものですから。もと着ていた服はシャワーを浴びている間に洗濯機の中で水に浸かっていましたし」
「あー、すみません……、確かについ目に入って洗濯機に入れた記憶が……。着替えについては全くの浅慮でした。とりあえず明日、大佐同伴で洋服だけでも取りに行きましょう。なので、お願いですから、新しいタオルかシーツ羽織ってください。あと新品のパンツくらいストックあるんで履いてください!」
「男同士で何を恥じらうんだか。それと、何度も同じ冗談はいりません」
現場のノリには頭が痛くなる。舌打ちにずきりと胸に刺さった吐露に唇を噛む。
ハロルド様が呟いた言葉に血の気が引くと同時にびりびりと心が破かれていく。その勢いのまま俺が噛みつこうと口を開く前に、ハロルド様は重たく息を吐いた。
「だいたい、私は根回ししかできない無能ですよ」
「ず、いぶんと、自己肯定感低いですね……」
「事実です」
役員他佐官どころか将官クラスの弱味まで根こそぎ揃えた無能って矛盾が甚だしい。片想いを始めてだいぶ経つが、彼の重度のネガティブは今日初めて知った。
見上げれば黒目の視線の先は俺ではなく床のフローリングに拗ねたように落とされて、牙を出して吠えかかろうとしていた気持ちは失速し、ズキズキと痛む胸に手のひらを当てるくらいしかできなくなってしまった。これを狙ってやってないんだから、なんて狡い人だろう。
「……とにかく。身体冷やしますよ。朝までには洋服乾かしておくので、ベッドはハロルド様が使ってください。俺はソファで寝ます」
「私がソファでいいですよ」
「俺は獣化すれば枕や掛け布団がなくとも自前の毛皮があるのでソファでいいんです。それにハロルド様がソファに横になったら足首どころか膝が飛びだしちゃいますよ」
「そうですか。ならお言葉に甘えます」
「そうしてください」
回れ向こうをしてようやく黒髪に身体が隠れ、胸を撫で下ろす。心は痛いものの、やはりどこか甘く鼓動してしまっている自分がむなしい。
タオルで水分をあらかたとったと言えど、あまりにも長い彼の髪はしっとりと濡れ艶があり、つまり言葉を選ばないのなら、セクシーだった。
むなしい。悔しい。絶対夢に見る。むなしい。名残惜しげにその背を下半身は見ないよう眺めてしまう自分が本当に悔しい。
と、思いながら見つめていた身体がもう一度回れこっちをしたものだから、秒で顔を反らすはめになった。
ぶるんと揺れるのを視界の端に見てしまった。
こんなの、確実に夢に見る……。
「そうでした。獣化した姿見せてください。朝知らない狼を見て驚くのは癪です」
「もちろんです! なのではやくタオルかシーツを羽織ってくださいね! タオルは脱衣場でシーツは寝室! あとパンツ! パンツが一番大事!」
即答した建前だが、好きな人の手前で洋服を脱ぐことへの羞恥心はすごいものがある。
俺の真っ赤な顔色に一切会話の切り口として触れてこないまま、一番大事なはずのパンツを履かないままシーツを一枚羽織ったハロルド様は、俺が本当に男の裸体を直視できないシャイボーイだとでも思っているのだろうか。
「貴方、傷痕ばかりですね……」
「……戦後ですから、それなりに大怪我はしてきましたね。まだ内戦も続いていますし、しばらく生傷は絶えないかと思います。……その、あまり見られると恥ずかしいんですが」
「銃創も複数胸に……。よく生きていられましたね」
「じゅ、獣人だとちょっとだけ人より丈夫で完治が早いので。あの、じゃあ、狼になるんですけど、噛まないので触っても大丈夫です、ので……! その、なります!」
羞恥心の限界だった。真っ裸はいただけない。見るのも、なるのも。
瞼を閉じ前に倒れ込むように四つ足になり、神経を震わせながら細胞を変えていく。肉球がフローリングにぷにりと潰れ、ふぁさふぁさと尻尾を振って感覚を確認し、ようやく目を開ける。その場でお座りをして頭上遠くのハロルド様を見上げれば、眉間にしわを刻んだ重たい表情で俺を見下ろしているものだから、こっちの方が恐怖に身体が強張った。身長が違いすぎて、圧が凄いのだ。
けれど、自分の恐怖はすぐになりを潜めた。
動物は感情に敏感だ。そういう伝達物質が体内で作られているのかは知らないが、匂いですぐにわかる。悲しい人に温もりを与えるように、怖がっている人には、安心を与えたくなる。
「触ります」
念のために声をかけてくれたのだろうけど、それに返事をする人の声帯は持ち合わせていない。なので、恐る恐る毛皮に触れる手のひらに、押し付けるように身体を寄せ目を閉じる。
切られたり撃たれたりした場所は毛が生えなくなったので、俺の背中や横腹、手足には、一部分ハゲができている。雪山育ちの毛皮はもふもふで、その一部分を周辺の毛が隠してくれているものの、先ほど裸を見ていたからか、ハロルド様は毛を掻き分けてハゲた白い地肌に指を沿わせてきた。
狼に触ることに戸惑いが消えていくに従って、皮膚の弱いところが、残さず暴かれていく。気付けば伏せをしていたし、今にもごろんと腹を見せそうだ。あ、もう見せてた。
変な声が出そう。甘えたにクゥンと鼻が鳴ってしまう。ちょっと開いた口に指が入ってきて上顎が撫でられ、生理的なよだれが出てしまい、床に垂らす前に指ごとぺろぺろと舐めて誤魔化す。
後ろ足が身体を掻きたくてウズウズしている。それなのに腹の上に押さえ付けられるように股がられ、なにもすることができない。
さすがにお腹を重点的に触られるのは、あの、そこ、ちん、あ、雄犬にも乳首って何個かあるんですよ。爪で引っかいてるの、その、やめ、あっ。
あの。あの、あのぉ……!
「大体わかりました。ありがとうございます」
絶対夢に見る。自分が大勢の人の子どもにめちゃくちゃに撫で触られる、そんな夢を。
疲れた顔で人に戻り、下着を履いて寝間着を着直していると、ポツリとハロルド様は今さっきまでの一頭の狼の野生を省みることなく揉みくちゃにしていた行為を「怖かったです」と言い放った。どこがだ。最初だけだろ。ぺちぺちと俺の金たま叩いてたのは誰だ。後でちゃんと手を洗ってください。
「大きくて少々引きました」
「あなたの方がよっぽど大きいのに? 俺、狼のときに立ち上がっても今の身長しかないですよ。百七十の後半です。でなくても四つ足や座るともっと低い」
「それでも私の方が弱いでしょう。怖かったですよ。なので、何をしても噛まないのかを試してみました。口の中もデリケートな部分も触りました。申し訳ありません」
「いや、まあ……。俺が理性的な狼でよかったですね。牙を剥かなければ俺は見かけ倒しの良い狼、良い犬です」
「見かけ倒しは私の方ですよ」
図体だけであることは私が一番心得ています。むっとした声色なものだから、コンプレックスを垣間見て、疲れを癒す嬉しさが胸に溢れていく。
彼を知ることが、単純に嬉しい。
「ふ、ふふっ」
「……はぁ」
声を漏らし腹を抱えて笑うと、ばつの悪そうな表情を見せたものの、ため息ひとつでハロルド様はそんな俺を受け入れてくださった。
最初なんて、うまくいかないことの連続だ。少し良いことがあれば、それだけでいいじゃないか。
翌日、朝早くにダルム大佐の自宅に押し掛け大佐手作りの朝食をご馳走になったあと、必要最低限の日用品をハロルド様の自宅から持ち帰った。ハロルド様の自宅は本当に、いつ火事になっても仕方ないような、古本の匂いが充満した足の踏み場もない部屋だった。
……わりと好きな匂いだと思ったけど、これは飼い犬が御主人のベッドでごろんごろんしてしまうのと同じようなものだろう。
「こりゃああれだな。ライカが拾わなければ事故死に偽装させられてたな。死因は焼死で決定っつーか」
ダルム大佐の言葉に、ハロルド様はそうですねと他人事のように同意していた。これはいただけない。当事者意識が足りない。
「焼死はめちゃくちゃ痛かったって聞きますよ。ハロルド様、死に方はもうちょっとちゃんと選びましょう」
「誰から聞いたんですかそんなこと」
「戦時に火だるまになった同期が息を吹き返したことがありまして。酷いものでした……。同期のよしみで俺が介護してたんですけど、まずにおいがですね、溶け焦げた肉の苦味が鼻腔から」
「上官命令としてこの会話は打ち止めとする」
「同意します」
「えー」
一日、二日。ハロルド様と暮らす日が増えるにつれて、ひとつずつ彼を知っていく。
軍の食堂使用率で察してはいたけれど、ハロルド様は実は外食ばかりでジャガイモの皮もろくに剥けないとか、洗濯は専門業者にすべて任せていたから洗濯機の使い方なんて知らないとか、風呂上がりはしばらく全裸派とか。靴磨きのクリーム等がないことにねちっと小言を貰ったり、ソファが獣臭くなるから人のままで寝ろと諭してきたりする。
それでも俺たちは互いにいい大人なので、言い合いはするものの、衝突もなくじりじりと距離を詰めていく。
出勤も退社も同じ時間に、仕事の合間のコーヒータイムも時間が合うなら合わせて。
休日の買い出しでは背もたれが可動式のソファベッドと掛け布団一式を買ってもらったので、今まで使っていたソファと取り換えた。家賃などは全て俺が払っているから、こういう買い物は自分が出すそうだ。寝具をプレゼントって、なんとなく関係が怪しくなってきているようでどぎまぎする。そんな気なんて、まったくないと知っているんだけど。
平日は勤務に、休日はどこでもいいので外に出る。犬としてのじっとしていられない病みたいなものだ。つまり散歩だ。
俺が外に出ると必ずハロルド様もついて来るのだが、これは単なる保身だった。ひとりでいると暗殺される危険性があるので、俺もハロルド様をひとりにはさせる気はそもそもない。というか身元預かり人とは監視と護衛を兼ねているのでついてきてくれなければ困るのだ。もう何人かは捕まえている程度には、ハロルド様のお命は狙われている。
さて、それはそれとして、次はどこに行こう。明日はどこに。これは秘密だが、散歩じゃなくてデートみたいで休みがすごく楽しい。
部屋にいくつか置いてある花瓶には週一で新しい花を生けているのだが、ついにハロルド様が花に興味を持ってくれたので今週末は郊外の公開庭園に連れていく予定を組んでみた。文句は出なかった。スポット的にデート感が増して、前日はなかなか寝付けなかった。
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