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第二部
事情説明 (2)
やはり神獣だったみたいです。
想像通りでしたね。
「し、神獣様が三体も……。こ、これは夢、これは、ユメ……」
アリアは動揺しているみたいです。
別にそう珍しいものでもない……わけないですね。ハイ。
クィンサス王国では当たり前のようなものでしたから、私の感覚がずれているみたいです。
私の思考を読んだのか、アリアは首が取れそうなほど横に振っていました。
いつの間にそのような技術を。そんなことができるのはうちのメイドだけで充分ですからね。
「そんなことより、どうしてこんなところにいらっしゃるのでしょうか?」
『別に大した理由じゃないさ。白虎の奴が契約したって言うから見に来ただけさね。あとはこの子の社会勉強みたいなものだよ』
社会勉強……。
ということはこの子狼はまだ生まれたばかりということですね。
生まれたばかりの神獣は社会勉強と称していろいろな場所を旅します。
かく言うカイも一時期旅に出ていたことがありました。
たしか三年ほどだったでしょうか。帰ってきて私に言った最初の言葉はたしか……なんでしたっけ?
まあ覚えていないということはそう重要なことではないということです。
『社会勉強だと? そやつにはまだ早いのではないか?』
『だからこうしてあたしが付いているんじゃないか。じゃなきゃこんな森の中まで来やしないよ』
カイと大狼が何やら話しています。
おそらく神獣としての何かでしょうね。私にはわからない話です。
それにしてもこの子狼さんも成長したらあんなに大きくなるのでしょうか。
今の可愛い姿のままというわけにはいかないですかね。ダメ? 残念です。
それにしても本当に可愛いですね。
お友達の狼さんの子どもも可愛いですけど、この子はまた違った愛らしさがありますね。
撫でているといきなり走り出してアリアに突撃していきました。
その勢いに負けアリアは尻もちをついています。ぼーっとしているからですよ。
「きゃっ。いたた……。一体どうした――し、神獣様がこんな近くにっ!?」
近くって、あなたのお腹の上ですよ。
それ以前にさっきから近くにいたじゃないですか。
アリア、この森では順応性が大事なのですよ。あまり細かいことを気にしていてはダメです。後で教えてあげましょう。
『ほう。うちの子はお前さんが気に入ったみたいだねぇ。どうだい? 良ければそのこと契約してみるのは』
「わ、私がですか!?」
『良いのか?』
『構わないよ。あたしの後継はいるし、時々顔を見せに来てくれるのなら問題ないさね。それにその子との相性も良さそうだ。なぜかその子には光の性質があってね、「光の巫女」の使い魔としては完璧なんじゃないかい?』
おや。
アリアが「光の巫女」ということもわかっているみたいですね。
さすが神獣ということですか。
『それで? どうするんだい?』
「で、でもぉ……わ、私なんかじゃ……」
『女は度胸だよ! 早く決めな!!』
「は、はいっ! 承りましたっ!!」
勢いに押され受け入れてしまいましたね。
言っちゃった、みたいな顔をしています。
大丈夫ですよ。心配ありません。その子は良い子です。
『ちょっと心配だが、まあいいだろう。それじゃ、その子のこと頼んだよ』
そう言って大狼は颯爽と立ち去って行きました。
アリアは先ほどから、どうしよう、と呟いています。
かなり不安のようですね。
この際開き直るべきです。なるようになれ、ですよ。
「とりあえず、名前を付けてあげては? あなたが契約者となるのですから」
「ほ、本当に、私がですか……?」
「そうですよ。あなたが、です」
「ユミさん、チェンジは」
「しません。それに私はもうカイと契約していますし」
「ですよね……。わかりました。ユミさんの言う通りです。なるようになれ、ですね。…………それじゃあなたは――――ヴィル。安直で申し訳ないけど、どうかな……?」
不安そうに聞きますが、ヴィルと名付けられた子狼はとても大喜びです。
アリアの周りを跳ね回っています。
「よかったぁ……」
「それでは、いろいろありましたし帰りましょうか」
「はいっ!」
◇◇◇
「――ということです」
「……なるほど。
――――全然わかりません!!」
ダメでした。
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