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第二部

旅立ちの日

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 あれからどれくらいの月日が経ったでしょうか。
 半年? 一年? おそらくそれくらい。
 ついにこの日が来ました。
 彼女たちは今日、新しい場所へと旅立ちます。

「ユミさん、長い間お世話になりました」

「私は楽しかったですよ。アリアはどうでした?」

「もちろん。楽しかったです。ユミさんと出会えて本当に良かった」

「私もです。よいお友達ができました。また、いつでも遊びに来ていいですからね。ずっとお待ちしてます」

「はい。いつかまた」

 お互いに手を振り合ってお別れをします。
 彼女たちはこれからいろいろな国を旅するそうです。
 そしていつかだれかと一緒に家庭を築き、幸せに暮らすのでしょうか。
 そういう当たり前の幸せに憧れはありますが、私は私らしくここで。

『それじゃ、行くわよ~』

 ティアが彼女たちを転移で送ります。
 本当にもうお別れなのだと思うと、なんだか寂しさがこみ上げてきました。
 ダメです。ちゃんと笑顔でお別れしないと。

「――ユミさん。本当にありがとうございました。絶対……また、会いに来ますから。だから……だからっ、泣か……ないで……っ」

 アリアにそう言われて気づきました。
 私は我慢しているつもりでしたが、意識してしまうと止まらないです。
 心の奥底からこみ上げてくるように涙が溢れてきてしまいます。
 よく見るとアリアも同じでした。
 私たちは二人の様子をシュウさんとカナリアは微笑ましいものを見るかのように見守っていました。

「……ごめんなさい。こんなつもりではなかったのですが……やっぱり寂しくて。でも、もう大丈夫です。会いに来てくれるのでしょ? 待っていますから。約束ですからね」

「もちろん。約束です」

 二人で指切りをして、お互い笑顔でお別れです。

「「さよなら」」

 そうして彼女たちは森を出ました。
 いつか、旅のお話しを聞かせていただきましょう。
 楽しみですね。

「……行ってしまいましたね」

「……そうね。でも、いいのよ。いつか会いに来てくれるから。私たちはここで待っていましょう」

「そうですね。どんなお話を聞かせてくれるのか楽しみですね、お嬢様」

「……ええ。ミシェル、お茶にしましょう。何か甘いものが食べたいわ」

「そう言うと思って用意してあります。今、お茶淹れますね」

「ありがとう」

 騒がしかった日々は終わり、私たちはまた、三人の日常に戻った。
 一抹の寂しさを残して――。



 ◇◇◇




「――――ミシェル。ミーシェールー!」

「なんですか、お嬢様。そんなに呼ばなくても聞こえてますよ」

「見て見て! 手紙! アリアから!」

 アリアから手紙が届いた。
 アリアの側にいる精霊が届けてくれた。
 ここ十年、毎月欠かさず手紙を送って近況を報告してくれる。

「なんて書いてあるんですか?」

「えっとね……まぁ! カナリアに子供が生まれたって! 元気な女の子らしいわ。それで今度みんなで遊びに来るそうよ。またアリアのとこの双子ちゃんと遊べるわ!」

「それは嬉しいお知らせですね。お祝いをしなくてはですね」

「ええ、ええ。カナリアには何を送ったら喜んでくれるかしら。忙しくなるわね」

 アリアたちを歓迎するためにいろいろと準備をしなければいけないわ。
 お祝いも用意して、他にも……。
 それよりお返事を書かなきゃ!

 私たちも変わらず元気です。
 あなたたちに会えるのを楽しみにしています。ってね。




                            ~~第二部 完~~











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