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二章 水の都
新情報
しおりを挟むミーシアさんに送った手紙の返信を宿で読んでいた。
最近は魔法でちょちょいっと手紙が送れるので、すぐに返事が来る。
手紙ではミーシアさんが冒険者復帰を考えているとか。
いや、そんなことはないよね。なんでやめたのかは知らないけどそんな簡単にギルド職員を辞めるなんてまさか。
相変わらず私をからかうのが好きなんだから。まったくミーシアさんは。
「リリィー? そろそろ行くっすよー」
「はーい。今行くわー」
手紙をマジックバッグにしまい、私は部屋を出る。
カフェで私の二つ名を知ってから三日。未だめぼしい情報はない。
ギルドでも難航しているみたい。裏社会の人たちが集まっているが、何も動きがないらしい。そのせいか押し掛けることもできないそうで、ギルドの諜報部隊は静観しているとマキナさんが言っていた。
「やっぱ窮鼠会に乗り込むのが一番じゃないっすかね~」
「ダメに決まってるでしょ。なんでわざわざ相手の懐に突っ込んでいかなきゃいけないのよ」
「だって~。こうして歩き回っていても特に何も見つからないじゃないっすか。絶対乗り込んだ方が確実だし早いっすよ~」
「そうだけど。もう少し冷静に……」
んー? あれは……。
「どうしたんすか?」
「カーナ、あれって……」
カーナが私の指した方向に目を向ける。
私たちのいる場所から水路を挟んだ向かいに見覚えのある柄の悪い男たちを見つけた。
一緒にいるのは誰だろうか。穏やかな笑みを浮かべ謙っている様子。商人かな?
あ。狭い路地に入って行った。どこかに行くのだろう。
「ちょっと後を追うっすよ」
「あ、ちょ、カーナっ」
カーナが水路を飛び越え男たちと同じ路地に消えていった。
追いかけるのはいいけど、置いていくのは違うと思うんだけど!
「ロゼちゃん起きて! ブラウ、カーナを追って!」
「へ? にゃによ、そんにゃに慌てて……」
ブラウの上で寝ていたロゼちゃんをたたき起こし、ブラウに跨る。
寝起きで状況が理解できずぼーっとしているロゼちゃんはひとまず放置し、とにかくカーナを追う。
ルナが振り落とされないように私の肩に乗り移った。
「ブラウ、ゴー!」
「わん!」
ブラウが一息に水路を飛び越え同じように路地に入っていく。
この街の路地裏は入り組んでいて迷いやすいと聞いていた。確かにこうしてみると道が複雑で一人なら確実に迷う自信がある。
しかし、幸いにもブラウがいるので匂いで対象の位置が把握できているから迷うことはない。
一体こんなところに何があるというのか。
あ、カーナ見つけた。ていうかあそこって屋根の上じゃない。どうしてそんなところにいるのよ。ブラウじゃ乗れないでしょ。
仕方ないのでブラウには下で待っていてもらう。なでなで。
ロゼちゃんの能力でカーナの横に転移した。
「ちょっと。置いていくなんてひどいじゃない」
「しっ。見つかったらアウトっすから、そのことは後で。とにかくあれを見るっす」
カーナが向かいの建物に視線を向けた。
さっきの商人と窮鼠会とか言っていた男たちがいた。
何か話しているが、少し遠いので聞こえるわけがない。
隣でカーナがぶつぶつと何かつぶやいている。
「……品と客……注文通り……一週間後……深夜……闘技場にて……闘技場?」
「何? 何の話?」
「ロゼちゃん、しー……」
おそらくオークションのことだろう。
ついに新しい情報を手に入れることができたのではないかな。
確証はないけど。
あ。男たちも動いた。商人とは別の方向に行ったからおそらく話は終わったのだろう。
「どう?」
「当たりっすね。商品と客はそろったとか言っていたっすから、おそらくオークションを開催するんじゃないっすかね。一週間後の深夜、闘技場にて。……闘技場ってどこにあるんすかね?」
「そんなの知らないわよ。でもこの街に闘技場があるなんて聞いたことないわね」
「そうっすよねー。でもオークションの開催時期が分かったから一歩前進っすよ」
「そうね。とりあえずギルドに報告しましょう。あとナトリちゃんたちにも」
「報告はいいっすけど、できるだけあまり広めないようにするっす」
「どうしてよ。ギルドも協力してくれているんだから情報共有はしなきゃでしょ?」
「それはするっす。でも報告するのはマキナさんにだけ。マキナさんにもできるだけ信用できる人にしか話さないようにお願いするっすよ」
「何かあるの?」
「ちょーっと、嫌な予感がするだけっす。闘技場でオークションをするのも何か引っかかるし。というわけで、内緒の方向で」
「……わかったわ。とにかくマキナさんには報告に行きましょう」
私たちはそう決めて、ギルドに向かった。
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