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プロローグ
しおりを挟む私の婚約者のサカキは、とても優しい男性だ。
彼とこのまま結婚し、幸福を夢見ていた。
でも、それはただの夢だったんだ。
彼が私の友達と浮気しているかもしれないと思って、
「私の友達と二人で会っていますよね?浮気ですか?」
と聞いた。
ちゃんと、真実を言ってほしい。その思いを声に乗せたが、彼に届いているかどうか……。
サカキさんは私の言葉に驚いたようで、目を丸くした。
「浮気?」
「そうです。浮気です」
私はサカキさんの顔をじっと見つめた。
しばらく彼とにらめっこしていたが、サカキさんが「プッ」と吹き出す。私の勝ち。
「浮気、ね。したよ。だって、あの子は君よりも綺麗だし、僕好みだ。君との婚約は破棄させてもらう」
「えっ……」
私はサカキさんの言葉に驚き、絶句した。
「私……私は……」
「分かったか?」
サカキさんが冷たく言い放つ。
嫌だ。婚約破棄したくない。
「い、いやです……」
私は震えながら、はっきりと拒否した。
「嫌?」
「はい」
「あのね。君、鏡で自分の顔を見たことがある?君は醜いんだよ。僕の婚約者に相応しくない。僕はもっと綺麗な女性と結婚したいんだよ。分かった?」
高圧的な態度で私を罵倒するサカキさん。私は彼に言われたことがショックで、その場にへたり込んだ。
「分かった?って聞いているんだけど」
彼が私の肩を掴む。私はおずおずと顔を上げ、彼を見た。サカキさんの目は冷たく、「肯定以外許さない」と言っているようだ。
私は初めて彼が怖いと思った。
「……分かりました」
「そう。じゃあ、今から君は僕の婚約者でも何でもない他人ね」
満足そうな声で言う。
そして、私と彼の婚約は破談になったんだ。
その後、友達から私に手紙が届いた。
手紙には「あなたの婚約者を奪ってしまってごめんなさいね!」と書かれていたんだ。
屈辱的だった。
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