我が家の愛猫こむぎさん

二階堂まりい

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こむぎとの出会い

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※当ページには(人間の)自傷行為に関する記述がございます。苦手な方、フラッシュバックが心配な方は読み飛ばして次のページに進まれても大丈夫です。


 死を選ぶ直前の人の写真を見たことがありますか?
 私はあります。自分の写真です。
 可愛い服を着て推しのアイテムに囲まれた、普通の笑顔の写真です。

 2024年5月、私は2階の自室で首を吊ろうとしました。
 しかし決心がつかずに泣いていたのを母に発見され、止められたのです。

 推しの存在は、自死を止める防波堤になりませんでした。
 推しに生きていてほしい人は何千万人と居るけれど、私に生きていてほしい人はせいぜい母一人。精神を病んだ私は、その母のことすら信じられなかった。




 自殺未遂のことは父にも伝わったそうです。
 1階へ下りると、両親は何事も無かったように振る舞っていました。そして父は一言、ペットを飼おうと言ったのです。

 我が家では昔、ゴールデンハムスターのだんごちゃんを飼っていました。
 他にも縁日で迎えた金魚達、1日だけ屋根を貸したスズメのすずなど動物との思い出は多いのですが、今はだんごちゃんの時に味わったペットロスへの恐怖からペットを飼うことは渋り続けていたのです。

 しかし嫌がる私の言葉を父は聞かず、知らない間にペットショップに予約を入れていたので断ることも出来ず、数日後に私はペットショップに居ました。



 店で犬や猫を見ていると、じゃれている二匹の子猫が目に留まりました。
 小さくてふわふわな白茶の子猫が、もう一匹の子に圧されて立ち上がり、細い手足でじたばたした後、こてんと尻もちをついたのです。

 ああいうどんくさい子だったら飼いやすいだろうな、それに白茶はゴールデンハムスターに似てて親近感が湧く。
 私がそう溢すや否や、父、母、店員さんの手であれよあれよとその白茶猫を抱っこさせられ、飼うことにまでなっていたのです。

 書類手続きの間、私が子猫を抱いたりテーブルの上で遊ばせたりしていました。
 その頃にはもう、「わんだふるぷりきゅあ!」の主人公で茶色い犬のキャラクターから名前を取って、子猫のことを「こむぎ」と呼んでいました。

 ラガマフィンという猫種はその時に初めて知りました。
 それに、こむぎは男の子。雄猫なら女性に懐くかもと言われ、ラッキーだなと思っていました。
 それに、だんごちゃんも男の子だったので、なんとなく生まれ変わりに巡り会えたようで不思議な気持ちになったのです。普段はオカルトを信じず一蹴しているくせに、こういう時だけ都合の良い奴です。


 迎えてしばらくは、朝目覚める度にこんな可愛い生き物が家に居るということが信じられませんでした。
 掌サイズのふわふわあったかい生き物が、ちまちまと歩いて、抱き上げるとうごうごともがくのです。



 可愛いけれど、私が一歩動く度に追って来て、本気で噛んだり引っ掻いたりするのには困りました。
 一生ミニスカートを穿けないのではと思うくらい脚が傷だらけになり、こむぎと分かり合えるかどうかが不安で、迎えたことを後悔しそうになったこともありました。
 そして、そんな考えがよぎる自分が情けなくて余計に落ち込んだことも。

 1、2ヶ月ほど共に過ごした辺りで、私の生傷が減り、指を噛まれるよりも舐められる頻度が高くなったことに気付いて、やっとこむぎに認めてもらえた気がしたのです。
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