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王立貴族学院 一年目
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48位 シャルロット・ラぺーシュ
今回のテスト順位が張り出された。ちなみに80人中の順位。
トップ10内には騎士くんを除くオーラ組が全員入ってる。騎士くんは27位だ。
なんと、メアリは14位という快挙!! 初テストですごーい!!
って感心している場合ではない、エセ貴族中ではわたしは最下位。
マリアは36位で可もなく不可もないと思える。
一方、わたしは初テストでやらかしてしまった。自業自得だから仕方がない。
範囲を復習してみれば割と理解できたとタカを括ってしまった。
図書館に通ってたはずなのについそのせいで現実逃避してしまったのが原因。
懸念していたスペルミスも放置したせいでこうなったから何とも言えない。
頭で理解していても書けなければ意味がなかったという結果。
「シャル、気を落とさないで。図書館に付き合えなくてごめんね」
メアリが気の毒そうに声をかけてきた。無理もない。メアリの家は商家だ。
いつも授業が終わったらお店を手伝っている。付き合えるわけもない。
メアリが悪いわけでも何でもない。わたしが舐めてただけ。
「私も付き合えなくてごめんなさい」
マリアもまるで自分が悪いかのように謝る。マリアのせいじゃないのに。
行動を制限されているっぽく終礼後はソフィアさんと一緒に下校するから仕方がない。
「ううん、二人は関係ないよ。わたしがついさぼってしまっただけだから気にしないで! それより、メアリはすごいね。おめでとう!」
「本当、おめでとう」
「……私自身も驚いてるの。でも嬉しい。二人ともありがとう」
そんな風にはしゃいでいるとコホンと咳払いがした。
振り返るとアイネさんが何か言いたげに眼鏡を光らせている。そばにはセレーヌさんとソフィアさんの姿。
「このような場所で騒ぐのは迷惑になりますわ」
進行の邪魔をしたと思われるわたしたちをセレーヌさんが一瞥した。
「申し訳ありません……」
慌てて貴族らしい会釈をし、道を開ける。だいぶ体幹バランスもとれてきた頃だし。油断するとやばいけど。
静々と通り過ぎる3人を見送るとほっと溜息。
相変わらずの絡みも数カ月経てば対処法が身についてくる。
と言ってもこの状態が無くなるわけではなく、幾分か減ったという程度。
個別事案では相変わらずの絡まれ具合。むしろ増えてるかもしれない?
宰相くんとは図書館以来、特に進展はない。
ただのクラスメイトだ。それ以上もそれ以下もない。他に接点もない。
けど、アイネさんとのやり取りは変わらない。今のところ宰相くんが関わることもない。
これはやっぱり劇的出会いというイベントがないから不自然な絡み状態が続くってこと?
もしかしてわたしから話しかけた瞬間、何かが起こるとか?
いやいやいや、そんな流れなんて……。まさか、ねえ……。
「今日は赤い豆のスープなんだけど……」
いつものランチタイム。メアリが項垂れながら申し訳なさそうに呟く。
「東方の国で栽培されているとても珍しい豆が手に入ったんだけどね……」
そういって差し出してきた木筒のふたを開けてみると赤く濁った液体が見える。
早速、受け取ったスプーンで中をかき回すと固そうな小さな粒の赤い豆がゴロゴロ出てきた。
何だこれ? 早速、一口食べてみる。
渋くて固い。噛んでみると潰れた皮の中からザラッと舌を包む食感。
「……渋くて固いわね」
マリアが顔を顰めながら申し訳なさそうに言う。
「そうなの。栄養価も高くて希少なものらしいけど、味がね。でも身体にいいから、お試しに思って」
無理に食べなくていいよとメアリは木筒を回収しようとした。
わたしはスプーンでもうひとすくいし、赤い豆を見つめる。
もしかして、これって……、小豆なんじゃ?
口に含み、食感を確かめる。皮が残る感じはイマイチだけど、中から出てくるザラッとしたもの。
日本ではお馴染みの粒あんの感触。ただしこれは塩で煮たもの。全然、甘くない。
「ねえ、メアリ。餡子って知ってる?」
ポニテが斜めに揺れて不思議そうな顔をする。ついでにマリアの方を見ると同じように首を傾けている。
二人ともめちゃくちゃ可愛い仕草っ!
……ってそうじゃなかった。これは本当に知らない様子。この小豆のことも餡子のことも。
実は前々からずっと気になってたけど何となく聞き出せずにいたことがようやく判明した。
似通った経歴の持ち主、宛がわれているであろう設定、二人はもしかして中身もわたしと同じなのではと勘ぐってた。
さりげなくそのことを探ろうと機会を窺ってはいたけど、なかなかできずにいた。
でも判った。マリアとメアリは前世の記憶がないってことが。記憶持ちはどうやらわたしだけらしい。
もしかして記憶を持ってたらゲーム知識があったかもしれないと期待したのになぁ。
とはいえ、今、手にしている小豆の存在。
これがあればアンパーンが作れるではないか!!!
ウキウキしながらわたしはメアリにこの食材を大量に注文した。
今回のテスト順位が張り出された。ちなみに80人中の順位。
トップ10内には騎士くんを除くオーラ組が全員入ってる。騎士くんは27位だ。
なんと、メアリは14位という快挙!! 初テストですごーい!!
って感心している場合ではない、エセ貴族中ではわたしは最下位。
マリアは36位で可もなく不可もないと思える。
一方、わたしは初テストでやらかしてしまった。自業自得だから仕方がない。
範囲を復習してみれば割と理解できたとタカを括ってしまった。
図書館に通ってたはずなのについそのせいで現実逃避してしまったのが原因。
懸念していたスペルミスも放置したせいでこうなったから何とも言えない。
頭で理解していても書けなければ意味がなかったという結果。
「シャル、気を落とさないで。図書館に付き合えなくてごめんね」
メアリが気の毒そうに声をかけてきた。無理もない。メアリの家は商家だ。
いつも授業が終わったらお店を手伝っている。付き合えるわけもない。
メアリが悪いわけでも何でもない。わたしが舐めてただけ。
「私も付き合えなくてごめんなさい」
マリアもまるで自分が悪いかのように謝る。マリアのせいじゃないのに。
行動を制限されているっぽく終礼後はソフィアさんと一緒に下校するから仕方がない。
「ううん、二人は関係ないよ。わたしがついさぼってしまっただけだから気にしないで! それより、メアリはすごいね。おめでとう!」
「本当、おめでとう」
「……私自身も驚いてるの。でも嬉しい。二人ともありがとう」
そんな風にはしゃいでいるとコホンと咳払いがした。
振り返るとアイネさんが何か言いたげに眼鏡を光らせている。そばにはセレーヌさんとソフィアさんの姿。
「このような場所で騒ぐのは迷惑になりますわ」
進行の邪魔をしたと思われるわたしたちをセレーヌさんが一瞥した。
「申し訳ありません……」
慌てて貴族らしい会釈をし、道を開ける。だいぶ体幹バランスもとれてきた頃だし。油断するとやばいけど。
静々と通り過ぎる3人を見送るとほっと溜息。
相変わらずの絡みも数カ月経てば対処法が身についてくる。
と言ってもこの状態が無くなるわけではなく、幾分か減ったという程度。
個別事案では相変わらずの絡まれ具合。むしろ増えてるかもしれない?
宰相くんとは図書館以来、特に進展はない。
ただのクラスメイトだ。それ以上もそれ以下もない。他に接点もない。
けど、アイネさんとのやり取りは変わらない。今のところ宰相くんが関わることもない。
これはやっぱり劇的出会いというイベントがないから不自然な絡み状態が続くってこと?
もしかしてわたしから話しかけた瞬間、何かが起こるとか?
いやいやいや、そんな流れなんて……。まさか、ねえ……。
「今日は赤い豆のスープなんだけど……」
いつものランチタイム。メアリが項垂れながら申し訳なさそうに呟く。
「東方の国で栽培されているとても珍しい豆が手に入ったんだけどね……」
そういって差し出してきた木筒のふたを開けてみると赤く濁った液体が見える。
早速、受け取ったスプーンで中をかき回すと固そうな小さな粒の赤い豆がゴロゴロ出てきた。
何だこれ? 早速、一口食べてみる。
渋くて固い。噛んでみると潰れた皮の中からザラッと舌を包む食感。
「……渋くて固いわね」
マリアが顔を顰めながら申し訳なさそうに言う。
「そうなの。栄養価も高くて希少なものらしいけど、味がね。でも身体にいいから、お試しに思って」
無理に食べなくていいよとメアリは木筒を回収しようとした。
わたしはスプーンでもうひとすくいし、赤い豆を見つめる。
もしかして、これって……、小豆なんじゃ?
口に含み、食感を確かめる。皮が残る感じはイマイチだけど、中から出てくるザラッとしたもの。
日本ではお馴染みの粒あんの感触。ただしこれは塩で煮たもの。全然、甘くない。
「ねえ、メアリ。餡子って知ってる?」
ポニテが斜めに揺れて不思議そうな顔をする。ついでにマリアの方を見ると同じように首を傾けている。
二人ともめちゃくちゃ可愛い仕草っ!
……ってそうじゃなかった。これは本当に知らない様子。この小豆のことも餡子のことも。
実は前々からずっと気になってたけど何となく聞き出せずにいたことがようやく判明した。
似通った経歴の持ち主、宛がわれているであろう設定、二人はもしかして中身もわたしと同じなのではと勘ぐってた。
さりげなくそのことを探ろうと機会を窺ってはいたけど、なかなかできずにいた。
でも判った。マリアとメアリは前世の記憶がないってことが。記憶持ちはどうやらわたしだけらしい。
もしかして記憶を持ってたらゲーム知識があったかもしれないと期待したのになぁ。
とはいえ、今、手にしている小豆の存在。
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