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王立貴族学院 一年目
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翌日の王城にて厨房の料理長たちに囲まれながら一人餡子作りに精を出す。
餡子は小豆の扱いが重要でちょっとしたコツがいる。それさえ間違えなければ難しくはない。
物珍しそうに観察する料理人たちを尻目にさっさと済ませて帰りたい。
当日はわたしが作るわけではないからレシピだって既に手渡してある。
あくまで流れを把握してもらうためだけであとは本番までに調整してもらうのみ。
だからこの役目が終われば用がない。何だか関わりが深みに嵌まっていきそうで怖すぎるし。
完成した餡子をパン生地に包み、焼く。もうこれで帰っていいよね?
料理長たちに称賛を浴びつつ、ではこれでと退出しようとしたのに呼び止められた。
今は応接室に一人、佇んでいる。うう、帰りたいよう。
「足労願って悪かったね、ラペーシュ嬢。母上も絶賛なさっていたよ」
王子が嬉しそうに顔を出すとそれに続いて誰かが入ってきて思わず立ち上がる。
クセのある黄緑がかった金髪を揺らし深緑色の瞳をした男の子と淡いオレンジがかった長い金髪と深緑色の瞳を輝かせた女の子が現れた。
「私の弟と妹だ。是非、ラペーシュ嬢に会いたいと言ってね。突然ですまない」
どことなく王子と似ていて二人とも同じような背丈で可愛らしい顔立ちをしている。
「初めまして。僕はフラン・キングマークと申します。アンパンを考案した方にお会いしたくなり、無理をいってしまいました」
「初めまして。ローネ・キングマークと申します。私もアンパンの虜になってしまい、つい押しかけてしまいましたの」
「は、初めまして。シャルロット・ラペーシュと申します。お気に召して光栄です」
天使のような美少年と美少女。3人並ぶとキラキラが眩しすぎて目がくらみそう。
「ねえ、宜しければ私たちと一緒にお茶にしましょう。もっとお話が訊きたいわ」
王女がわたしの手を握り、コテンと首をかしげる。……うう。こ、断れないよね。
「では私は用事があるので席を外すが、ゆっくりするといい」
メラオン王子が退出して二人がわたしを挟んで座り込む。完全に帰れなくなったのはしょうがない。
フラン王子は第3王子で二つ年下らしく、13歳。ローネ王女は末っ子で12歳。
二人とも甘いものが大好きらしく、アンパンがお気に入りになったらしい。
お茶の席に出されたお菓子に舌鼓を打ち、言われるがまま、調子に乗ってパクパクと食べてしまった。
お菓子好きのわたしだからつい嬉しくなってあれこれ話していたら随分と親しくなってしまった。
「シャルロットお姉さま、またお会いしたいわ!」
「シャルロット嬢、是非、遊びに来てくださいね!」
「ええ、お茶会以降には必ず伺わせていただきます、ね……」
すっかり気に入られたらしく、名残惜しそうに引き留められたものの、また会う約束を取り付けて帰った。
屋敷に戻り、冷静になって王族と親しくなってどうするんだと落ち込んだ。
けれど、約束を取り付けてしまい仕方がないのでお菓子談議で盛り上がったから訪問する際は手土産に何か作っていこうと思う。
そんなこんなであっという間にお茶会の日がやってきた。
もちろんこの間にもセレーヌレッスンは続き、お叱りの回数も少なくなった。
そのおかげで学院でのシリンダ先生の評価は爆上がりでどうにか合格点に達している様子。
まあ、こっちばっかりに気を取られて新学期のテストでは成績が下がってしまったのは仕方ないよね?
王妃様主催のお茶会は1学年を皮切りにスタートってことで初回だった。
アンパンは改良されていてミニサイズよりさらに小さくなり、一口で食べれるようになっていた。
料理人たちの細かな配慮と努力に頭が下がるよ。ご令嬢たちには好評だったしね。
わたしたちも失態を犯すことなく、つつがなくスマートに乗り切り、肩の荷が下りたもん。
とにかくまあ、マナーもアンパンも大成功だったわけでいやっほーい!!!
これで何もかも終わると思いきや、そんなことはなかった。
マナーレッスンの一環として付き合ってたはずのランチタイムがいつの間にか当然のようになっている。
しかも週に1度はランチに提供されるパンをわたしが用意するようになる。
いや、お爺様のために毎日作ってるからいいんだけど、何故に?
ティータイムのお茶はスリィズ家のものを、珍しい食材はモランゴ商会からと。
これはヒロイン由来によるものなのか? 完全にオーラ組の面々と繋がっていくような。
そうなってくると当然、違和感なく顔を合わせることになり、たまにだけど会話を生じることにも。
周りから見るとエセ貴族トリオがオーラ組に仲間入りしたようにしか見えない状態に。
とはいえ、相変わらずの個人的対立は変化なし。いや、より密度が増したとしか思えない。
ふと気づけばアイネさんが横にいることが多く、観察されている気分になる。
どうしてこうなっている~?
餡子は小豆の扱いが重要でちょっとしたコツがいる。それさえ間違えなければ難しくはない。
物珍しそうに観察する料理人たちを尻目にさっさと済ませて帰りたい。
当日はわたしが作るわけではないからレシピだって既に手渡してある。
あくまで流れを把握してもらうためだけであとは本番までに調整してもらうのみ。
だからこの役目が終われば用がない。何だか関わりが深みに嵌まっていきそうで怖すぎるし。
完成した餡子をパン生地に包み、焼く。もうこれで帰っていいよね?
料理長たちに称賛を浴びつつ、ではこれでと退出しようとしたのに呼び止められた。
今は応接室に一人、佇んでいる。うう、帰りたいよう。
「足労願って悪かったね、ラペーシュ嬢。母上も絶賛なさっていたよ」
王子が嬉しそうに顔を出すとそれに続いて誰かが入ってきて思わず立ち上がる。
クセのある黄緑がかった金髪を揺らし深緑色の瞳をした男の子と淡いオレンジがかった長い金髪と深緑色の瞳を輝かせた女の子が現れた。
「私の弟と妹だ。是非、ラペーシュ嬢に会いたいと言ってね。突然ですまない」
どことなく王子と似ていて二人とも同じような背丈で可愛らしい顔立ちをしている。
「初めまして。僕はフラン・キングマークと申します。アンパンを考案した方にお会いしたくなり、無理をいってしまいました」
「初めまして。ローネ・キングマークと申します。私もアンパンの虜になってしまい、つい押しかけてしまいましたの」
「は、初めまして。シャルロット・ラペーシュと申します。お気に召して光栄です」
天使のような美少年と美少女。3人並ぶとキラキラが眩しすぎて目がくらみそう。
「ねえ、宜しければ私たちと一緒にお茶にしましょう。もっとお話が訊きたいわ」
王女がわたしの手を握り、コテンと首をかしげる。……うう。こ、断れないよね。
「では私は用事があるので席を外すが、ゆっくりするといい」
メラオン王子が退出して二人がわたしを挟んで座り込む。完全に帰れなくなったのはしょうがない。
フラン王子は第3王子で二つ年下らしく、13歳。ローネ王女は末っ子で12歳。
二人とも甘いものが大好きらしく、アンパンがお気に入りになったらしい。
お茶の席に出されたお菓子に舌鼓を打ち、言われるがまま、調子に乗ってパクパクと食べてしまった。
お菓子好きのわたしだからつい嬉しくなってあれこれ話していたら随分と親しくなってしまった。
「シャルロットお姉さま、またお会いしたいわ!」
「シャルロット嬢、是非、遊びに来てくださいね!」
「ええ、お茶会以降には必ず伺わせていただきます、ね……」
すっかり気に入られたらしく、名残惜しそうに引き留められたものの、また会う約束を取り付けて帰った。
屋敷に戻り、冷静になって王族と親しくなってどうするんだと落ち込んだ。
けれど、約束を取り付けてしまい仕方がないのでお菓子談議で盛り上がったから訪問する際は手土産に何か作っていこうと思う。
そんなこんなであっという間にお茶会の日がやってきた。
もちろんこの間にもセレーヌレッスンは続き、お叱りの回数も少なくなった。
そのおかげで学院でのシリンダ先生の評価は爆上がりでどうにか合格点に達している様子。
まあ、こっちばっかりに気を取られて新学期のテストでは成績が下がってしまったのは仕方ないよね?
王妃様主催のお茶会は1学年を皮切りにスタートってことで初回だった。
アンパンは改良されていてミニサイズよりさらに小さくなり、一口で食べれるようになっていた。
料理人たちの細かな配慮と努力に頭が下がるよ。ご令嬢たちには好評だったしね。
わたしたちも失態を犯すことなく、つつがなくスマートに乗り切り、肩の荷が下りたもん。
とにかくまあ、マナーもアンパンも大成功だったわけでいやっほーい!!!
これで何もかも終わると思いきや、そんなことはなかった。
マナーレッスンの一環として付き合ってたはずのランチタイムがいつの間にか当然のようになっている。
しかも週に1度はランチに提供されるパンをわたしが用意するようになる。
いや、お爺様のために毎日作ってるからいいんだけど、何故に?
ティータイムのお茶はスリィズ家のものを、珍しい食材はモランゴ商会からと。
これはヒロイン由来によるものなのか? 完全にオーラ組の面々と繋がっていくような。
そうなってくると当然、違和感なく顔を合わせることになり、たまにだけど会話を生じることにも。
周りから見るとエセ貴族トリオがオーラ組に仲間入りしたようにしか見えない状態に。
とはいえ、相変わらずの個人的対立は変化なし。いや、より密度が増したとしか思えない。
ふと気づけばアイネさんが横にいることが多く、観察されている気分になる。
どうしてこうなっている~?
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