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王立貴族学院 二年目
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「本日のエスコート役に携わるトマス・フラーグムと案内役のシャルロット・ラペーシュ嬢だ。よろしく頼むよ、メリッサ」
「紹介にあずかりましたシャルロット・ラペーシュです。よろしくお願いします」
入学式翌日の交流会を迎え、トマス先輩と共に担当の新入生に挨拶する。
もうだいぶ身についたカーテシーをして見せるものの、やっぱり緊張気味だし。
それにしても真新しい制服に身を包んで初々しさがあるはずなのに何故か主張感のあるご令嬢。
赤みがかった金髪に赤み帯びたオレンジの瞳を持つ美少女は何故かわたしを睨むように見た。
「ラフレーズ侯爵が娘、メリッサと申します。本日はよろしくお願いしますわ。トマスお兄さま、と……ラペーシュさん?」
先輩とは顔見知りって聞いてたけど、もっと親しい感じはあるかな。
わたしに対しては少し余所余所しい感じもしたけど、初対面だし仕方がないよね。
「それでは、こちらへ参りましょうか」
ラフレーズさんを挟んで校舎内を案内することになる。
ルートに応じてなるべく混雑を避け、滞らないように臨機応変で巡っていく。
打ち合わせと下見でしっかりと予習したし、本番でもどうにかスムーズにいってる。
まあ、その辺は先を読んでる先輩のエスコートが上手なおかげかもしれないけど。
そんなこんなで失敗することなくいい流れを組んでるけどずっと引っ掛かることがある。
先輩に向ける顔は終始微笑んでいるのに対してこちらを見る時には無表情か睨まれた。
説明をして相槌を打ってくれるけど、質問があれば先輩にする。
顔を見るだけでわたしとは会話らしい会話はない。……別にいいけどね。
そうやって全ての案内が終わり、最後にラフレーズさんを教室へと見送ろうとした時。
「まあ、少し制服が乱れてしまってますわ。お手伝いくださるかしら、ラペーシュ、さん」
いきなり話しかけられ、戸惑ってしまった。
どこが? と見た感じは判らなかったけど歩き回ったからね。
さすがお貴族様、無頓着なわたしと違って細かいところに目が行き届くご様子で。
「え、ええ。では行きましょうか」
とりあえず整えるために二人で別室へと移動。で、ドアが閉まった途端、
「何か勘違いなさってないかしら。お兄さまは誰にでも優しくて親切ですのよ。あなたはたまたまペアを組んだだけでそれ以外では何の関わりの無い立場だと解ってますの?」
「へっ?」
ドアを背にしたわたしに振り返り、捲し立てながら顔が近づいてくる。
あれ? もしかしてわたし、追い詰められてる???
「お兄さまがエスコートなさっているのに不躾に会話へ入ってくるなんてどういうおつもりなの。礼儀を理解していらっしゃるのかしら?」
ん、何かフラッシュバックというか、既視感が……。
鋭い目つきで睨まれ、強い口調で捲し立てられるって、どこかで見た気が?
立場とか、礼儀とか、それ系のことを目の当たりの光景。
って、入学時のメアリとセレーヌさんとのVS.じゃないかぁあああ!!
確かあの時、王子が仲裁に入って事なきを得てたっけ、……っていないよ!
「わたくしのお話、聞いてますの?」
「……ああ、はい。申し訳ありませんでしたあぁ!」
「まあ、そのような態度……。やっぱり、わたくしのことをバカにしてらっしゃるのね」
しまった。気の抜けた返事を。ヤバイ、埒が明かないよ。
さらに追い詰められそうで危機感が半端ないと思った時。
「まだかかりそうかい? そろそろ戻った方がいいと思うが……」
救世主、降臨!!!
ノックと共にドア越しにトマス先輩の声が! 何てタイミング!!
「じゃ、戻りましょうか!」
返事を待たずしてさっさと別室から逃げ出すように抜け出すことに成功した。ほっ。
「では、ごきげんよう」
明らかに怒ってる空気感に微笑みながらカーテシーを行なってさよならを告げる。
もう今後はあんまり会うこともないだろうし、関わりたくもないよ。
「では、メリッサ。失礼するよ」
「ええ、お兄さま。ではまた、ごきげんよう」
先輩にだけ優雅に微笑んで綺麗なお辞儀をして去っていったラフレーズさん。何なんだ、一体。
「シャルロット嬢、悪かったね」
二人きりになり、トマス先輩は申し訳なさそうに謝った。
「実を言うとメリッサは遠戚で学園に通うために最近一緒に住むようになってね。セレーヌと似たところがあって手厳しいようなのだが気を悪くしないでほしい」
何と! セレーヌさんを彷彿させたのは遠い親戚だったからなのか?
いや、それだけじゃない、気がするのは、……気のせいじゃないよね?
「……ところで耳にしたのだが、来月、スリイズ領へ赴くそうだね。是非、私も同行させてほしいのだがいいだろうか?」
え、ええええええ~~~~!!! 突然の申し出に困惑。
何でまた、スリイズ領訪問が流行りなの? それとも……。
けど、もちろん断れるはずもないよね。セレーヌさんも行くんだし。
「は、はい。是非どうぞ」
そうしてまた参加者が増えるのだった。もう仕方がないよね、はは。
「紹介にあずかりましたシャルロット・ラペーシュです。よろしくお願いします」
入学式翌日の交流会を迎え、トマス先輩と共に担当の新入生に挨拶する。
もうだいぶ身についたカーテシーをして見せるものの、やっぱり緊張気味だし。
それにしても真新しい制服に身を包んで初々しさがあるはずなのに何故か主張感のあるご令嬢。
赤みがかった金髪に赤み帯びたオレンジの瞳を持つ美少女は何故かわたしを睨むように見た。
「ラフレーズ侯爵が娘、メリッサと申します。本日はよろしくお願いしますわ。トマスお兄さま、と……ラペーシュさん?」
先輩とは顔見知りって聞いてたけど、もっと親しい感じはあるかな。
わたしに対しては少し余所余所しい感じもしたけど、初対面だし仕方がないよね。
「それでは、こちらへ参りましょうか」
ラフレーズさんを挟んで校舎内を案内することになる。
ルートに応じてなるべく混雑を避け、滞らないように臨機応変で巡っていく。
打ち合わせと下見でしっかりと予習したし、本番でもどうにかスムーズにいってる。
まあ、その辺は先を読んでる先輩のエスコートが上手なおかげかもしれないけど。
そんなこんなで失敗することなくいい流れを組んでるけどずっと引っ掛かることがある。
先輩に向ける顔は終始微笑んでいるのに対してこちらを見る時には無表情か睨まれた。
説明をして相槌を打ってくれるけど、質問があれば先輩にする。
顔を見るだけでわたしとは会話らしい会話はない。……別にいいけどね。
そうやって全ての案内が終わり、最後にラフレーズさんを教室へと見送ろうとした時。
「まあ、少し制服が乱れてしまってますわ。お手伝いくださるかしら、ラペーシュ、さん」
いきなり話しかけられ、戸惑ってしまった。
どこが? と見た感じは判らなかったけど歩き回ったからね。
さすがお貴族様、無頓着なわたしと違って細かいところに目が行き届くご様子で。
「え、ええ。では行きましょうか」
とりあえず整えるために二人で別室へと移動。で、ドアが閉まった途端、
「何か勘違いなさってないかしら。お兄さまは誰にでも優しくて親切ですのよ。あなたはたまたまペアを組んだだけでそれ以外では何の関わりの無い立場だと解ってますの?」
「へっ?」
ドアを背にしたわたしに振り返り、捲し立てながら顔が近づいてくる。
あれ? もしかしてわたし、追い詰められてる???
「お兄さまがエスコートなさっているのに不躾に会話へ入ってくるなんてどういうおつもりなの。礼儀を理解していらっしゃるのかしら?」
ん、何かフラッシュバックというか、既視感が……。
鋭い目つきで睨まれ、強い口調で捲し立てられるって、どこかで見た気が?
立場とか、礼儀とか、それ系のことを目の当たりの光景。
って、入学時のメアリとセレーヌさんとのVS.じゃないかぁあああ!!
確かあの時、王子が仲裁に入って事なきを得てたっけ、……っていないよ!
「わたくしのお話、聞いてますの?」
「……ああ、はい。申し訳ありませんでしたあぁ!」
「まあ、そのような態度……。やっぱり、わたくしのことをバカにしてらっしゃるのね」
しまった。気の抜けた返事を。ヤバイ、埒が明かないよ。
さらに追い詰められそうで危機感が半端ないと思った時。
「まだかかりそうかい? そろそろ戻った方がいいと思うが……」
救世主、降臨!!!
ノックと共にドア越しにトマス先輩の声が! 何てタイミング!!
「じゃ、戻りましょうか!」
返事を待たずしてさっさと別室から逃げ出すように抜け出すことに成功した。ほっ。
「では、ごきげんよう」
明らかに怒ってる空気感に微笑みながらカーテシーを行なってさよならを告げる。
もう今後はあんまり会うこともないだろうし、関わりたくもないよ。
「では、メリッサ。失礼するよ」
「ええ、お兄さま。ではまた、ごきげんよう」
先輩にだけ優雅に微笑んで綺麗なお辞儀をして去っていったラフレーズさん。何なんだ、一体。
「シャルロット嬢、悪かったね」
二人きりになり、トマス先輩は申し訳なさそうに謝った。
「実を言うとメリッサは遠戚で学園に通うために最近一緒に住むようになってね。セレーヌと似たところがあって手厳しいようなのだが気を悪くしないでほしい」
何と! セレーヌさんを彷彿させたのは遠い親戚だったからなのか?
いや、それだけじゃない、気がするのは、……気のせいじゃないよね?
「……ところで耳にしたのだが、来月、スリイズ領へ赴くそうだね。是非、私も同行させてほしいのだがいいだろうか?」
え、ええええええ~~~~!!! 突然の申し出に困惑。
何でまた、スリイズ領訪問が流行りなの? それとも……。
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