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POUND1 夏みかんの誘惑
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朝8時過ぎ、玄関のチャイムが鳴る。
ドアを開ければそこには私の肩ぐらいの身丈の男の子。
半そでの白いポロシャツに黒の短パン、背中には手提げにもなる四角いリュック。
はねるように切りそろえた髪の上には学校のシンボルといえる黒い帽子。
そこからのぞかせる大きな瞳が印象的な小学生。
杉本優馬くん、9歳。附設の小学4年生。
実は彼、私、佐々木絵里香、18歳、……の彼氏、なんです!
「おはよう、優馬くん」
私は靴を履くと優馬くんの横に並ぶ。
「エリカ、おはよう」
そう言って片手をすっと差し出す。
手を繋いでいつもの登校スタイル。
同じマンションに住む優馬くんは引っ越してきて間もないお隣さん。
お母さん同士は同じ韓国スターのファンで意気投合して大の仲良し。
お互いに留守がちのお父さんを持つ身でそれを逆手に羽を伸ばしてたりする。
家のことを放ったらかしにしてよく二人で出かけてたりもする。
知り合って日が浅いのに既に家族ぐるみのお付き合い。
お隣さんの存在でお出かけしてもらえるから近頃うるさく言われなくて助かってるんだけどね。
ちょっと前までは18年間、男っ気の無い私に顔を見るたびに彼氏は? と突かれてたから。
中学高校と女子校に通わせたことを後悔したらしく異性に関心の無い私を心配していたの。
「今日は何作るんだ?」
「えっとねぇ、実はもう作ってあるんだ」
私の趣味であり、特技であるお菓子作り。
中学に入ってから始めて足掛け6年。
日々、作ることに明け暮れてた中高時代。
それだけに夢中になってて他の事なんて興味が無かったワケ。
そして7年目の今でもその勢いは衰えることは無い。
何を作るか、どんなものにチャレンジするかって考えるだけでワクワクする。
「昨日の夜から冷やしてあるんだ、夏みかんのゼリー♪ 帰ってから一緒に食べようね♪ ふふ」
「楽しみだな」
優馬くんはニッと笑ったかと思うと手をぐっと引っ張る。
ちょうど私の横に自転車が通り過ぎるところだった。
「うわぁ、危なかった!」
「エリカはぼおっとしてるからな」
「えへへ……」
これは笑って誤魔化すしかない。
私は気づいたらいつの間にかお菓子のことを考えているらしく、周りが見えなくなる。
そのため、ぼんやりしてて自分の世界に入ってるらしい。
親友の有紀ちゃん曰く、お菓子スイッチが入った! とかね。
こればっかりは仕方が無いんだもんね、気をつけようとはしてるけど。
「じゃあな!」
「うん、いってらっしゃい。優馬くん」
校門の前で手を振りながら優馬くんの後ろ姿を見送る。
私は小学校と同じ敷地内にある大学に通う短大1年生。
いつも先に私を送った後、小学校へと向かっていく。
本当は授業開始よりもかなり早い登校となる。
だけど一緒に通うため、合わせてあるんだ。
だって彼氏が一緒に通おうって言うもんだからね♪ ふふっ。
さて、講義が始まるまでカフェでお菓子の本、読んでよぉっと。
そんな風に毎朝過ごしてる楽しい時間。
ドアを開ければそこには私の肩ぐらいの身丈の男の子。
半そでの白いポロシャツに黒の短パン、背中には手提げにもなる四角いリュック。
はねるように切りそろえた髪の上には学校のシンボルといえる黒い帽子。
そこからのぞかせる大きな瞳が印象的な小学生。
杉本優馬くん、9歳。附設の小学4年生。
実は彼、私、佐々木絵里香、18歳、……の彼氏、なんです!
「おはよう、優馬くん」
私は靴を履くと優馬くんの横に並ぶ。
「エリカ、おはよう」
そう言って片手をすっと差し出す。
手を繋いでいつもの登校スタイル。
同じマンションに住む優馬くんは引っ越してきて間もないお隣さん。
お母さん同士は同じ韓国スターのファンで意気投合して大の仲良し。
お互いに留守がちのお父さんを持つ身でそれを逆手に羽を伸ばしてたりする。
家のことを放ったらかしにしてよく二人で出かけてたりもする。
知り合って日が浅いのに既に家族ぐるみのお付き合い。
お隣さんの存在でお出かけしてもらえるから近頃うるさく言われなくて助かってるんだけどね。
ちょっと前までは18年間、男っ気の無い私に顔を見るたびに彼氏は? と突かれてたから。
中学高校と女子校に通わせたことを後悔したらしく異性に関心の無い私を心配していたの。
「今日は何作るんだ?」
「えっとねぇ、実はもう作ってあるんだ」
私の趣味であり、特技であるお菓子作り。
中学に入ってから始めて足掛け6年。
日々、作ることに明け暮れてた中高時代。
それだけに夢中になってて他の事なんて興味が無かったワケ。
そして7年目の今でもその勢いは衰えることは無い。
何を作るか、どんなものにチャレンジするかって考えるだけでワクワクする。
「昨日の夜から冷やしてあるんだ、夏みかんのゼリー♪ 帰ってから一緒に食べようね♪ ふふ」
「楽しみだな」
優馬くんはニッと笑ったかと思うと手をぐっと引っ張る。
ちょうど私の横に自転車が通り過ぎるところだった。
「うわぁ、危なかった!」
「エリカはぼおっとしてるからな」
「えへへ……」
これは笑って誤魔化すしかない。
私は気づいたらいつの間にかお菓子のことを考えているらしく、周りが見えなくなる。
そのため、ぼんやりしてて自分の世界に入ってるらしい。
親友の有紀ちゃん曰く、お菓子スイッチが入った! とかね。
こればっかりは仕方が無いんだもんね、気をつけようとはしてるけど。
「じゃあな!」
「うん、いってらっしゃい。優馬くん」
校門の前で手を振りながら優馬くんの後ろ姿を見送る。
私は小学校と同じ敷地内にある大学に通う短大1年生。
いつも先に私を送った後、小学校へと向かっていく。
本当は授業開始よりもかなり早い登校となる。
だけど一緒に通うため、合わせてあるんだ。
だって彼氏が一緒に通おうって言うもんだからね♪ ふふっ。
さて、講義が始まるまでカフェでお菓子の本、読んでよぉっと。
そんな風に毎朝過ごしてる楽しい時間。
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