御招待ありがとう~書道ガールが洋風異世界へ~

おりのめぐむ

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沈黙の邂逅

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「おい、娘。審判により御加護を賜ったと確約された。しばらくは養生するようにとのことだ」

 ぼんやりしていたら真上から覗くように大きな鼻をした顔が現れました。
 見覚えある人物、Aさんです。
 おそらくはっきりと意識を取り戻してから3日ほど経った頃だと思います。
 突然のことに驚きつつも相変わらず身動きが取れないまま、辛うじて反応したつもりです。
 息を吐くようなかすれた音が漏れました。
 うまく声を発することができないままの寝たきり状態。
 うう、こんなにもしゃべれないのがもどかしいとは。
 アニーさんはいつもこんな状態だったんですよね。
 もちろん、質疑などできるはずはありません。尋ねたいことは山ほどあるのですが。
 Aさんは伝えることだけ伝えると後は用がないとばかりにさっさとその場を去っていきました。
 ともかく一つ気になっていたことが判明したわけです。
 加護を受けたという判決はいまいちよく解かりませんが、ここは無罪と認識することにします。
 それに養生するということは健康を取り戻せということでしょう。
 つまり、死罪に値するような罪ではないということが容認されたってことですよね。
 そうなってくるとますますアニーさんの生死が気になります!
 声を発することができるならいち早く訊きたい。アニーさんはどうなったのかと。
 私がこんな状態になっているということはアニーさんもそれ以下の可能性が高いということ。
 もし、巻き込んでおいて私一人助かっているとしたら……!
 そんな思考になってくると気持ちが沈みます。
 いけない、これでは。
 いいえ、きっと生きてます! そう信じると決めたはずです。
 回復しなければ確認のしようがありませんからね。
 ともかく一刻でも早く元気にならなければとただただ気が焦るばかりです。

 それからはできうる限りもっと積極的にがんばりました。
 スプーンで注がれる苦い薬をたくさんの量、摂取することに専念です。
 飲み込む量や速度が増す内に巫女さんがさらに量を増やしてくれました。
 眠っているだけの時間も徐々に減ってきている気がしますしね。
 目覚めた時には身体全体にゆっくりと感覚が増すように指先からつま先までを動くようにと意識し続けます。
 これをこまめに起きている時は何度も何度も繰り返しました。
 するとブルブルと震えながらも動く感じが何となく戻ってきているみたいでした。
 声も出したいと口を動かしますが、あ……とかう……など、ところどころ途切れる吐息のような低い音が漏れる程度です。
 本当にもどかしい。
 こんなに頭ははっきりしているのに、目は見えているのに、耳も聞こえているのに!
 悔しさをバネにしながら日々の精進。時間との闘い。早く回復するために、をモットーに!
 そんな感じで自分なりのリハビリを心がけておりました。

 そしてその成果が表れる時が来たのです。 
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