御招待ありがとう~書道ガールが洋風異世界へ~

おりのめぐむ

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領主の使用人

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 ここから食堂までは数分もかかりません。しかし、何往復もすることになります。
 だからこそ事前に注ぎ分けておくのだろうと思うのですが、これが一人の見習いしかいない場合だと用意してから運ばないと間に合うはずもありません。
 量云々よりも効率を考えてのことだったのではないかと思います。
 いつからこのような流れが組まれているのかわかりませんが勿体ないなと。
 領主さまにも提供されるような料理人の品。もちろん時間が経っても美味しくなくはありません。
 例え水分が飛んで乾いたような見た目になっても油が固まって白味帯びたとしても。
 ですがせっかくだったらもっと美味しく食べたい気がします!
 先に全てを注いでしまってはそうなることは判ってるはずです!
 できるなら改善できることは改善していきたい、そう思います!

 配膳係も加算されてからその日の流れを見つめ直します。
 初っ端は案の定、バタバタとしてしまいいろんなことが後手後手となり時間がかかりました。
 まずは運搬業務。
 調理場から洋館と小屋の往復で移動時間が多いことやそのせいで料理が冷める時間が増えてしまうこと。
 見習いは食事を小屋に戻ってすることでその時間の休みが減ってしまうこと。
 これは何往復もすることで無駄な動きが多い気がします。効率を考えればはっきり言って無駄ですね。
 配膳業務はやっぱり先に注いでしまうと食事が後半になるにつれ、料理が冷めきってしまうこと。
 こじつけかもしれませんが交代で食べる人たちに差があるのは不公平感がある気がします。
 あとは見習いと使用人と分けて食事することで皿洗いなど時間差がある分、効率が悪いこと。
 そもそも食事が見習いと使用人と別々になったのかというと区別するためということでした。
 同じ食堂で食べないようにするために小屋にわざわざその場を作ったみたいです。
 なのでテーブルと椅子しかない殺風景な場所だったのですね。
 ということは使用人と共にしなければ無理にあの場所で食事する必要はないと言えますね。
 仕事の合間合間にアニーさんに私の考えを伝えていきます。
 ほぼ同意してくれているようですが下っ端の意見など押し通せるわけもありません。
 そこでエミリさんに相談することにしました。

「私たちの配膳改善のため?」

「そうです。試しにお願いします。不公平感があってはいけませんよね?」

 まずは上の方を納得させてからの作戦です。
 本当は全てにおいて考えたことを行ないたいのですができる範囲が限られるので我慢です。
 エミリさんは念のため侍女長に確認を取ってから許可を出してくれました。
 その間にもあれこれと時間がある時にいろいろとアイデアを纏めていきました。
 改善のために食堂のテーブル配置換えなど下準備をアニーさんと共に前日に行います。
 いよいよ改善の第一歩です! 
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