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外伝 血塗られた冒険の書

第12話 

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 -side オーガスト- 

 伯爵邸に来るのも、久しぶりだな。義父殿は元気にしておられるかな。あの人がそう簡単にくたばるはずないだろうがな。あそこにいるのはアリシア、見ないうちに、ずいぶんいい女になったな。卒業パーティまでもう少しか、どうせなら俺が頂いてしまうか。

 馬車から降りたオーガストは、アリシアを見てニヤついた笑みをもらしていた。

 ☆☆☆

 『伯爵令嬢』だったわたくしが、一回目の輪廻でお世話になったのが、レイプ魔お兄様よ。15歳までにレイプ魔お兄様を確実にヤらないと、寝たキャラアリシアさん、レイプ魔お兄様ENDにランダムで発生してしまいますのよ。15歳になると媚薬をもられてレイプ魔お兄様に襲われてしまいますからね。

 エリート騎士のレイプ魔お兄様がイザーク王国の国境が近い辺境の砦で、その防衛の任を王より任せられたこともあって、鬱憤もアレも5年間たまっていたせいでレイプ魔になったかもしれませんわね。

 薬を盛られる前にやってしまったり、薬の効果が切れた瞬間、レイプ魔お兄様の首の骨をヘシ折った場合も、牢獄行きになってしまいますからね。

 断罪されたあと平民に落とされた場合でも、レイプ魔お兄様が所有する別邸で監禁されて媚薬付けにされちゃうわけなのよね。国外に逃げようとすれば盗賊団に輪姦レイプされて肉奴隷堕ちしてしまうから、ほんと、わたくしって、たいへんですわね。今のわたくしなら、そうね、盗賊団のボスをやっちゃったENDかしらね。それとも、うふふ、どうなるのかしらね。

☆☆☆

Side オーガスト

「試してみたが、この新しい媚薬の効果はすごいな。今までとは桁違いだ」

《淫魔を召喚して作らせたものですからね》

 こいつに頼まれてアリシアを婚約破棄させたはいいが、何がしたかったんだ。

 イザーク王国の密偵か、大方、エタニティ王国の上層部を媚薬づけにして何かを企むのであろうと、そう思ってはいたが。まぁ、俺の知ったことではないがな。俺は俺で儲けさせてもらったからな。

 それにしても、義父殿に勘当され、平民に落ちたアリシアを薬漬けにしてやったが、ここまで乱れるとは、たしかにすごい効果があるな。

 この媚薬を売れば、莫大な利益になるに違いない。だが、この女を信用できるのか? いつもローブで顔を隠したまま、顔も分からない。声が女であるのは分かるが、それに召喚魔法。淫魔に作らせたということは……

「お前は、なぜ顔を見せない」

《とても、見せられる顔じゃなりません。恥ずかしいですから》

「相変わらずの答えか、もういい、これが最後の質問だ。お前の目的はなんだ。お前が媚薬の市場を独占すればいい話ではないか。それほどの価値がこれにある。なぜだ」

《敷いて言うなら、大切な者のため、この平民の少女をわたくしがもらい受けることをお許しいただけますか?》

 許すもなにも、返答次第では、俺を殺すつもりなのだろう。殺気がもれているぞ。騎士の中でも上位の俺が、震えているのか。

 麗しき花と呼ばれた元伯爵令嬢アリシアは極上の女といえるだろう。さらに俺がここまで調教したのだからな。闇オークションで出せば、欲しがるものはいくらでもいるはずだ。手放すのは惜しいが、命には代えられんな。それにこの媚薬があれば俺は大金持ちだ。

「分かった。取り分と、これからのことについて話し合おう」

 -side ???- 

 うふふ、これで、彼女をローランに献上すれば妹が奴隷から解放される。ごめんなさいね。アリシアお嬢様、わたくしの妹にかわってローランの奴隷になってください。私の事は恨んでくれてもかまいませんから。
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