26 / 26
第七章
オワリ
しおりを挟む
彼は、慌てた素振りでナイフを見つけて掴み取り、そのままの勢いで私の横腹に突き立てる。
一度目。
二度目。
三度目。
彼は,鬼のような形相で必死になって私を刺す。
何度も、何度も突き刺す。
私が彼を本気で殺すとでも思っていたようだ。
痛い。
熱く鈍い痛みが、横腹から全身に響く。
刺されるたびに、体が少し揺れる。
私に反抗しようとすればするほど、自然と私の手は力を強めた。
脂汗を掻きながら清々しいほどに、私は笑顔だ。
彼は、ついにその手を止めた。
彼の意識も飛んでいた。
彼が力を抜き、ナイフが手から零れ落ちた。
その瞬間、私は安堵した。
そのせいだろう。
私は、倒れた。
彼の体に抱き着くように、私は倒れた。
そこから先、意識はない。
目が覚めると、僕のお腹の上にあの女が寄りかかっていた。
意外にも重たいその体を、上手く退かす。
その瞬間、腹にズキンッとする痛みが走る。
まだ、鋏が突き刺さったままだった。
僕は、突き立てられた鋏を抑えて、立ち上がる。
立ち上がるときに着いた手を見ると、真っ赤に染まっていた。
床はあの女のせいで、ドロドロとした赤に染まっている。
女を見る。
女はそれが幸せとでも言いたげな表情で、安らかな眠りについている。
僕は許せなかった。
床に転がるナイフを手に取り、背中から改めて意を決し、勢いよく突き立てる。
僕は、女をそこに放置して、一階に降りる。
リビングにある救急箱から、包帯を手に取り、腹に巻く。
グッと力強く巻き、鋏を抜く。
血を滲ませながら、包帯を巻く。
膝に空いた穴には、ガーゼを挟み、包帯を巻いた。
もう一度あの部屋に戻り、冷たい女の横で服を着替える。
簡単な鞄を肩から下げ、数千円しか入ってない財布をポケットに入れる。
少しのどが渇くので、床に転がる置物の女から赤を掬い取り、一舐めした。
僕は、リビングの机に置いた血まみれのナイフを持って、外に出る。
気づけば、夜も更けている。
僕は、その果てしない暗闇の中に消えた。
私は、彼を愛した。
私には、彼が壊れていくことを容易に想像することができたから。
私には、彼があまりにも手の届かない存在と知っていたから。
私は手を伸ばした。
禁断の果実を貪る獣のように。
手の届かない太陽に手を伸ばすように。
彼は私を誘惑する。
彼の弱さを見せて。
彼の面白さを教えて。
彼はいつだって、私にとっての愛情を注ぐ存在だった。
だから、私は愛した。
一度目。
二度目。
三度目。
彼は,鬼のような形相で必死になって私を刺す。
何度も、何度も突き刺す。
私が彼を本気で殺すとでも思っていたようだ。
痛い。
熱く鈍い痛みが、横腹から全身に響く。
刺されるたびに、体が少し揺れる。
私に反抗しようとすればするほど、自然と私の手は力を強めた。
脂汗を掻きながら清々しいほどに、私は笑顔だ。
彼は、ついにその手を止めた。
彼の意識も飛んでいた。
彼が力を抜き、ナイフが手から零れ落ちた。
その瞬間、私は安堵した。
そのせいだろう。
私は、倒れた。
彼の体に抱き着くように、私は倒れた。
そこから先、意識はない。
目が覚めると、僕のお腹の上にあの女が寄りかかっていた。
意外にも重たいその体を、上手く退かす。
その瞬間、腹にズキンッとする痛みが走る。
まだ、鋏が突き刺さったままだった。
僕は、突き立てられた鋏を抑えて、立ち上がる。
立ち上がるときに着いた手を見ると、真っ赤に染まっていた。
床はあの女のせいで、ドロドロとした赤に染まっている。
女を見る。
女はそれが幸せとでも言いたげな表情で、安らかな眠りについている。
僕は許せなかった。
床に転がるナイフを手に取り、背中から改めて意を決し、勢いよく突き立てる。
僕は、女をそこに放置して、一階に降りる。
リビングにある救急箱から、包帯を手に取り、腹に巻く。
グッと力強く巻き、鋏を抜く。
血を滲ませながら、包帯を巻く。
膝に空いた穴には、ガーゼを挟み、包帯を巻いた。
もう一度あの部屋に戻り、冷たい女の横で服を着替える。
簡単な鞄を肩から下げ、数千円しか入ってない財布をポケットに入れる。
少しのどが渇くので、床に転がる置物の女から赤を掬い取り、一舐めした。
僕は、リビングの机に置いた血まみれのナイフを持って、外に出る。
気づけば、夜も更けている。
僕は、その果てしない暗闇の中に消えた。
私は、彼を愛した。
私には、彼が壊れていくことを容易に想像することができたから。
私には、彼があまりにも手の届かない存在と知っていたから。
私は手を伸ばした。
禁断の果実を貪る獣のように。
手の届かない太陽に手を伸ばすように。
彼は私を誘惑する。
彼の弱さを見せて。
彼の面白さを教えて。
彼はいつだって、私にとっての愛情を注ぐ存在だった。
だから、私は愛した。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる