8 / 12
落とした希望
安堵そして殺戮
しおりを挟む
私は、安堵した。
やっとのことで、私の自室にたどり着いたのだ。
そこには、先ほど見かけたような血の赤黒いシミもなくいつも通り、適度に散らかされた自室があった。
休日も満足に休めていないために、あまりきれいとは言えない。しかし、最低限の清潔感くらいならあるのかもしれない。
それは、独り身である私があまりものに執着せず、物をためていないためだろう。
ベットの掛布団はいつものように乱雑にまとめられてそこにある。
私はベットを椅子代わりに腰掛ける。
恐らく私が来たのは、この部屋に唯一ある目の前の木製のあのドアだろう。
ここは、もともと父の部屋だった。
子供のころは大きな憧れのあった部屋だった。
備え付けのクローゼットには、数着のスーツと、部屋着と外出用の衣服が数着ある程度で物寂しいものとなっている。
反対の壁には、私を縛り付ける大きなディスプレイ画面のデスクトップパソコンがある。
足元の円柱状のごみ箱には、相変わらずまとまらない企画書のコピーが捨てられていた。
机に置かれているデスクランプは私のようにパソコンに向かって俯いている。
壁紙はクリーム色。床は茶色のカーペットが一面に貼られている。
部屋に一つだけの窓には、暗い青色のカーテンが開かれることなく飾られている。
部屋の照明はLEDのはずなのに暗く感じる。
急に首元に何かが触れる感覚があった。
縄だ。
勢いよくそれに引っ張られ、足をばたつかせる。
縄をちぎろうと、首を掻く。
精一杯暴れて見せるが、縄は、変わらず私を苦しめる。
私は力なく、意識を手放した。
私は座っていた。あのベットだ。
私は立ち上がった。またあの縄が私の命を奪いに来ると思ったからだ。荒い呼吸を隠さず汗を垂らす。
焦げ臭い。
嫌な臭いだ。
私だった。
燃えていた。
「あぁぁぁあああああ!!」
声にならない叫びで悶え苦しむ。
ぼろ雑巾のように焼け切れた私は意識が遠のく。
僕は、目を開く。また幻覚を見たようだった。
全身から噴き出る汗に呼応するように掛布団に体を覆って、私は隠れてみる。
背を向けているはずなのに、腹に鈍い痛みが走る。
慌てて掛布団を投げ、見ると私の腹には包丁が刺さっていた。
部屋には誰もいないはずだ。それに、ベットには一切の傷がなかった。
この包丁は急に現れたのだ。
包丁が抜ける。
勢いよく私の腹を再度刺す。
あまりの痛みに、床に転がる。
包丁は恨みを持つかのように何度も持ち上げり、何度も私を刺した。
「うっ」
そのたびに私は、小さな声を上げる程度のことしかできなかった。
意識が戻る。私は無事だ。
私は慌てて、ベットから離れて部屋の中心に向かう。
目を泳がせる。どこから何が起きるのかわからない。
異変はない。
そして、ガンッという鈍い音で私は力なく崩れる。
落ちてきたのは部屋の真ん中にあるあの照明だった。私の隣にそれはあった。
ちょろちょろと水の音が聞こえる。私の服が少しずつ濡れる。
ぼんやりとする頭でこの状況を客観視する。
私の手が完全に水に浸かりかけた時だった。
目の前にコンセントが見えた。
やばいと思い、目を見開いたその刹那。
全身に電撃が走り、感電した。
ハッとして深呼吸をする。私は生きている。
私は、この部屋にいてはいけないのだと察して、走って慌てて扉を開ける。
その先を見ずに走って行った私が悪かった。
扉の先の暗闇で私は落ちた。
グシャ。
あのビルの時と同じように私は転落した。
今度の私は、わけのわからないこんな空間で死にたくはなかった。
風を感じる。私はまた落ちていた。
恐怖の汗と、諦めの後悔の涙でぐしょぐしょに濡れた私は先ほどよりも遠く長い暗闇の奥底にグッと目を閉じる。
ふんわりとした感触だった。
落ちた先は私のベットの上だった。それは、昔、私が子供の時に使っていた、捨てたはずのあのベットだった。
子供部屋の姿鏡に自身を移す。
まるで小学生くらいにまで戻ったような私がそこにいた。
やっとのことで、私の自室にたどり着いたのだ。
そこには、先ほど見かけたような血の赤黒いシミもなくいつも通り、適度に散らかされた自室があった。
休日も満足に休めていないために、あまりきれいとは言えない。しかし、最低限の清潔感くらいならあるのかもしれない。
それは、独り身である私があまりものに執着せず、物をためていないためだろう。
ベットの掛布団はいつものように乱雑にまとめられてそこにある。
私はベットを椅子代わりに腰掛ける。
恐らく私が来たのは、この部屋に唯一ある目の前の木製のあのドアだろう。
ここは、もともと父の部屋だった。
子供のころは大きな憧れのあった部屋だった。
備え付けのクローゼットには、数着のスーツと、部屋着と外出用の衣服が数着ある程度で物寂しいものとなっている。
反対の壁には、私を縛り付ける大きなディスプレイ画面のデスクトップパソコンがある。
足元の円柱状のごみ箱には、相変わらずまとまらない企画書のコピーが捨てられていた。
机に置かれているデスクランプは私のようにパソコンに向かって俯いている。
壁紙はクリーム色。床は茶色のカーペットが一面に貼られている。
部屋に一つだけの窓には、暗い青色のカーテンが開かれることなく飾られている。
部屋の照明はLEDのはずなのに暗く感じる。
急に首元に何かが触れる感覚があった。
縄だ。
勢いよくそれに引っ張られ、足をばたつかせる。
縄をちぎろうと、首を掻く。
精一杯暴れて見せるが、縄は、変わらず私を苦しめる。
私は力なく、意識を手放した。
私は座っていた。あのベットだ。
私は立ち上がった。またあの縄が私の命を奪いに来ると思ったからだ。荒い呼吸を隠さず汗を垂らす。
焦げ臭い。
嫌な臭いだ。
私だった。
燃えていた。
「あぁぁぁあああああ!!」
声にならない叫びで悶え苦しむ。
ぼろ雑巾のように焼け切れた私は意識が遠のく。
僕は、目を開く。また幻覚を見たようだった。
全身から噴き出る汗に呼応するように掛布団に体を覆って、私は隠れてみる。
背を向けているはずなのに、腹に鈍い痛みが走る。
慌てて掛布団を投げ、見ると私の腹には包丁が刺さっていた。
部屋には誰もいないはずだ。それに、ベットには一切の傷がなかった。
この包丁は急に現れたのだ。
包丁が抜ける。
勢いよく私の腹を再度刺す。
あまりの痛みに、床に転がる。
包丁は恨みを持つかのように何度も持ち上げり、何度も私を刺した。
「うっ」
そのたびに私は、小さな声を上げる程度のことしかできなかった。
意識が戻る。私は無事だ。
私は慌てて、ベットから離れて部屋の中心に向かう。
目を泳がせる。どこから何が起きるのかわからない。
異変はない。
そして、ガンッという鈍い音で私は力なく崩れる。
落ちてきたのは部屋の真ん中にあるあの照明だった。私の隣にそれはあった。
ちょろちょろと水の音が聞こえる。私の服が少しずつ濡れる。
ぼんやりとする頭でこの状況を客観視する。
私の手が完全に水に浸かりかけた時だった。
目の前にコンセントが見えた。
やばいと思い、目を見開いたその刹那。
全身に電撃が走り、感電した。
ハッとして深呼吸をする。私は生きている。
私は、この部屋にいてはいけないのだと察して、走って慌てて扉を開ける。
その先を見ずに走って行った私が悪かった。
扉の先の暗闇で私は落ちた。
グシャ。
あのビルの時と同じように私は転落した。
今度の私は、わけのわからないこんな空間で死にたくはなかった。
風を感じる。私はまた落ちていた。
恐怖の汗と、諦めの後悔の涙でぐしょぐしょに濡れた私は先ほどよりも遠く長い暗闇の奥底にグッと目を閉じる。
ふんわりとした感触だった。
落ちた先は私のベットの上だった。それは、昔、私が子供の時に使っていた、捨てたはずのあのベットだった。
子供部屋の姿鏡に自身を移す。
まるで小学生くらいにまで戻ったような私がそこにいた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる