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第一章 リーツェン王国
第七話 ギフトの使用
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【メアリーside】
堅物眼鏡がいなくなって、坊ちゃまを独り占めできる。
ぐへへ。
「ローザ、大丈夫かなぁ?」
もう、すっかり甘えたがりプライベートモードから変わってしまった坊ちゃまが心配そうに言う。
「大丈夫ですよぉ~」
「でも、確認するだけなのに戻ってくるの遅くない?」
確かに言われてみれば、先ほどまで聞こえていた慌ただしい足音は聞こえませんし、まさかあの堅物眼鏡、しくじって殺されたんですか?
それならそれで坊ちゃまは私の。
ぐへへぇ。
と本気で思ってはいません。
流石に私1人となると坊ちゃまを守るのも困難ですし、あの堅物眼鏡に鍛えられたとはいえ、私の護身術は遠く及びませんし。
「確かに遅いですね。待ってるのもアレなので、一緒に探しに参りましょうか坊ちゃま?」
流石にプライベートモードじゃない坊ちゃまを相手に名前呼びするわけにもいきませんし、私もお仕事モードに切り替えるとしましょう。
「うん」
私たちがドアノブに手をかけようとしたその時。
【ラルクside】
メアリーと一緒にローザを探しに行こうとドアノブに手をかけようとした時、勢いよく扉が開け放たれ、ローザが戻ってきた。
「坊ちゃま、大変お待たせいたしました。騒動を確認してまいりました。落ち着いて聞いてください。坊ちゃまから金をせびっていた。ゴホン。坊ちゃまの御学友の1人が亡くなったそうです」
僕が金をせびられてたことを何でローザが知ってるの!?
いや、待てよ。
僕のクラスメイトが亡くなったって。
まさか、あの不動君なの!?
だって、僕たちのクラスで1番強かったんだよ?
親がこっち系の人で有名で、小学生なのに場慣れしてるって噂もあったし。
そんな不動君が一体誰に?
そもそも何があったの?
ヤバイヤバイヤバイ、話を聞いただけでパニックになっちゃうのに、その現場にいたかも知れない他のクラスメイトたちは、恐怖と不安で押しつぶされてるんじゃ?
「だから、落ち着いてください坊ちゃま!」
ローザの手が僕の両肩をガシッと掴む。
「はっ!ねぇローザ?もしかして、亡くなったのって不動君なの?」
「はい。ですが坊ちゃま、友達料などと言う言葉で金をせびるような者と友達として付き合うなどあってはならないことです。そのことに私は大変怒っています」
うっ。
確かにローザの言う通りなんだけども。
でも、仕方ないじゃないか!
か弱いこの身を守るためには、強いものに巻かれるのが1番なんだからさ。
それにお金で解決できるなら痛くも痒くもないし。
金だけは両親がいくらでも置いといてくれるし。
「仕方なくなんてありません!そうして味を占めた奴は、次から次へとエスカレートするものです。そこまでされなかった坊ちゃまは、ただ運が良かっただけのことです。次からは、そういう輩には毅然と立ち向かうことを約束してください」
うっ。
思ってたことが顔に出るって言ってたけど。
そんなに僕ってわかりやすいのか。
「わかった。わかったから。それで、どうして不動君が?」
「そのことについてですが」
ローザから耳元で明かされた情報に驚愕する僕。
あのフリードリヒ王の肖像画にそっくりな人に不動君が暗殺されて、その犯人に仕立てられた人物は、僕が通う小学校の人ではなくて、別の学生で高校生だって?
それって、巻き込まれた人が僕が留学していた小学校や住んでた屋敷だけじゃなくて、他にもあるってこと?
何、それ?
何で、そんな大規模なことできるの?
そんなに人が消えたら現実世界は大変な問題になってるのでは?
それにしてもあの王様、相当な悪人だったのか。
僕たちのことを勝手に召喚しておいて、邪魔になったら容赦無く消すだなんて。
「坊ちゃまが困惑されるお気持ちはよくわかります。ですが生きてる坊ちゃまは、前を向かなければなりません。勝手と思いましたが弔いに参加したいとお伝えしました。如何なさいますか?」
「勿論、参加するよ。しっかり見届けてあげないと。不動君の死を悼んであげられるのは、同じくこんな世界に召喚された僕たちしか居ないんだから」
「お優しい坊ちゃまならそう言うと思い、勝手をしました。重ね重ね、勝手したこと申し訳ございません」
「ううん。ローザ、ありがと。行こう」
「かしこまりました」
僕たちが向かうとそこには、乱雑に打ち捨てられている僕よりもだいぶ大きい人と丁重に衣服を整えられている紛うことない不動勇の遺体があった。
「お待ちしておりました。フランク王国の使者御一行様。陛下の御身をお救いくださった勇者様のために祈ってくださるとは、ありがとうございます」
「いえ。フリードリヒ陛下の御身が無事であったこと心よりお祝い致します」
本当は、こんなこと言いたくないけど怪しまれないように徹しないとダメだよね。
「お気遣い、頂きありがとうございます。それでは、祈りが終わりましたらお声がけください。埋めさせていただきますので」
「はい」
僕の傍に居たローザが耳打ちしてくる。
えっ?
こんな時にローザは何を言ってるの?
この2人のギフトを奪えって?
本気でそんなこと言ってるの?
「坊ちゃまが困惑なされるのもわかります。ですが、死んだ彼らの分まで、私たちは生きていかなければなりません。そのためには、有用なギフトは奪っておくべきです」
そうかも知れないけど!
でも、こんな状況で。
ローザは、僕に彼らの死を利用しろって言ってるのかい?
そんなこと僕は、できないよ。
「彼らの仇を討ちたくありませんか?そのために彼らの想いを汲めるのは、ギフトだけでも吸収できる坊ちゃまだけなんですよ」
そんな言い方ずるいよ。
僕だって、できるなら彼らの仇は討ってあげたい。
わかったよ。
彼らの想いをギフトを通じて残せるなら僕やるよ。
『吸収』
兵士が居るから僕は声に出さず念じるのだった。
堅物眼鏡がいなくなって、坊ちゃまを独り占めできる。
ぐへへ。
「ローザ、大丈夫かなぁ?」
もう、すっかり甘えたがりプライベートモードから変わってしまった坊ちゃまが心配そうに言う。
「大丈夫ですよぉ~」
「でも、確認するだけなのに戻ってくるの遅くない?」
確かに言われてみれば、先ほどまで聞こえていた慌ただしい足音は聞こえませんし、まさかあの堅物眼鏡、しくじって殺されたんですか?
それならそれで坊ちゃまは私の。
ぐへへぇ。
と本気で思ってはいません。
流石に私1人となると坊ちゃまを守るのも困難ですし、あの堅物眼鏡に鍛えられたとはいえ、私の護身術は遠く及びませんし。
「確かに遅いですね。待ってるのもアレなので、一緒に探しに参りましょうか坊ちゃま?」
流石にプライベートモードじゃない坊ちゃまを相手に名前呼びするわけにもいきませんし、私もお仕事モードに切り替えるとしましょう。
「うん」
私たちがドアノブに手をかけようとしたその時。
【ラルクside】
メアリーと一緒にローザを探しに行こうとドアノブに手をかけようとした時、勢いよく扉が開け放たれ、ローザが戻ってきた。
「坊ちゃま、大変お待たせいたしました。騒動を確認してまいりました。落ち着いて聞いてください。坊ちゃまから金をせびっていた。ゴホン。坊ちゃまの御学友の1人が亡くなったそうです」
僕が金をせびられてたことを何でローザが知ってるの!?
いや、待てよ。
僕のクラスメイトが亡くなったって。
まさか、あの不動君なの!?
だって、僕たちのクラスで1番強かったんだよ?
親がこっち系の人で有名で、小学生なのに場慣れしてるって噂もあったし。
そんな不動君が一体誰に?
そもそも何があったの?
ヤバイヤバイヤバイ、話を聞いただけでパニックになっちゃうのに、その現場にいたかも知れない他のクラスメイトたちは、恐怖と不安で押しつぶされてるんじゃ?
「だから、落ち着いてください坊ちゃま!」
ローザの手が僕の両肩をガシッと掴む。
「はっ!ねぇローザ?もしかして、亡くなったのって不動君なの?」
「はい。ですが坊ちゃま、友達料などと言う言葉で金をせびるような者と友達として付き合うなどあってはならないことです。そのことに私は大変怒っています」
うっ。
確かにローザの言う通りなんだけども。
でも、仕方ないじゃないか!
か弱いこの身を守るためには、強いものに巻かれるのが1番なんだからさ。
それにお金で解決できるなら痛くも痒くもないし。
金だけは両親がいくらでも置いといてくれるし。
「仕方なくなんてありません!そうして味を占めた奴は、次から次へとエスカレートするものです。そこまでされなかった坊ちゃまは、ただ運が良かっただけのことです。次からは、そういう輩には毅然と立ち向かうことを約束してください」
うっ。
思ってたことが顔に出るって言ってたけど。
そんなに僕ってわかりやすいのか。
「わかった。わかったから。それで、どうして不動君が?」
「そのことについてですが」
ローザから耳元で明かされた情報に驚愕する僕。
あのフリードリヒ王の肖像画にそっくりな人に不動君が暗殺されて、その犯人に仕立てられた人物は、僕が通う小学校の人ではなくて、別の学生で高校生だって?
それって、巻き込まれた人が僕が留学していた小学校や住んでた屋敷だけじゃなくて、他にもあるってこと?
何、それ?
何で、そんな大規模なことできるの?
そんなに人が消えたら現実世界は大変な問題になってるのでは?
それにしてもあの王様、相当な悪人だったのか。
僕たちのことを勝手に召喚しておいて、邪魔になったら容赦無く消すだなんて。
「坊ちゃまが困惑されるお気持ちはよくわかります。ですが生きてる坊ちゃまは、前を向かなければなりません。勝手と思いましたが弔いに参加したいとお伝えしました。如何なさいますか?」
「勿論、参加するよ。しっかり見届けてあげないと。不動君の死を悼んであげられるのは、同じくこんな世界に召喚された僕たちしか居ないんだから」
「お優しい坊ちゃまならそう言うと思い、勝手をしました。重ね重ね、勝手したこと申し訳ございません」
「ううん。ローザ、ありがと。行こう」
「かしこまりました」
僕たちが向かうとそこには、乱雑に打ち捨てられている僕よりもだいぶ大きい人と丁重に衣服を整えられている紛うことない不動勇の遺体があった。
「お待ちしておりました。フランク王国の使者御一行様。陛下の御身をお救いくださった勇者様のために祈ってくださるとは、ありがとうございます」
「いえ。フリードリヒ陛下の御身が無事であったこと心よりお祝い致します」
本当は、こんなこと言いたくないけど怪しまれないように徹しないとダメだよね。
「お気遣い、頂きありがとうございます。それでは、祈りが終わりましたらお声がけください。埋めさせていただきますので」
「はい」
僕の傍に居たローザが耳打ちしてくる。
えっ?
こんな時にローザは何を言ってるの?
この2人のギフトを奪えって?
本気でそんなこと言ってるの?
「坊ちゃまが困惑なされるのもわかります。ですが、死んだ彼らの分まで、私たちは生きていかなければなりません。そのためには、有用なギフトは奪っておくべきです」
そうかも知れないけど!
でも、こんな状況で。
ローザは、僕に彼らの死を利用しろって言ってるのかい?
そんなこと僕は、できないよ。
「彼らの仇を討ちたくありませんか?そのために彼らの想いを汲めるのは、ギフトだけでも吸収できる坊ちゃまだけなんですよ」
そんな言い方ずるいよ。
僕だって、できるなら彼らの仇は討ってあげたい。
わかったよ。
彼らの想いをギフトを通じて残せるなら僕やるよ。
『吸収』
兵士が居るから僕は声に出さず念じるのだった。
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