えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
38 / 821
2章 反董卓連合

出仕しない者たち

しおりを挟む
 公孫瓚は目を丸くしていた。韓馥がいきなり降伏すると告げに来たのだから。それもそのはずだろう。
 韓馥「公孫瓚様に降伏いたします」
 劉子恵「お仕えいたします」
 沮授「これからよろしくお願いいたします」
 沮宗「兄上共々よろしく頼みます」
 潘鳳「この潘鳳を使いこなせますかな」
 公孫瓚「仕官を許す。それにしても、我が白馬儀従を散々にしてくれた者の姿が見えぬが」
 韓馥「麴義なら、お仕えできぬとのことです」
 公孫瓚「そうか、では首を刎ねよ」
 韓馥「!?」
 義賢「お待ちください。何故首を刎ねるのですか?」
 公孫瓚「義賢か。当然であろう。白馬儀従を散々に打ち負かしてくれたのだ。我に仕えぬのなら脅威でしかない。脅威は摘み取らねばならぬ」
 義賢「成程、では劉備軍に迎え入れるのなら構わないということですね」
 公孫瓚「ならん」
 義賢「何故ですか?公孫瓚殿は我々が裏切るとそう警戒しておられるのですか?」
 公孫瓚「客将の部下の分際で口を慎め」
 義賢「成程、公孫瓚殿は心の狭い御方であることがわかりました。ですが韓馥軍を降伏に追い込んだのは我々劉備軍であることをお忘れですか?負けて逃げ帰り城に篭っていた御方に首を刎ねる権利があるとお思いですか?」
 公孫瓚「貴様、この俺を愚弄するか。劉備の弟だからと甘く見ていると思っているのだな。容赦せぬ。首を刎ねよ」
 厳綱「殿、お待ちください。確かに孤立した俺たちを救ってくれたのは劉備軍のおかげです。説得が成功しなかったら殺すで良いのではありませんかな」
 公孫瓚「ふむぅ。そこまで言うのであれば好きにせよ」
 劉備「兄弟子殿、我が弟の不義をお許しください。丁、お前も頭を下げぬか」
 義賢「興奮して熱くなってしまいました。申し訳ありませんでした」
 公孫瓚「もう良い。俺も熱くなった」
 劉備たちは外に出ていく。
 劉備「丁、頼むから波風を立てないでくれ」
 義賢「兄上、申し訳ありません」
 関羽「うむ。素直に謝るのは大事である。だが、某も義賢と同じ気持ちぞ。麴義殿の首を刎ねるのは勿体なかろう」
 張飛「俺もよ。張郃って奴を説得してみてぇんだがよ。かまわねぇか大兄者」
 義賢「兄上、俺は田豊殿の説得をしてみたいと考えています」
 劉備「わかった。わかった。そんな目で見るでない。雲長には麴義殿の説得を翼徳には張郃殿の説得を丁には田豊殿の説得を任せるとしよう」
 関羽「心得ましたぞ」
 張飛「おぅ任してくれ」
 義賢「兄上、ありがとうございます」
 3人がそれぞれの邸宅に説得しに向かう。
 関羽は麴義の邸宅に着いた。トントンと扉を叩く。
 麴義「また出仕の話か。今は誰にも仕える気はない。お帰りいただこう」
 関羽「某、関雲長と申す」
 麴義「関羽殿か。これは失礼致した」
 関羽「兄者に仕官してくれる気はないか?」
 麴義「すまぬが。今は誰にも仕える気はない」
 関羽「そうか。邪魔して悪かった。其方とであれば競い合う相手としても不足はなかったのだが」
 麴義「俺なんて、関羽殿の足元にも及ばない。前回のが良い例だ。あのままやり合っていれば討ち取られていたか捕虜となっていた。逃げるのが精一杯だった」
 関羽「某は、そうは思わん。磨けば光るものを持っていると思うがな。まぁ役職もないただの義勇軍の一兵卒の言葉だ。流してくれて構わぬ」
 麴義「そこまで買ってくれるのか。わかった。劉備殿にお仕えしよう。関羽殿と共に参る」
 関羽「かたじけない」
 義賢は田豊の元を訪ねていた。
 田豊「どちら様ですかな」
 義賢「劉備義勇軍にて軍師を務めております。劉義賢と申します」
 田豊「ほぅ。貴方が公孫瓚軍を撤退させて意気揚々としていた韓馥軍を叩く策お見事でしたな」
 義賢「田豊殿が策を弄していれば負けていたでしょう」
 田豊「御謙遜を。私も沮授殿と同じく進軍策を推していましたよ」
 義賢「いえ、田豊殿は公孫瓚軍の奥に控える軍が何者かを知りたくて、献策を遠慮したのです。その捨て石に本隊を使ったのは間違いですがね」
 田豊「おっしゃる通り。ですが虎穴に入らずんば虎子を得ずと申すでしょう」
 義賢「その成果はありましたか?」
 田豊「えぇ、こうして訪ねてきて欲しい人が訪ねてきてくれましたからな。公孫瓚ではなく劉備殿にお仕えしましょう。我が献策を照覧いただきましょう」
 義賢「!?。ハハハ。とんだ食わせ者ですな」
 田豊「劉丁殿こそ」
 張飛は張郃の元を訪ねていた。
 張飛「ここが張郃ってやつの家みたいだな」
 トントンと扉を叩くが反応がない。
 張飛「ん?留守か?仕方ねぇ出直すか」
 向こうから大きな猪を担いだ張郃が帰ってきた。
 張郃「来訪者か?すまぬ。狩りに出ていた」
 張飛「見事な猪だな。捌いてやるぜ?」
 張郃「張飛殿か。お気になさらず。このまま丸焼きにするだけですから」
 張飛「勿体ねぇぜ。ちょいと貸してくれ」
 張飛は手慣れた感じで猪の皮を剥ぎ、血抜きをして肉を切り分けた。
 張郃「凄いですね」
 張飛「おぅ。元肉屋だったんでな。美味しく食べてもらいてぇんだよ。お節介して悪かったな」
 張郃「いえ。助かりました。張飛殿が訪ねてくるとはどういった御用件ですかな?」
 張飛「おぅ。大兄者に仕官してくれねぇかと思ってよ」
 張郃「劉備殿にですか。それもアリかもしれませんな。ですが腹ごしらえも済んだことです。一戦手合わせ願えますかな」
 張飛「良いねぇ。そういうの嫌いじゃねぇぜ」
 数百合打ち合うが決着が付かない。
 張郃「やはり、貴方は素晴らしい武勇の持ち主だ」
 張飛「オメェもな。燻らせとくのは勿体ねぇぜ」
 張郃「えぇ。決めました。こんなに競い合える相手がいるのなら劉備殿へ仕官致しましょう」
 張飛「嬉しいぜ。今後とも頼むぜ張郃」
 張郃「こちらこそよろしくお願いしますよ。張飛殿」
 こうして劉備軍は麴義・張郃・田豊という3人の優秀な者の仕官を成功させた。公孫瓚軍も韓馥軍を加えて、反董卓連合が駐屯しているという汜水関しすいかんへと向かうのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

処理中です...