えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
65 / 821
3章 群雄割拠

第一次徐州の戦い(破)

しおりを挟む
 曹操が殺した使者の首が陶謙の元へと届く前、曹操軍による苛烈な攻勢が徐州と兗州の国境付近にて行われていた。
 曹操「これで陶謙も家族を失う気持ちが少しでもわかったであろう」
 典韋「ですが殿、本当に良かったんでやすか?」
 曹操「悪来よ。何がだ?」
 典韋「いや、使者殺すってのは戦場では御法度でしょうや」
 曹操「確かにそうだが、普通使者というのは、ある程度双方が落ち着いてから送るものだ。向こうは怒りのおさまらぬワシの元にあろうことか自分の息子を使者として送って来たのだ。それも逆情しているワシの元へだ。殺されても文句は言えんであろう。その覚悟が無いのなら使者など送るべきでは無い」
 典韋「そういうもんでやすか」
 曹操「そういうものだ」
 許緒が陶商の遺体を丁重に弔って帰ってきた。
 許緒「身体の方は丁重に弔っておいたんだなぁ」
 曹操「すまんな虎痴よ。あのようなことをやらせて」
 許緒「よくわからねぇから大丈夫だぞ。殿の敵を1人あの世に送ってやっただけだぁ」
 曹操「であるな」
 曹洪が1人後詰から抜け出て曹操の元に来る。
 曹洪「仁の奴はうまくやってんのかね」
 曹操「子廉、お前に後詰などを任せて申し訳ないな。本来なら子孝と逆であろうに」
 曹洪「殿、気にしないでください。背後だって疎かにできません。曹操軍の矛の力見せてやりますよ」
 曹操「全く、楽しい従兄弟たちに囲まれて、幸せ者だ。父上にもこの光景を見せてやりたかった」
 曹洪「殿、必ずや勝利にて天まで響かせましょう」
 曹操「あぁ、そうだな」
 曹洪は後詰に戻っていった。その頃、先鋒を任された曹仁は、破竹の勢いで進軍し陶謙軍の将と対峙していた。
 曹仁「我が名は曹子孝。殿の父上様を殺した貴様らを許さぬ。1人残らず殺してくれる」
 呂由「陶商様は、説得に失敗したのか。クソ何としてもアイツを防ぐんだ。イケ、イケ~~~」
 曹仁「雑兵などどれだけ束になろうがこの鋼の鎧を傷付けることなどできぬ」
 陶謙軍兵士「うわーーーーーーーーーバッ化け物だ」
 曹仁の威圧感に気圧された陶謙軍兵士が次々と殺される。そう1人残らず投降すると言おうが逃げても追いかけて、虐殺したのだ。呂由もすっかり怯え切っていたが逃げても死しか無い。覚悟を決めて曹仁へと突撃する。
 呂由「我が名は呂由。これ以上は進ませぬ」
 曹仁「言ってることは立派だが足が震えておる。そのようなものに討たれる某では無い」
 呂由「ガハッ。陶謙様、申し訳ございません」
 曹仁「敵将呂由、曹子孝が討ち取った」
 そんな危機的状況の陶謙軍の中で奮戦していた男がいた。陶謙の騎都尉を務めていた臧覇宣高ゾウハセンコウである。彼は孫観仲台ソンカンチュウダイ呉敦ゴトン尹礼インレイ昌豨ショウキという幼馴染であり配下でもある4人と共に曹操軍の精鋭騎兵虎豹騎隊を抑え込んでいた。
 曹純「殿から期待されているのだ。何としても手柄を挙げなくては、皆力を貸してくれ」
 虎豹騎兵長「曹純様のためだ。皆奮戦せよ」
 虎豹騎兵「オオオオオオ、いつも俺たちのことまで気にかけてくださる御方なのだ」
 臧覇「ここはなんとしても食い止めるんだ。敵の精鋭まで都市部に流れ込めばもっと血が流れるぞ」
 孫観「宣高、後ろだ。オラァ」
 臧覇の背後にまわっていた虎豹騎兵を孫観が仕留めた。
 虎豹騎兵「ガハッ」
 臧覇「仲台、すまん。助かったぞ」
 孫観「気にするな。何としてもこの難局を切り抜けるぞ」
 呉敦「流石、精強な曹操軍だな。練度が違いすぎる。こりゃ前線も長くは持たねぇかもな」
 尹礼「かといって我らが引くわけにもいかぬであろう。口を動かす前に手を動かせ。馬鹿者」
 昌豨「ハァハァハァ。押し留めるので精一杯なんだが」
 曹純は押し切れない戦線に初めこそヤキモキしていたが冷静に考えて一つの結論に達した。
 曹純「成程、存外陶謙軍にも強者がいるではないか。ならば方針を転換する。虎豹騎隊よ。無理に攻める必要はない。相手をこの場に釘付けにしておくのだ。そうすれば必ずや後から来た殿の本隊と共に押し込めるであろう」
 虎豹騎兵長「曹純様がこう申している。皆もそのように致せ」
 虎豹騎兵「了解しました」
 別の戦線では李通が一軍を率いて、闕宣隊と交戦を開始していた。
 李通「反董卓連合でのピンチの時に流行病で休んでいた俺に殿は一軍を与えてくださった。必ずや敵を掃討する。掃討の李文達の名にかけて。全軍、敵を1人残らず掃討するのだ。かかれー」
 李通兵「オオオオオオ」
 闕宣「垢の良いのがいるみたいだな。どれ相手してやるとするか。者共相手してやれ」
 闕宣兵「オオオオオオ」
 両者ぶつかるが練度の違いがハッキリと明暗を分けていた。曹操がこの戦で率いていた20万の兵の大半が黄巾兵の中で強者が多かった青州兵なのである。闕宣の兵はみるみる溶ける。
 闕宣兵「グハッ」
 闕宣「馬鹿な!」
 李通「後はお前だけだな。敵将のようだな。俺の名は掃討の李文達、御相手願おうか」
 闕宣「フン。この闕宣が貴様を討てば良いだけだ」
 李通の槍捌きの前に闕宣は何もすることができず突き殺された。
 闕宣「ガハッ。こんなことなら張闓に付くんだったぜ」
 李通「敵将闕宣、李文達が討ち取った」
 陶謙軍は副将と武官を1人失い、臧覇は足止めされるという最悪の展開となり、曹豹と許耽を残すのみとなる。劉備軍はこの絶体絶命の陶謙軍の救援に間に合うのだろうか。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

処理中です...